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SIGMA DP1xとDP2xはどちらがオススメか

2011年09月20日 カメラ・写真
Foveonセンサーに興味を持ったとか、株式会社シグマに興味を持ったとか、あるいは70万円もするシグマSD1に興味を持ったとか、最近シグマのカメラを使ってみようかな、と考えている人が多くなってきているみたいです。

となってくると、「一体どのカメラを使えば良いのか」と悩むことになります。シグマの現行機種では、高すぎるシグマSD1を除いて、一眼レフのSD15、コンパクトデジタルカメラのDP1xDP2xと3択です。DPシリーズについては、「コンパクト」なのはボディだけで、センサーは一眼レフのSD15と同じ、今流行りのミラーレス一眼マイクロフォーサーズよりも大きなセンサーを搭載しています。いわゆる、「一眼画質」というものに相当します。

センサーサイズの違いについて

各メーカーから発売されているカメラのセンサーサイズを、下表のように比較してみました。

機種名 センサーサイズ
Nikon D700 36.0mm×23.9 mm
Nikon D300S 23.6mm×15.8 mm
SONY NEX-C3、NEX-5N 23.5mm×15.6mm
Canon EOS7D 22.3mm×14.9mm
SIGMA DP1x、DP2x、SD15 20.7mm×13.8mm 
Panasonic GF3、olympus PEN E-P3 17.3mm×13mm
RICHO GR DIGITAL IV 7.6mm×5.7mm
RICHO CX5 6.2mm×4.6mm

センサーの大きさが違うと何が変わってくるかというと、簡単に言うなら「写りに余裕があるかないか」です。大きなセンサーを搭載したデジカメの方が写りに余裕があり、高画質化に有利です。その一方で、余裕を使い切るために究極の画質を求めてしまうと、カメラのボディサイズやレンズサイズが大きくなり、高価になってしまうのが欠点だったりします。「センサーは大きく、ボディやレンズは小さくて、画質が良い」、これがベストなカメラと言えるのではないでしょうか。

シグマDPシリーズは、流行のマイクロフォーサーズよりも大きなセンサーを搭載していて、それでいて重量が250g程度と軽量です。価格も最新のDP1x、DP2xともに4万円程度と、DP1登場時の10万円からは大きく値下がりしています。シグマのカメラ、あるいはFoveonセンサーのカメラに興味を持った人は、まずはDPシリーズから手にしてみるのが良いのではないでしょうか。

DPシリーズについて

DPシリーズは、旧型を含めてDP1、DP1s、DP1x、DP2、DP2s、DP2xと全6種類あります。中古や型落ち格安在庫品まで含めると、選択肢が広がって迷ってしまいます。今から買うならハッキリ言って、「旧型はやめてxシリーズを買いなさい」とアドバイスします。最新のxシリーズ(DP1xとDP2xのこと)は、AF速度が速くなり、色再現性も安定し、内部の処理も速くなって使いやすくなっています。xシリーズより前の機種では、「一度撮影すると、5秒間程度、背面液晶が真っ暗になって操作を受け付けなくなる」といった仕様があったりしました。使い勝手の面でも旧機種はオススメできません。これから買うなら、改良されたxシリーズを購入するべきです。

仕様や特長などについては、下記公式サイトを確認してみてください。特にスペシャルコンテンツは必見です。

DP1xとDP2xの違い

さて、DPシリーズに決めた後に悩むのが、DP1xかDP2xかということです。この二つのカメラの違いは、「レンズが違う」というのが一番の違いです(他に微妙な違いがありますが、たいした違いではありません)。

DP1xは35mm換算28mm相当の広角レンズを搭載し、DP2xは、35mm換算41mm相当の標準レンズを搭載しています。「広角」とか「標準」とか言われてもよくわからない人は、DP1xは「広い範囲が写る」、DP2xは「普通に自然な範囲が写る(DP1xよりも狭い)」と覚えておくと良いでしょう。



上の写真、向かって右側がDP1x、左側がDP2xです。電源をオンにしてレンズを出してみないと、あまり違いはわかりません。焦点距離の長いDP2xの方が若干長くなります。それら以外はほとんど同じです。

良くある質問として、「ズーム機能はないの?」「手ブレ補正はないの?」といったものがあります。両方ともありません。ズームできない代わりに、専用の単焦点レンズを搭載し、コンパクトで高画質なレンズに仕上がっています。手ブレ補正は付いていないので、諦めてください。暗いところでは三脚などに固定して使うか、そういうシーンでは別のカメラを使う、という選択がベターです。シーンによって使い分けて、Foveonセンサーの長所を引き出す使い方ができるようになると、よりDPシリーズの良さがわかってきます。

DP1xとDP2xはどちらが使いやすいか

実際、DP1xとDP2xを何ヶ月間か使い比べてみて、普通に使いやすいのは断然「DP2x」の方でした。

DP1xは広角写真が撮れるわけですが、開放F値がF4と暗く、暗くなってくるとシャッター速度が遅くなりすぎて撮影しにくくなってきます。広角レンズですから、テーブルフォトなど、近寄って撮るには不便な部分もあります。画素数はDP1x、DP2xどちらも約1400万画素であるものの、これはFoveonセンサーという3層での画素数の数値です。実際にPCに取り込むと、「2,652×1,768」の画像ファイルになります。ドット数表示で言えば、実は468万ドット程度しかありません。「ねぇ、結局デジカメって何万画素必要なの?」では、「デジカメは600万画素あれば十分」と結論付けたわけですが、その600万画素に20%程度足りません。つまり、トリミングする余裕があまりないわけで、「広く撮っておいて、後から切り抜こう」という甘えた作戦があまり使えません。「きれいな広角写真は撮れるけれど、万能度は低い」というのがDP1xの特長です。「広角写真が好き」「28mmの画角が好き」という人には、万能度が低くてもDP1xの方がオススメです。

