ZAPAnet総合情報局 > ZAPAブログ2.0 > D800EのRAW画像をLightroom4で現像してみた。モアレ除去も。

D800EのRAW画像をLightroom4で現像してみた。モアレ除去も。

2012年04月04日 カメラ・写真
発売以来大ヒットを続けて品切れ続出の「Nikon D800」。ニコンユーザーの買い換えや買い増しも多くて生産が間に合っていないのに、キヤノンユーザーの乗り換えもかなり多いみたいで、30万円もするカメラが予約待ちでいっぱいのようです。カメラボディだけでなく、フルサイズ用のニコンの高級レンズもほとんど品薄で、数ヶ月前と比べて軒並み数万円以上値上がっています。

さて、そのD800の姉妹機とも言えるのが、ローパスフィルターの効果をカットした「Nikon D800E」。2月の【CP+2012レポート2】ニコンのD800、D800E、D4の時には、「ローパスフィルターありのD800の方が売れる」と言いました。最近ではD800が発売されてユーザーからの作例も多く上がってきていて、やっぱり文句なしの画質です。旧機種D700でたまに感じていたローパスフィルターの厚さによる解像感の乏しさみたいなものは一切なくなっていて、D800は文句の付けようがない出来です。一方で、「ローパスフィルター効果をカットしたD800Eの方はどうなの?」という疑問もあります。D800とD800Eはどれくらい違うのか、と。

D800Eは来週4月12日の発売予定で、まだ発売されていません。D800EのRAW画像(.NEF)をネットで拾ってきて(Na prvi pogled... Nikon D800/D800E)、「Adobe Photoshop Lightroom 4」で現像してみることにしました。

現像してみたのは、このおじさんの写真です。


日本人で髪の毛の薄いおじさんというと、周りから可哀想な目で見られたりします。外国人のおじさんだと格好良く感じるのはなぜでしょうか。ゲームの世界でも、洋ゲーはマッチョなおじさんが大活躍しているのに、和ゲーはなぜかなよなよしたティーンだったりします。不思議です。

さて、上のおじさんの写真をそれぞれの大きさで出力してみました。横幅1920ピクセル(フルHDサイズ)、横幅4256ピクセル(D700と同じ)、横幅7360ピクセル(D800等倍)の3パターンです。 写真を見てもらうとわかりますが、とにかくすごい解像感です。リサイズした写真はもちろん、等倍での鑑賞でも十分耐えられます。ニコンのレンズNikon AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」の性能の良さが遺憾なく発揮されています。本来ローパスフィルターでぼやけてしまう部分が、ローパスフィルターの効果をカットしたことにより、最大限の画質に向上しています。

気になるのは、ローパスフィルターの効果をカットしたことによる弊害。上の写真も、確実に弊害が出ています。リサイズした写真だとあまり気になりませんが、等倍画像を細かくチェックすれば、弊害が見つかります。そう、モアレや偽色です。

おじさんが着ているジャンパーに、本来存在しないはずの色が出現しています。偽色です。例えば、写真左側のこの辺りにも発生しています(下の画像は等倍100%クロップで切り出した画像です)。茶色の記事に青やオレンジの偽色が発生しています。



等倍で細かくチェックするとしたら、この偽色は「あいたたた…」という感じがしないでもありません。まじめに画像処理で、線の一本一本を修正していくとしたら、とても大変です。

嬉しいことに、先月発売されたLightroom4からは、補正ブラシに「モアレ」というパラメータが追加されました。これをプラス側に振って、モアレや偽色の部分をなぞると、自動的に修正してくれます。試しに「モアレ」を50にして、適当に塗ってみました。


その結果がこれです!


おぉ、青やオレンジの偽色がキレイに消えました!

しかも、補正ブラシで適当になぞっただけです。驚くほど簡単に消えてしまいました。


D800Eは、光学ローパスフィルターの働きをなくし、レンズからの光をより直接的にフォトダイオードへと導いています。これにより、被写体によってはモアレや偽色が目立ってしまう欠点があります。でもその欠点は、意外と簡単に後処理で消せる可能性が見えてきました。あるいは、上の写真のように、リサイズして小さくしてしまえば(等倍でチェックしなければ)、偽色もあまり目立ちません。この欠点さえ克服できれば、ローパスフィルターでボカしていない分、D800Eの方が解像感に優れます。

そもそも、一部のカメラメーカー側は「デジタル写真を等倍でマジマジとチェックするのは、ルーペで拡大して粗を探しているようなもの」と発言していたりもします。ベイヤー写真を等倍でチェックするのはあまり好ましくないことなのかもしれません。だとすると、リサイズで縮小した写真は偽色やモアレはそれほど目立ってもいませんし、フルサイズの大きなセンサーで画素数の多い写真を撮る場合、ローパスフィルターはあってもなくても、違いは大きく出ないかもしれません。

今回D800EのRAW画像をLightroom4で現像してみて、「D800Eは3600万画素もあるため、モアレや偽色は目立ちにくいし、発生しても後処理で何とかなるかもしれない」とも思えるようになってきました。もちろん、どんなシチュエーションでも安定して撮れるのは、ローパスフィルターありのD800の方で間違いありません。あまり細かいことは気にしなかったり、後処理で一手間かけられるなら、別にD800Eを選んでもそれほど問題はなさそうです。

なおD800Eの生産数は、品薄D800のさらに10分の1程度の生産数が予定されていて、今から予約しても手に入るのは早くて数ヶ月先です。東日本大震災で被災したニコン仙台の工場と、タイの洪水で被災したニコンタイランドの工場が復旧し、そろそろフル稼働できる時期だと思われます。需要に負けずにたくさん生産してもらいたいものですね。


追記D800EのRAW画像をCapture NX 2で現像してみた。モアレ除去も。


関連リンク