【レビュー】SIGMA 35mm F1.4は、どんな条件にも耐えるスーパーレンズだった!
2013年06月19日 カメラ・写真
みんぽす経由でお借りした「SIGMA 35mm F1.4 DG HSM(ニコン用)
」。
SIGMA 35mm F1.4 DG HSMレビュー1-外観編-、SIGMA 35mm F1.4 DG HSMレビュー2-絞り値別画質チェック-からの続きです。
前回の絞り値別画質チェックで、すばらしい画質であることはわかったので、今回はもっとレンズにとって厳しい条件でシグマ「35mm F1.4 DG HSM」をテストしてみることにしました。レンズにとって厳しいと言っても、暴風雨の中で撮るとかそういうハードウェア的な厳しさではなくて、レンズの描写的な厳しさでのテストになります。
まずは、この季節なので紫陽花の写真から。絞り開放F1.4でも何の問題もなくきれいに写ります。

F1.4 1/4000秒 ISO200
次はもっと細かい被写体だったらどうでしょうか。下の写真を見てもらえればわかりますが、キリッとシャープに写っていて見事です。

F1.4 1/8000秒 ISO200
次はもう少し離れた被写体で。「開放F1.4で撮ったんです」と言わなければわからないくらい、よく写っています。

F1.4 1/320秒 ISO200
ということで、シグマ「35mm F1.4 DG HSM」は、絞り開放からシャープに写って、絞らなくても安心して写真を撮ることができました。
ということで、近距離からこんな写真を撮ってみました。撮ってみて驚きました。「あれっ、柔らかい!?」。

F2.0 1/1000秒 ISO200
SIGMA 35mm F1.4 DG HSMレビュー1-外観編-、SIGMA 35mm F1.4 DG HSMレビュー2-絞り値別画質チェック-からの続きです。
前回の絞り値別画質チェックで、すばらしい画質であることはわかったので、今回はもっとレンズにとって厳しい条件でシグマ「35mm F1.4 DG HSM」をテストしてみることにしました。レンズにとって厳しいと言っても、暴風雨の中で撮るとかそういうハードウェア的な厳しさではなくて、レンズの描写的な厳しさでのテストになります。
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絞り開放F1.4でのシャープさ
まずは絞り開放F1.4でのシャープさチェックから。暗いところやシャッタースピードを稼ぎたいときなど、絞り開放で撮りたい状況は多々あります。そういうときのために、絞り開放F1.4でのシャープさをチェックしておく必要があります。まずは、この季節なので紫陽花の写真から。絞り開放F1.4でも何の問題もなくきれいに写ります。

F1.4 1/4000秒 ISO200
次はもっと細かい被写体だったらどうでしょうか。下の写真を見てもらえればわかりますが、キリッとシャープに写っていて見事です。

F1.4 1/8000秒 ISO200
次はもう少し離れた被写体で。「開放F1.4で撮ったんです」と言わなければわからないくらい、よく写っています。

F1.4 1/320秒 ISO200
ということで、シグマ「35mm F1.4 DG HSM」は、絞り開放からシャープに写って、絞らなくても安心して写真を撮ることができました。
ボケ味
絞り開放でのシャープさが十分なのはわかりました。次に気になるのは、ボケ味です。シャープすぎるレンズというのは得てしてボケ味が硬い傾向にあります。ということで、近距離からこんな写真を撮ってみました。撮ってみて驚きました。「あれっ、柔らかい!?」。

F2.0 1/1000秒 ISO200
予想と異なり、柔らかいボケ味に驚きました。今度はもっと意地悪に、2線ボケが厳しくなりそうな背景を選んでみました。十分ですね。思っていたよりもボケ味は硬くなかったです。

F1.4 1/1250秒 ISO200
続いて、点光源の丸ボケをチェックしてみました。四隅を除き、かなり広い範囲で丸の形が保たれています。これは見事です。

F2.2 1/60秒 ISO360
口径食の影響も少なく、ボケ味もなかなか良いので、どんな条件でも撮りやすいレンズです。

F2.8 1/80秒 ISO360
逆光でのフレア・ゴースト耐性
次は逆光での描写チェックです。昔のシグマのレンズと言えば、逆光耐性がひどく、フレアやゴーストの発生が多いことで有名でした(他のメーカーもそれほどじゃなかったよ、と怒られそうですが)。そんなシグマも、フレア・ゴーストを見る専任の技術者(ゴーストバスターズと呼ばれているとかいないとか)を置いてからは、みるみる逆光耐性が上がっていきました(詳しくは、シグマの歴史-なぜシグマは日本国内生産にこだわるのか-参照)。逆光耐性を良くするには、レンズコーティング技術だけではなくて、レンズ配置やガラスや金型や鏡筒など、さまざまな要素が絡み合ってくるようです。さて、「35mm F1.4 DG HSM」はどうでしょうか。
まずは、太陽を画面上部に配置して一枚写してみました。ゴーストの発生はゼロです。何枚か角度を変えて写してみましたが、ゴーストは発生しませんでした。

F8.0 1/1250秒 ISO200
日を変えて、右上に太陽を配置して写してみました。フレアもゴーストの発生も見られませんでした。こちらも角度を変えて何枚か写しましたが、どんな条件でも抜けが良く、クリアな描写となりました。

