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FE 28-70mm F3.5-5.6 OSSレビュー2 - シャープネステスト

2013年12月01日 カメラ・写真
α7 SEL2870

ソニーのフルサイズEマウント用標準ズームレンズ「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」のレビュー第2回目です。

前回は、「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSSレビュー1 - 片ボケっぽい」ということで、まともにレビューできませんでした。「やったー、またまたソニーα7届いたー(三度目)」のときに交換品が届きました。今回はこのレンズを使って、焦点距離別にシャープネステストしてみます。

28-70mmという狭いズームレンジで、F値はF3.5-5.6。無理をしていないスペックなので、このレンズにかなり期待していました。特に気になるのは広角端の描写。24mmスタートのレンズだと、広角端では歪曲が酷かったり、四隅が大きく流れたり、描写に満足できないことが多々あります。それを克服するには、一般的にレンズを巨大化させて高価格にするしかなく、24mmスタートのレンズは選択が難しくなります。その点、この「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」は、無理をしていない28mmスタート。絞った時に安定した描写さえ見せてくれれば、軽量の手ぶれ補正付きレンズということで、風景撮りにも使えるのではないかと期待して購入しました。

さて、テスト結果はどうでしょうか。

28mm

まずは気になる広角端の28mmから(画像クリックで等倍画像が表示されます)。

SEL2870_28mm SEL2870_28mm
F3.5(絞り開放) F5.6
SEL2870_28mm SEL2870_28mm
F8 F11

絞り開放F3.5ではまずまずシャープでコントラストも高く、現代的なズームレンズの写りです。周辺画質は、絞り開放ではこの程度が普通だと思います。

F5.6まで絞ると、中央はかなりシャープになりました。ただし、中央以外は乱れています。

F8まで絞ると…周辺まで画質が安定するかと思いきや、全然解像が良くなりません。

被写界深度をさらに深くするために、F11まで絞っても、解像が良くなるどころか、悪くなるだけでした。

正直、広角端での画質はかなりひどい結果となりました。「四隅の乱れ」どころか、中央の一部分以外は、すべて良くないです。画像右下隅までチェックするまでもなく、中央右ですでに写りが良くないです。

この写真では少し判断が付きづらいので、記事下に別画像で再テストした結果を載せています。

35mm

続いて、少しズームして35mm辺りの画像(正確なEXIF読みでは34mm)。

SEL2870_35mm SEL2870_35mm
F4(絞り開放) F5.6
SEL2870_35mm  
F8

中央部だけを見れば、絞り開放では少し甘いもののF5.6まで絞ればかなりのシャープさになります。周辺は相変わらず良くないです。

50mm

続いて、標準域の50mmで。

SEL2870_50mm SEL2870_50mm
F4.5(絞り開放) F5.6
SEL2870_50mm  
F8

絞り開放からかなりのシャープさで、F5.6まで絞れば中央はカリカリです。F8まで絞ると周辺まで安定し、ズームレンズにしてはかなりのシャープさです。広角域と違って、全面まともに写ります。

70mm

最後に、望遠端の70mm。

SEL2870_70mm SEL2870_70mm
F5.6(絞り開放) F8

望遠端では、他のズームレンズでも良くあるように、少し解像力が落ちます。それでもF8まで絞れば、画面全体は均一に写る安定さがあります。広角端よりは安心して使えます。補正なしの状態では、歪曲は少し大きめです(画像はすべて補正なしの状態です)。

28mmで再テスト

上の28mmの画像がわかりにくい写真だったので、もう一度広角端28mm、F8で撮り直した写真でチェックしてみます。

SEL2870
1/250秒 ISO100 F8.0 28mm(FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS)


この画像の中央部分を等倍で切り出してみると…見事に解像していて、素晴らしい写りです。
SEL2870

次に中央右側辺りの切り出し。うーん、良くありません。一応被写界深度内に入っているはずなのですが。
SEL2870

そして、中央左側辺りの切り出し。「やったー、またまたソニーα7届いたー(三度目)」の記事で、左側が「やや乱れ」と書いた部分です。簡易テストしかしていなかったので、今度はどうでしょうか。
SEL2870

うーん…。やっぱり良くないです。良くはないものの、右側と比べて大きすぎる乱れとも言えず、やはり片ボケレンズではないようです。これがこのレンズの実力のようです。「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSSレビュー1 - 片ボケっぽい」の時は、あきらかに右側がおかしかったので、今度のは一応まともなレンズのようです。

まとめ

ということで「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」は、広角端で絞ってパンフォーカス撮影する用途には全く向いていないレンズであることがわかりました。レンズ説明に「レンズの球面収差や歪曲収差を良好に補正。ズーム全域で絞り開放時から、にじみの少ないコントラストの高い画質で撮影できます」と書かれていて、確かに絞り解放時から球面収差が少なく、にじみの少ないコントラストの高い画質で撮影できます。ただ、画像の均一性が著しく低く、ボケ方も汚いせいで、絞っても美しい写りになりません。

このレンズを一言で言い表すなら…「クソレンズ」ですかね。中央だけシャープで周辺ダメダメなレンズは嫌いです。ボケのつながりも悪く、きれいに撮れません。シャープさはそこそこでも良いので、もっと周辺まで安定した写りを見せてくれるレンズの方が好きです。特に広角域を含むレンズの場合は。「ソニーのレンズってこんなものなんだ…」と思わせてくれるには十分な性能でした。

おまけで、広角端28mmで撮った写真をもう一枚あげておきます。ひどさが理解できるかと思います。せっかく遠出して撮った写真がこれでは、ガッカリ感がハンパないです。
SEL2870
1/200秒 ISO100 F7.1 28mm(FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS)


一応条件さえ気をつけていれば、このレンズでキレイに撮ることも可能です。ズーム中間域の50mm前後は写りも安定していてかなりシャープです。こんな風に写せば、使い道はあります。軽くてシャープで手ぶれ補正付きのレンズとして活用できます。
SEL2870
1/60秒 ISO400 F5.6 58mm(FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS)


ただ、自分の期待していたレンズの特性とは全く違う結果となってしまいました。「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」は早速の処分候補レンズです。今すぐにでも処分したいところですが、他にEマウント用の標準ズームレンズが存在しないのが痛いところです。しばらくは手元に残しておくことにします。


追記ソニーα7、NEX-5R、RX100のサイズ比較、画像比較