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日本唯一のボートレース工場「ヤマト発動機」を見学してきた

2011年11月26日 国内
この前、ボートレース江戸川で初観戦したボートレース。今回はなんと、そのボートレースで使うボートを造っている工場への観戦ツアーを、株式会社サイバー・バズ様が企画してくださり、自分もそのツアーに参加できることになりました。行き先は、群馬にある「ヤマト発動機 株式会社」。バスツアーなので、新宿からバスに乗って行ってきました。



ヤマト発動機株式会社の中に入ると、これから見学することになる「ボート」と「モーター」のカットモデルが置かれていました。


ヤマト発動機では、全国のボートのうちどれくらいのボートを造っているのかと思ったら、現在シェアは100%!全てのボートはここで造られていることになります。これは期待です。

この帽子を被って、いざ工場見学へと出発!

ボート製造

ボートレースで使われるボート本体は、すべて木製です。プラスチックやカーボンなどでは作られていません。強度、軽さ、加工のしやすさの面から木が選ばれています。ボートには数種類の木材が使われ、資材置き場には複数の木材が乾燥のために置かれていました。木材によっては、輸入木材(スプルス材など)を使っているとのことです。


なぜ複数の木材を使うかというと、貼り合わせて強度を上げるためです。木によって特性が違うので、複数の木材を貼り合わせることで強度を上げています。この木材を、ボートの各部に使い分けています。


工場内では、機械と手作業を組み合わせてボートの部材を作り上げていました。思っていたよりも、手作業率がずっと高いです。


各部の材料ができあがると、組み上げて、防水塗装加工を施します。その次に、ボートの塗装へと移っていきます。


塗装はロボットで。ロボットに塗装の動きを覚えさせ、自動でムラなく均厚に塗料を吹き付けています。塗装が完了したら、そのまま次の工程へと運び、時間をかけて乾燥させます。


塗装と乾燥が終わったピカピカなボートが置かれていました。塗装はボートレース場によって違い、いろいろなデザインがあります。そして、ボートにハンドルやフェンダなどの部品を組み付けます。


そして完成!完成したからと言って即出荷できるのではなく、ここボート検査場でレギュレーションに沿った厳格な検査が行われます。重量の誤差はプラスマイナスわずか100gまでです。検査に合格したら、ボート保管庫に一定の温度と湿度で保管し、出荷になります。



今回、ボートの完成品も触らせてもらいました。


こうやって、ボート製造の現場を見学させてもらって、さぞボートはお高いのだろうと、ボートのお値段を聞いてみました。「そんなに高くはありませんよ」とのお返事が。そんなに高くはない、と言いつつ500万円くらいするのだろうと予想したら、「大体60万円くらいじゃないですかね」とのこと。えっ、本当に高くない…。ボートが60万円、この後見学するモーターも60万円くらいだそうです。ボート好きの一般人なら買えそうな価格設定。でも買えません。ボートは競技用でバックギア等が付いていないため、一般人は操縦してはいけないそうです。驚いたのは、ボートレース場でのボート使用期間。なんと、たった1年で交換だそうです。1年経過したら、全て燃やしてしまうのだそうです。せっかく造ったのに、なんだかもったいないですね。

次は、ボートに付ける重要なパーツ、モーター製造工場の方を見学します。

モーター製造

ボートファクトリーから少し歩いてモーターファクトリーへ。こちらはボートの木と違って、金属を扱う工場なので、においが全然違います。


主な金属はアルミで、機械を使って加工していきます。


そして、完成です。ずらっと並んだ完成品のモーターは見事です。


ここで質問してみました。「モーターに性能差はありますか?」と。ボートレースでは、使うモーターによって勝率が変わってくるという話を聞いたことがあったので聞いてみました。返答は、「この時点では性能差はありません」とのことでした。個体差が出ないように、均質な性能を出すためにモーターを作っているので、性能差はないそうです。慣らし運転もここで済ませてから出荷するため、普通の一般用バイクエンジン等とは、均質性能が全く違うそうです。では、なぜモーターによってボートレースの勝率が変わってくるのか。それは、一つ目は、「水を被ってしまうこと」。二つ目は、「モーターをボートレーサーがいじること」。三つ目は、「誰が使うかによって勝率が変わること」だそうです。使っているうちに勝率に差が出てくることは確かですが、ここで作った時点では性能差はないそうです。

1日に8〜9台作れるそうで、導入している機械の数を考えたら、もっとたくさん作ってたくさん売りたいそうです。ただ、ボートレース専用のモーターなので、そんなにたくさん作ることはできません。夜間は機械を止め、週休2日で働いているそうです。

ヤマト発動機では、年間1500〜1600のボートとモーターを作っています。シェア100%で、しかも寿命がわずか1年と聞いて、「ボロ儲けなんじゃないか」と最初は思ったりしました。実際は価格が意外と安く(ボート、モーターともに60万円程度)、もしボートレース場がひとつでも潰れてしまったら、いきなり経営が厳しくなるそうです。現在ヤマト発動機では120人程度が働いているそうです。東日本大震災の影響で節電協力が必要になり、今年は夏前に前倒しでボート生産をしていたため、その時期はかなり忙しかったそうです。


というわけで、日本唯一のボートレース工場「ヤマト発動機」の見学をしてきました。ボートレースのことはまだあまり詳しくないのに、ボート製造の方はかなり詳しくなってしまいました。この後、ボートの知識を活かして、BOAT RACE 桐生のナイターレースを観戦してきました。次回の記事に続きます。

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