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【CP+2012レポート1】シグマのDP1 Merrill、DP2 Merrill

2012年02月09日 カメラ・写真


昨日突如として発表された「SIGMA DP1 Merrill, SIGMA DP2 Merrill」。DP1xDP2xを持っている自分としては、SD1のセンサーを積んだコンパクトな新型DPシリーズが、早く発表されないかなぁと心待ちにしていました。それがまさか、DP1 MerrillとDP2 Merrillが2機種同時発表。新しいレンズ搭載で、背面液晶も3インチ92万ドットに進化。

これはすごい。

ということで、今日開幕した「CP+2012」のプレミアムタイムにシグマブースに行って、シグマの山木社長に直接いろいろ話を聞いてきました。

これがDP1 MerrillとDP2 Merrill!

これがDP1 MerrillとDP2 Merrillの試作機です!今までのDPシリーズに比べて、搭載しているセンサーがシグマのフラッグシップ機SD1 Merrillと同じになって大型化。それに伴い、レンズとボディも少し大きくなりました。



  DP1 Merrill DP2 Merrill
大きさ (幅)121.5mm (幅)121.5mm
(高さ)66.7mm (高さ)66.7mm
(奥行)64.3mm (奥行)59.2mm
質量 340g(電池、カード除く) 330g(電池、カード除く)

このサイズなら十分コンパクトと言えます。あまりにもボディが大型化したらショックなところでしたが、これなら納得のサイズです。このボディにSD1 Merrillと同じ4600万画素のFoveonセンサーが入っています。すごいです。ニコンの新型フルサイズ機D800でさえ、3600万画素ですからね。

4600万画素Foveonセンサーに最適化された高性能レンズ

DP1 MerrillとDP2 Merrillに搭載されるレンズは以下の通りです。

  DP1 Merrill DP2 Merrill
焦点距離 19mm 30mm
35mmカメラ換算有効画角 約28mm 約45mm
開放F値 F2.8 F2.8
絞り羽根枚数 9枚 9枚
レンズ構成 8群9枚 6群8枚
最短撮影距離 20cm 28cm
最大撮影倍率 1:8.4 1:7.6

DP1 Merrillが19mm F2.8(35mm換算28mm相当)、DP2 Merrillが30mm F2.8(35mm換算45mm相当)のレンズです。DP2 Merrillは、DP2xと比較して、少し焦点距離が伸びました。蛍石と同等の性能を誇るFLDガラスやグラスモールド非球面レンズを採用し、諸収差を極限まで補正した高性能レンズです。ボディを横から見ると、この通りです。



カメラボディの厚みも、レンズの長さもいい感じです。ボディに厚みがあってボテッとしたカメラが嫌いなので、これは好きなデザインのカメラです(正面から見て、レンズが右側によっているので、ソニーの「NEX-5N」のようなグリップがあっても良かったかなとは思いますが)。

DP1 Merrillのレンズが旧DP1シリーズよりも使いやすく

2つの新レンズのうち、大きな進化があったのはDP1 Merrillの方です。今までDP1シリーズは28mm相当F4の少し暗いレンズで、最短撮影距離は30cmと長めでした。今度のDP1 Merrillは、F4からF2.8へ一段明るくなりました。そして最短撮影距離は驚きの20cmに。DP1xを使っていて「あと5cmでも良いから、もっと寄れれば…」と思うシーンが多かっただけに、一気に10cmも最短撮影距離が短縮されたのは特に嬉しいところです。

なぜ28mm相当F2.8のレンズで、最短撮影距離が20cnになったのか、山木社長に聞いてみました。

初代DP1を発売した時、大型センサーを搭載したコンパクトデジカメの大きさをどれくらいにしたら良いのか、まだまだわからない状態だったそうです(現在ブームになりつつある、大型センサー搭載デジカメはシグマが先駆けです)。そのため、DP1ではコンパクトさを優先して28mm相当F4の小型レンズを搭載しました。発売後、山木社長もDP1を自分で使っているうちに、F4はないなと思ったようで、今回は明るさも重視してF2.8のレンズを開発したそうです。さらには、使いにくかった最短撮影距離を10cmも縮めました。「一段明るく、最短撮影距離は10cm短縮」、言葉で書くと簡単ですが、それを実際に開発できてしまうところがシグマのすごさですね。

あとは性能の方も気になるところです。これはまだサンプル画像を見たことがないのでわかりません。多分期待は裏切らないだろうと予想しています。

新レンズの19mmと30mmは、ミラーレス用レンズと同じ?

