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音楽の一部を無料にしてしまえば良いのに

2007年02月22日 音楽
最近、すごいぜ!JASRAC伝説などにあるように音楽の著作権について議論が起きています。
これら著作権の問題は、歌い手の気持ちとはあまり関係のない部分で、音楽そのものの文化をダメにしてしまっているような気がします。

そこで、今回は著作権のことはあまり考えず、作り手側と視聴者側の気持ちの面から「音楽とインターネット」のことを考えてみたいと思います。


音楽作り手側の思惑

まずは、作り手側の思惑を想像してみます。
歌い手:たくさんの人に自分の歌を聴いてもらいたい!
作詞者:たくさんの人に自分の想いを伝えたい!
作曲者:たくさんの人に自分の曲を聴いてもらいたい!
編曲者:たくさんの人に自分の編曲を聴いてもらいたい!
発売元:買え!
(個人的な想像だと、大体このような感じになります。全然違うかも知れませんが)

つまり、「たくさんの人に聴いてもらって、たくさん売れること」が大事であると言えます。

歌い手・作詞者・作曲者・編曲者の気持ち

たくさんの人に聴いてもらって、たくさん売る」ために、歌い手・作詞者・作曲者・編曲者は、より良い作品を作る努力をしています。
このうち、もし歌い手が自分の気持ちを歌に込めずに、売り上げのことだけを考えて歌っていたら、売り上げは伸び悩むと考えられます。(楽曲に関係ない気持ちが含まれて完成度が低くなり、聴いた人が敏感に反応して売れなくなってしまいます)
つまり、たくさんの人に聴いてもらうためにより良い作品を作り上げ、その結果売り上げも伸びてくれたら最高だと思っているはずです。


発売元の気持ち

発売元メーカーは「たくさんの人に聴いてもらって、たくさん売る」ため、儲けるために努力しています。
できあがった作品の善し悪しは関係なく、たくさん売って儲けたら勝ちです。
もちろん発売元メーカーにもいろいろなタイプの人がいますから、売り上げだけではなくアーティストを大事にする人もたくさんいるとは思いますが、会社組織としてみた場合は「売り上げ・利益」が最優先のはずです。
例えば、大手エイベックスの決算前にはベストアルバムの大量ラッシュが待っています。
今年のラインナップ例:
A BEST2-WHITE-
A BEST2-BLACK-
愛 am BEST)
BEST ~BOUNCE & LOVERS
勘違いしないでおきたいのは、このベストアルバムの発売は「歌い手の気持ち」とは関係なく、発売元の経営方針で決まっているということです。
株式会社とは、「利益をあげることを目的とした法人」のことですから、利益優先なのは仕方のないことです(ただし、長い目で見た場合、これが最終的な利益につながるかどうかは不明です)。


たくさんの人に聴いてもらうための発売元の作戦

発売元は売り上げを伸ばすために、その曲を知らない一般の人にその曲を聴いてもらおうと努力しています。
CMとタイアップしたり、ドラマとタイアップしたり、プロモーションムービーを作ったり、TVに出演したり、雑誌に登場したり、各種広告を出したり…
少しでも完成した曲の知名度を上げるために努力しています。

このうち、比較的効果の高いものとして「CM」があげられます。
CMの中で15秒程度音楽を流して視聴者に聴いてもらい、その後の販売につなげています。
つまり、「15秒程度音楽を聴くと、購入する人が現れる」ということを表しています。

仮に、CMに流れる曲がその人にとって魅力的である曲だったとして、「15秒聴いたからもう満足!」と思う人はどれくらいいるでしょうか?
15秒聴いて興味を持った人なら、「もっと聴きたい!全部聴きたい!」と思うはずです。
発売元はテレビ局に大金を払ってまでCMを流しているわけですから、CM代金以上の効果があることは確実です。
お金を払ってでも音楽を聴いてもらいたい!
と思っているわけです。
歌詞やアーティストの姿が見えないCMだろうが何だろうが、とにかく聴いてもらいたいと思っているはずです。

では、広告媒体として成長著しいインターネットでの音楽広告はどのようになっているでしょうか?