F8.0 1/1000秒 ISO200
今度は木の間から直接太陽を入れて写してみました。フレアもゴーストの発生もなく、コントラストは高いままです。驚きの描写でした。

F8.0 1/320秒 ISO200
というわけで、「35mm F1.4 DG HSM」の逆光耐性は驚くほど強く、「シグマは逆光に弱い」という疑念は完全に払拭したようです。1ヶ月間レンズを借りていましたが、ゴーストやフレアに悩んだシーンは一度もありませんでした。めちゃくちゃ逆光に強いです。
以前、「SIGMA 24-70mm F2.8 IF EX DG HSMレビュー4-いろいろ使ってみて-」の時は、まぁこんなものか、という感じでしたが、今回は次元の違う写りを見せてくれました。
球面収差とパープルフリンジ
「35mm F1.4 DG HSM」がまるで音を上げないので、もっと厳しい条件で撮ってみることにしました。それは、絞り開放で白くて明るい被写体を撮って、球面収差とパープルフリンジの発生を確認する方法です。こういう条件では、白くてフワフワとあまり解像せず、白の周りには紫のフリンジが大量発生しやすくなります。
で、撮ってみたのが以下の写真です。パープルフリンジの発生はほぼゼロで、ピントの合った部分は毛の一本一本がきっちり解像していました。すごい…

F1.4 1/8000秒 ISO200
F4まで絞るとこんな感じです。シグマのレンズには、「中央はシャープに解像しても周辺が…」という難点もあったりしましたが、今回のレンズは周辺もきっちり写ります。

F4.0 1/1600秒 ISO200
ということで、「35mm F1.4 DG HSM」はなかなか弱点を見せてくれません。
軸上色収差
今度はこれでどうだ、と軸上色収差のテストをしてみました。以前「SIGMA 85mm F1.4 EX DG HSMレビュー1」の時は、軸上色収差のテストでボロボロでした。銀色に光る物体を撮ると、パープルフリンジが大爆発してしまったんですね。さて、今回は…
これが絞り開放F1.4の写真です。ピント面の軸上色収差はゼロで、手前側がわずかに紫、奥側がわずかに黄緑です。これくらいなら全く気にしなくてもいいと言っても過言ではありません。見事に軸上色収差が抑えられています。

F1.4 1/8000秒 ISO200
今度は少し絞ってF3.2。何の問題もありません。

F3.2 1/2500秒 ISO200
次は白い背景との境界線に軸上色収差が発生しないかチェックしてみました。全く問題ありません。

F4.0 1/400秒 ISO200
「85mm F1.4 EX DG HSM
AF性能
最後に、AF性能について。自分の持っている「50mm F1.4 EX DG HSM今回の「35mm F1.4 DG HSM」はどうでしょうか。
結論から言うと、問題ありません。AFは一点に収まりますし、AF速度も「50mm F1.4 EX DG HSM」よりもずっと速いです。何より、ピントを追い込む際のアルゴリズムが全然違うようで、AF合焦速度はずっと速くなっています。とは言っても、F1.4の大口径レンズなので、AFが爆速のレンズと比べてしまえば、まぁまぁのAF速度と言ったところです。AF精度については問題ありません。下のような、揺れる船上であっても、問題なくAFを合わせることが可能でした。

F6.3 1/1250秒 ISO200
SIGMA 35mm F1.4 DG HSMまとめ
というわけで、レンズにとって厳しい条件で「35mm F1.4 DG HSM」をテストしてきました。テスト中、「35mm F1.4 DG HSM」の弱点を見つけることはできませんでした。約1ヶ月間借りている間、1000枚以上の写真を撮りました。その中で、「35mm F1.4 DG HSM」が音を上げた写真はただの一枚もありませんでした。それほど見事な写りでした。「35mm F1.4 DG HSM」の良いところはというと、シャープで収差が少なくどの絞り値でも使いやすいのはもちろん、逆光にも強く、クリアでコントラストの高い描写であることなど、良いところだらけです。
「35mm F1.4 DG HSM」は、「条件さえ整えば良い写りをする」というタイプのレンズではなくて、どんな条件でも安定して良い写りをします。そういう意味でも、今までのシグマの大口径レンズ「50mm F1.4 DG HSM」や「85mm F1.4 DG HSM」よりも1段や2段上のレンズです。これは期待以上でした。以前借りた「SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSMレビュー」もすごいレンズでしたが、今回はF1.4の大口径レンズという点で、さらにシグマの技術力を見せつけたのではないでしょうか。
「条件さえ合えばコストパフォーマンスが良い」レンズではなくて、どんな条件でも良く写って、そして他社同等レンズよりも圧倒的に安い「SIGMA 35mm F1.4 DG HSM」。35mmの明るいレンズが欲しい人は、まず最初に購入検討してみた方が良いと思います。
作例1:SIGMA 35mm F1.4 DG HSMレビュー-自由作例1-
作例2:SIGMA 35mm F1.4 DG HSMレビュー-自由作例2-
作例3:SIGMA 35mm F1.4 DG HSMレビュー-自由作例3-
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