DP Merrillシリーズが発表になった時、搭載されているレンズが焦点距離19mmと30mmと聞いて、ピンと来ました。「あれっ、もしかして、ミラーレス一眼用に発表された2本のレンズと同じなんじゃないのか?」と。19mm F2.8と30mm F2.8は、今度発売されるミラーレス用の新レンズと全く同じスペックです。この2本のレンズも展示してありました。



昨日、「DP Merrill用とミラーレス用ではレンズ構成が違う」と指摘を受けたので、山木社長にどう違うのか直接聞いてみました。

山木社長の答えは、「設計思想は同じ」でした。収差補正などの方向性などは全く同じで、それでいてそれぞれのカメラに合わせて最適化したレンズに仕上がっているようです。言わば、兄弟みたいなレンズでしょうか。

違うところはというと、ミラーレス一眼用は動画を撮影することも考えて、リニアAFモーターを搭載して、静粛性を実現しています。一方のDP Merrill用は、小型化を優先してステッピングモーターを搭載しているところが大きく違うようです。

操作性は?

今回のDPシリーズは、レンズが沈胴式ではなくなり、フォーカスリングがレンズ側に付きました。これにより、マニュアルでのピント調整が左手でできるようになっています。また、評判の悪かった背面液晶は、3.0型92万ドットの広視野液晶モニタに進化し、おそらくピントもわかりやすくなっているはずです。

フラッシュは排除され、ホットシューに別売りのフラッシュを装着する形になっています(個人的に、旧DPシリーズでは試し撮り以外でフラッシュを炊いたことがなかったので、問題ないと思います)。



それから、絞りを変更するボタンがなくなっているように見えます。絞りやシャッタースピード、メニューの変更は金属製のコマンドダイヤルで操作するようです。今のところ使い勝手はわかりません(ボタンは多めの方が嬉しいのですが…)。

一番の問題は、撮影のレスポンスだと思います。この小型ボディで4600万画素Foveonセンサーの画像を処理してSDカードに記録するわけですから、普通のデジカメのような快適さはないだろうと思われます。まぁすでにDPシリーズのユーザーなら記録の遅さはわかっていますので、記録が遅くても許容範囲かもしれません。

いつ発売されるの?価格は?

DP Merrillは、ボディとスペックを見て、とにかくワクワクするカメラです。問題はいつ発売されるのか、です。発表だけあっても、発売が2年後では待ちくたびれてしまいます。教えてくれないだろうなとは思いつつ、山木社長に聞いてみました。

「DP2 Merrillは5〜6月頃、DP1 Merrillは夏までには発売したい」とあっさり教えてくれました。予想以上に早い発売日で驚きました。もうかなり完成しているようです。なんでこんなに早いのか聞いたら、「早く発売したいから」と答えてくれました。このカメラのすごさを、たくさんの人に、少しでも早く知ってもらいたいのかもしれません。

気になる価格の方も聞いてみましたが、こちらは教えてもらえませんでした。現在DP1xとDP2xは、4万円程度で販売されています。DP Merrillは、SD1 Merrillと同じ大型化したFoveonセンサーが搭載され、新開発のレンズに、新ボディ。これで同じ価格帯で販売されるわけはないと思います。自分としては、初期発売時に実売で10万円以下なら問題ないと思っています。もし15万円以上したら、「う〜ん…」と思ってしまいますが。


シグマSD1についていろいろ聞いてきた」のとき、「このセンサーを搭載したDPシリーズが発売されたすごいことになる!」と感じました。特に風景撮影の常識が変わってしまうのではないか、今まで大きなカメラを山に持ち込んで撮影していた写真家もコンパクトなデジカメを1台だけ持って山に登るようになるのではないか、と思ったりしました。解像度と質感に優れたセンサーと、コンパクトなカメラの組み合わせ。この組み合わせは最強だと思います。わざわざ大きなカメラを持たなくても、小さいカメラで済むならそれに越したことはありません。

個人的には広角のDP1 Merrillの方が欲しいです。発売が先なのは、DP2 Merrillの方です。価格次第では、DP2 Merrillの方を先に買ってしまうかもしれません。安ければDP1 MerrillもDP2 Merrillも両方買いますし、高ければ両方とも買えません。あとは発売を待つのみです。



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