一方DP2xの方は、開放F値がF2.8と明るく、暗いところでの撮影がDP1xよりも強く、そして背景もよくボケます。画角が狭い分、テーブルフォトなどもDP1xより撮りやすくなっています。35mm換算41mm相当の標準レンズが搭載されているため、スナップ写真やポートレート写真も自然に撮れます。背景もきれいにボケるため、ポートレート写真を撮りたい人にはDP2xがオススメです。「万能度」という点から見れば、DP1xよりもDP2xの方がはるかに上です。


と、文章で説明してもわかりづらいので、以下DP1xで撮影した写真とDP2xで撮影した写真を5枚ずつアップしてしました。付属の「Sigma Photo Pro」という現像ソフトを使って、JPEG出力しています。写真をクリックすると、等倍写真が表示されます。これらの写真も参考にしてみて下さい。

DP1xで撮影した写真

28mmという広角レンズを使って、ダイナミックな写真を撮れるのがDP1xの良いところです。



自然と空が入ってくるシーンが多くなります。青空もきれいに表現されます。Foveonセンサーはノイズが非常に少なく、クリアーな写真が撮れます。



「雲を写すならFoveonセンサー」と言われたり言われなかったりしているみたいですが、ダイナミックレンジの広い高性能なセンサーのおかげで、明るいところも暗いところもきれいに描写してくれます。



Foveonセンサーの特長として、「光と影」をしっかりとらえてくれる、といったものがあります。そのため、コンクリートに当たった光の陰影表現等も見事です。他のデジカメで一般的に使われているベイヤーセンサーでは、なかなか表現しにくいこともFoveonセンサーなら簡単に表現できたりします。



「Foveonセンサーは高感度に弱い」という噂から、「ノイズが多いのではないか」「夜景がキレイに撮れないのではないか」という風評が広がったりしています。明るいところなら手ブレ補正も必要ありませんし、ノイズについては上の写真を見てもらえばわかるとおり、非常に少ないです。また、夜景も下の写真のようにきれいに写ります。ゴーストが出やすいので(下の写真では左上の緑がゴースト)、光源に注意しつつ、フードを付けるのが良いかもしれません。

DP2xで撮影した写真

続いてDP2xで撮影した写真です。DP1xと違って広角ではなく、DP2xは標準の画角となります。今回、人物の写真は載せていませんが、背景も適度にボケた写真を撮ることが可能です。



「風景は広角レンズで撮るもの」という間違った解釈があったりします。風景写真は標準レンズでも望遠レンズでも撮れます。DP2xの標準レンズならば、以下のように「広角風」の広めの写真を撮ることも可能です。



また、DP2xで楽しいのが「マクロ撮影」です。「シグマDP2xレビュー-マクロ撮影編-」でも解説した「クローズアップフィルターを付けてのマクロ撮影」が本当に素晴らしいです。Foveonセンサーならではの豊かな色彩を表現するには、マクロ撮影がピッタリ合います。



RAWで撮影し、専用の「Sigma Photo Pro」で仕上げます。コントラストを上げ、シャドウを引き締めると、美しいボケ味と相まって立体感が生まれてきます。



「発色の豊かさ」、それを求めてFoveonセンサーから離れられなくなってしまう人もいるくらいです。「正確な色」だけでなく、「印象的な色」にも簡単に仕上げられます。250g程度という非常に軽量なカメラでありながら、写りは重い一眼レフカメラ以上だったりすることもしばしばです。

まとめ

「SIGMA DP1xとDP2xはどちらがオススメか」という点に関して、広角写真が好きならDP1x、そうでないならDP2xをオススメします。自分としては、DP1xの28mmの広角写真も好きだし、DP2xの標準画角の写真やマクロ写真も好きなので、結局2つとも使っています。万能度では断然DP2xの方が上ですから、迷ったらDP2xの方をオススメします。これが結論です。



あくまでも、DP1xかDP2xで迷っているのなら、という条件でのオススメですけどね。


もし一般の人が、「普通にキレイな写真が撮りたい」とアドバイスを求めてきたら、パナソニックのGF2ダブルレンズキット(DMC-GF2W-K)かソニーのNEX-C3Dをオススメします。GF2は最新機種のGF3が発売されて、型落ち品としてレンズが二つも付いて3万8千円を切る価格で販売されています。とてもお買い得です。またNEX-C3Dの方は、搭載されているセンサーがニコンの中級機D7000とほとんど同じながら、レンズが二つ付いて4万6千円を切る価格で販売されています。こちらもお買い得です。パナソニックとソニーでは、上の表を見ての通り、ソニーの方が全然センサーサイズが大きいです。その分どうしてもレンズが大きくなってしまうので、写りよりも小ささを求めるならパナソニックの方が便利です。一方ミラーレスではなく、多少お金があって一眼レフスタイルのカメラが欲しいとうことであれば、ニコンのD7000をオススメします。


シグマDPシリーズ一つに絞るのではなく、他のカメラと併用して、「Foveonセンサーのもっとも得意とするシーンを狙って写す」くらいの気持ちでいた方が不便は感じません。普通にきれいに撮るだけなら、上に紹介した他のカメラを使った方が簡単です。Foveonセンサーは、はまった時に独特の良さが表現されます。上手く撮れれば上の写真みたいにも撮れますし、撮り手次第ではもっともっと良い写真が撮れることと思います。興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてください。



関連リンク

以下の記事も参考にしてみて下さい。