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中国からウェブ進化論を観る

2009年07月09日 海外
シリコンバレーから将棋を観る。梅田望夫さんの新作「シリコンバレーから将棋を観る」のタイトルを聞いたときに、「えっ、シリコンバレーと将棋って何か関係あるの?シリコンバレーから将棋を観ると何か違うの?」と思いました。

梅田望夫さんと言えば、ヒット作はもちろん、「ウェブ進化論」。あぁ、もしかすると、ウェブ進化論でも同じことが言えるのではないか、と思って人口10億人を超す巨大国家中国でやって来ました。



中国からウェブ進化論を観る!


中国からウェブ進化論を観るために、中国の首都北京まで行ってきたわけですが、そのスケールはとてつもないものでした。2008年のオリンピックが開催されたここ北京には、超高層ビルが建ち並び、およそ1700万人が暮らしています(写真は鳥の巣スタジアム)。



現在、北京では深刻な水不足に陥っているそうで、揚子江から水を引く作業が続けられています。その長さは1300km。現地の人にさらっと1300kmと教えてもらいました。日本で一番長い川、信濃川の全長が367kmですから、その4倍近い長さの水路を造っていることになります。

空気も悪く、遠くの景色がかすんでよく見えません。天気の悪い曇りの日というわけではなく、これで晴れです(写真は紫禁城)。



中国で長いものと言えば、万里の長城。この前までは、全長6352kmの世界一長い城と言われていました。今年の4月に測量し直したら、8851.8kmへと、さらっと2500kmくらい延びてしまいました。
日本に例えるなら、青森県尻屋崎から山口県彦島まで直線で、約1250kmです。本州を北から南まで直線距離で往復したくらいの距離が、さらっと伸びたことになります。スケールが違いすぎますね。
万里の長城の1/8000くらいの距離を自分の足で歩いてみました。けっこう急な坂が多いので、これくらいでもう十分です。



スケールの違いと言えば、このビルも大変なことになっていました。超高層ビルで、右側のCCTVの独創的なデザインに見とれていたら…

左側のビルがすごい状態になっていました!(写真クリックで拡大)



ぜ、全焼!?



茶色いデザインのビルというわけではなく、ほぼ完全に燃えてしまっていました。しかも、その原因は違法花火。「花火打ち上げたら、ビルごと炎上しちゃいました!」というとてつもないスケール。ビルごと花火になってしまって、損害は軽く200億円以上。火災から5ヶ月経った今も、ビルは燃えたままの状態で残っていました。


昨日7月8日は、中国人富裕層を対象にした個人旅行向けの観光ビザが解禁された日です。北京でも成田でも、テレビカメラや記者がたくさんいました。成田空港にキティちゃんがいるのも見かけました(熱烈歓迎・個人旅行…中国人富裕層にビザ解禁)。
成田空港の京成線で電車待ちをしていたら、さっそく中国人夫婦(優しそうなおじさん、おばさん)に道を聞かれました。成田発1000円分の切符をおばさんから見せられ、「ココデアッテマスカ?日…日…」と指で文字を書かれ、そのあとおじさんがガイドブックを取り出し「ココ」と見せてくれたのは、「日暮里」でした。さすがに中国人でも「ニッポリ」は読めなかったようです。そのあと電車に乗り込み、京成線の風景を見てカルチャーショックを受けていました。経済大国日本の成田国際空港を降りて、ビルひとつないのどかなあの田園風景では驚くのも無理はありません。北京の大都会に比べれば、東京でも小規模に見えてしまいそうです。



ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」の表紙には、このように書かれています。
不特定多数無限大の良質な部分にテクノロジーを組み合わせることで、その混沌をいい方向へ変えていけるはずという思想を、この「力の芽」は内包する。そしてその思想は、特に若い世代の共感をグローバルに集めている。思想の精神的支柱になっているのは、オプティズム(楽天主義)と果敢な行動主義である。
「本当の大変化はこれから始まる」。ウェブ進化論が発売されたのは2006年のことです。3年経った今でも、本当の大変化はまだまだ始まっていないのではないかと思いました。日本だけでなく、世界規模での大変化はまだまだこれからです。そして、ウェブの世界がどれだけ進化しようとも、勇気を出して、現地に出向いてみないとわからないことがあります。自分の目で、自分の足で、自分の肌で、感じること。ウェブの時代にこそ、そのことを理解しておかないといけないと思いました。


ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫
筑摩書房
2006-02-07
コメント:自著の主張を裏切った梅田の「罪」
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コメント:webの動向と,それに対する著者の洞察を読むべき
コメント:ウェブ時代についていけない
コメント:彼の主張にいったいどんなオリジナリティがあるのか?
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シリコンバレーから将棋を観る
梅田望夫
中央公論新社
2009-04-24
コメント:将棋ファンに戻る本
コメント:「純粋なる超一流」の深淵に触れられる良書
コメント:羽生の高み
コメント:卓抜した現代将棋論! 将棋に関心のあるすべての人に
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