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シグマSD1についていろいろ聞いてきた

2011年01月30日 カメラ・写真
シグマの歴史のプレゼンテーション」が終わり、撮影会を挟んでシグマの最新レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「SIGMA SD1」のプレゼンテーションも始まりました。

シグマSD1」というカメラは世界中から注目されていて、来月開催されるCP+でも人気が予想されます。なぜ注目されているのでしょうか。それは、シグマがデジタルカメラのイメージセンサーとして採用している「FoveonX3ダイレクトイメージセンサー」に理由があります。このセンサーは、「RGB全色を3層で取り込むことができる画期的なフルカラーイメージセンサーで、原理的に偽色が発生しないため、ローパスフィルターを必要とせず、光と色の情報を余すことなく取り込むことができる特殊なセンサー」です。

一般的なイメージセンサーは、上図の上側のような「ベイヤー型配列のイメージセンサー」を採用しています。緑の解像度をN/2、赤および青の解像度をN/4とし、各画素毎に周辺の画素の出力を用いて補間演算を行うことにより、N個のRGBの組を作り出しています。補間演算の方式により、画質が影響を受けます。

それに対して上図の下側の「Foveon X3イメージセンサー」は、青、緑、赤、それぞれの色の層のセンサーからなっています。ベイヤー型配列センサーが1層のセンサーから3色に分けているのに対し、Foveon X3センサーは3層のセンサーからそのまま3色を取り出しています。補完処理によって色を作り出しているわけではないので、原理的に偽色は発生しません。


この米Foveon社の開発する「Foveon X3イメージセンサー」に目を付けたのがシグマです。

2008年までは、シグマは米Foveon社からセンサーを買い付けていました。このセンサーはシグマ以外のカメラメーカーに評判が良かったわけではなく、米Foveon社の顧客はほぼシグマだけという状態でした。しかし顧客がシグマだけであっても、シグマが新規に大型センサーを開発して欲しいと頼み込んでいるのに、米Foveon社には聞き入れてもらえませんでした。「開発してもらえないのなら買収しちゃえ」とそこまで簡単な話だったのかどうかはわかりませんが、2008年11月11日にFoveonの全株式を取得してシグマの100%子会社としました(詳しくは、「新Foveonセンサーで、さらなる高画質を狙うシグマ」にて)。

米Foveon社を子会社化し、ついに「Foveon X3イメージセンサー」の大型センサー開発が可能となりました。そして新センサーが完成し、いよいよ実機に搭載されることになったのが、注目を浴びている「シグマSD1」です。15.3MP×3で4600万画素という驚異的な高解像度が特徴です。

今までシグマのカメラに採用されていたセンサーのサイズは、20.7×13.8mmでした。一般的に、APS-Cサイズのデジイチが23.6×15.8mmくらいのセンサー(キヤノンは22.3×14.9mmくらい)、マイクロフォーサーズは17.3×13mmのセンサーを採用しています。シグマのセンサーは、マイクロフォーサーズよりは少し大きく、APS-Cサイズの普通のデジイチよりは小さいサイズのセンサーでした。

今回新開発のX3ダイレクトイメージセンサーは、一般的なAPS-Cサイズのデジカメセンサーよりも少し大きい24×16mmになりました。そして、画素数は、従来の「2640×1760×3の1400万画素」から「4800×3200×3の4600万画素」へと大幅にアップしました。イメージセンサーというのは、画素数だけ多くしてしまうと、一般的に高感度ノイズが多くなってしまったり、ダイナミックレンジが狭くなってしまったりといった問題も出てきます。この問題には、Foveon社がもともと携帯電話向けの極小画素に向けて開発していた技術を応用して対処しました。この技術を大きな新センサーに採用したために、むしろ旧センサーよりも、高感度性能等が良くなっているとのことです。(個人的には、今までのFoveonセンサーの高感度性能があまり良いものではなかったため、「Foveon X3イメージセンサーは低感度のみで使う!」という、割り切ったコンセプトでも悪くはないような気もしました)

それで、実際この新センサーで撮影された写真はどれくらいすごいかというと…!

これは、新型「Foveon X3イメージセンサー」によって撮影された写真をポスターサイズに印刷し、それを普通のデジイチで撮影したモノです。「生で見なければすごさは伝わらないのでは?」と心配されたりもしました。でも、上の写真をクリックして拡大してみればわかると思います。女性の産毛まで写っています。その場で見たときの感動まで伝わるかどうかはわかりませんが、このポスターを一目見たとき、とにかく「すごい!」と感じました。

このセンサーを採用するシグマSD1、気になる発売日は、今年の春を目標としているそうです。シグマのフラッグシップということで「SD1」という名前が付けられています。価格設定の方はというと、「APS-Cサイズのフラッグシップとしておかしくない価格で発売する」と言っていました。APS-Cサイズカメラより高いフルサイズカメラのフラッグシップと言えば50万円を超えるような価格ですから、そのような価格帯には絶対にならないということです、多分。APS-Cサイズのフラッグシップですから、20万円以下で発売される可能性もあるのでしょうか?

自分としては、このシグマSD1を買う予定は特になくて(ニコンのフルサイズ機を持っているのと、シグママウントのレンズを一本も持っていないため)、本当に気になるのは「このSD1と同じセンサーを採用したDPシリーズは発売されるのか?」ということです。

実は、新しいDPシリーズは発売されるのか、シグマ山木社長に直接聞いてみたりしました。その話は次回に続きます。


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追記:DPシリーズのお話を書く前に、SD1のデモ機を見てきました。そちらの様子は下の記事にて。
追記2:5月20日にSD1が発表されました。