インターネットでの音楽広告

インターネットでの音楽広告は、現在のところ
アーティストホームページに無料視聴コーナーがある
ORICON STYLEなどの一部音楽専門サイトがある」
程度です。
つまり、全然普及していません。
アーティストホームページに無料視聴コーナーがあるということは、無料で視聴してもらっても十分費用対効果があることを示しています。
ですが、アーティストホームページには「そのアーティストのファン」と「そのアーティストに興味がある人」だけしか訪れません。
そのアーティストをまだ知らない人や、まだ興味を持っていない人には何の効果もありません。

インターネットでの音楽広告普及を妨げているのは、著作権やJASRACなどの問題があるせいでもありますが、その辺は置いておいて、「歌い手・作詞者・作曲者・編曲者・発売元」全てが幸せになれる方法を考えてみます。


インターネットでの音楽広告の今後

「歌い手・作詞者・作曲者・編曲者・発売元」全てが幸せになれることとは、つまり、「たくさんの人に聴いてもらって、たくさん売れること」です。
これは間違いのないことだと思います。
たくさんの人に聴いてもらう方法はあります。
「インターネット上でじゃんじゃん音楽を流してしまえば良い」のです。
ですが、これでは全く売れなくなってしまいます。

だったら、制限付きで音楽を流してもらって、売り上げにつなげれば良いことになります。
今までの日本の音楽の歴史からいってCM程度の長さだったら、売り上げにつながることは実証済みです。
つまり、15秒〜30秒程度の音楽
発売元が「15秒〜30秒程度の自由に視聴できる音楽をタダ」で配ってしまえば良いのです。

こうしておけば、お気に入りの音楽をブログなどで紹介したい人が現れたときに
この曲すごい好きなんです!ぜひ聴いてみてください!
と「15秒〜30秒程度の自由に視聴できる音楽」を勝手に宣伝してもらえます。
今までそのアーティストに興味がなかった人でも、いつも見ているブログの管理人が紹介しているアーティストだったら気になって聴いてみるはずです。
それで、
もし興味を持ったら → 売り上げにつながる
もし興味を持たなかったら → 直接売り上げにはつならないが、知名度がUPする。発売元が損をすることはない
音楽を紹介したい人は紹介しやすくなり、紹介された人は知るきっかけを得られ、歌い手はたくさんの人に聴いてもらえ、発売元は売り上げにつながり、みんなが幸せになれます。


こういった一部の無料開放というのはインターネット上のブームで、例えばアマゾンなら本の「中身検索」やWebサービスがあります。
遅れている音楽業界のサイトでも、オリコンがAPI公開 「Web2.0で集客、換金を」とオリコンランキングの公開が決まっています。
その他にもフロム・エー ナビじゃらんカーセンサーラボ価格.com楽天なども一部データを自由利用できるようにしています。
(もっと他のAPIを知りたい場合は→公開APIを利用したサンプルサイトを作っていくよにて)

もっとわかりやすい例で言うなら、超大手メディア新聞社でさえほとんどの記事を無料公開しています。

インターネットでは、インターネット特有の宣伝の仕方が必要だということです。
そうすれば今まで以上の利益につながる可能性も見えてきます。
著作権だなんだでガチガチに固めてユーザー離れが起きるよりも、お互いが得をするシステムになれば良いのにな、と思いました。
「音楽の一部を無料にしてしまえば良いのに」、と。

関連・参考リンク


日本音楽著作権協会 - Wikipedia
着メロは、メロディーだけなのに、なぜ作詞家にも権利が発生するのですか?
すごいぜ!JASRAC伝説
ここはどこ? - JASRACの暴挙をまとめるページ
これだけは知っておこう!音楽著作権
JASRACを考える。
ageha 続・あたらしい著作権のはなし
痛いニュース(ノ∀`): "ジャスラック動く" 外国曲をハーモニカなどで生演奏、73歳スナック経営者逮捕
痛いニュース(ノ∀`):無断生演奏で賠償請求…JASRAC、元飲食店経営女性社長に1600万円の支払い求める
痛いニュース(ノ∀`):ジャスラックが訴えた生演奏の店、「著作権侵害せず」とネット中継で証明するも…「将来するかも」とピアノ撤去&賠償命令
痛いニュース(ノ∀`):音楽CDなどの生産額、8年連続減少 ネット配信も影響
YouTubeに違法投稿された動画、「問題ない」との意見が8割以上 - CNET Japan
しっぽのブログ: いつまでもJASRACを悪の魔王に設定してはいけない。
カイ氏伝: 「akiyan.com」に見る個人の著作権意識
ネットラジオサービスのPandora、「音楽の発見」を支援してファンが急増 - CNET Japan
in-between days - ジャスラックがはてなを訴える日も近いな。
memorandum - JASRACと独占禁止法
ITmedia +D LifeStyle:著作権を取り巻く環境はどう変わったか (1/3)
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