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富士フイルムX-T1レビュー1-ファーストインプレッション

2014年09月14日 カメラ・写真
X-T1


現在約1ヶ月間お借りしている富士フイルムX-T1のファーストインプレッションです。X-T1ボディの開封から、少し触ってみたところまでの感想を載せておきます。

X-T1/XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS 開封

今回、X-T1とXF10-24mmF4 R OISXF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WRをお借りしました。レンズを2本借りたので、X-T1はボディ単品かと思っていましたが、届いたのは、X-T1 XF18-55mmレンズキットでした。
X-T1


早速開封。評判の良いXF18-55mm F2.8-4 R OISについては、今回は使う予定がないので、そのままにしておきます。
X-T1


そして、X-T1のボディとご対面!
X-T1
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X-T1ボディ外観チェック

X-T1ボディは、堅牢なフルマグネシウムボディ・アルミ削り出しダイヤル・強化LCDで構成され、防塵・防滴・耐低温-10℃のタフネス性能を誇っています。実際に持ってみると、剛性感の良さが伝わってきます。しっかりとしていて、安心できる強度です。
X-T1


そしてその剛性感を最大限に活かす、吸い付くようなラバーのグリップ。前回X-E1を借りていたときは、滑り止め素材のラバーがあるだけで、グリップは付いていませんでした。それゆえ、X-E1ボディ自体が少し大きく感じて、大きなレンズを装着すると握りにくさを感じました。今回のX-T1はグリップが付いていて手にフィットして、剛性感もあって、とても握りやすいです。握りやすいグリップが付いていると、ボディ自体の大きさは全然気にならないです。グリップの大きさはかなり控えめですが、手にしたときにちょうどシャッターボタンの位置に人差し指が来るので使いやすいです。ストラップ環の位置については、少し邪魔そうな感じがしました(ストラップを通していないので評価はできません)。
X-T1


ボディ背面。X-E1に付いていた左に並ぶボタン類がすべて廃止され、操作体系がガラッと変わりました(参考:富士フイルムX-E1レビュー2-ボタン操作性編-)。正直、X-T1の方がボタン配列がスッキリとしていて、こちらの方が使いやすいです。ファンクションボタンも6つ用意されています。EVFについては、世界最大のファインダー倍率0.77倍で世界最短の表示タイムラグ0.005秒を誇っています。ファインダーの性能自体もさることながら、EVFの位置が光軸と並んだため、個人的にはかなりファインダーが見やすくなったように感じました。
X-T1


以下、細かい点や気になった点を書いていきます。

便利なチルト式液晶

X-T1には、自由なアングルに応える、チルト式プレミアムクリア液晶が搭載されました。ローアングル撮影では、このように90度開いて撮影。EVFのアイカップがあまり出っ張っていないので、上からでも見やすいです。
X-T1


ハイアングル撮影には、反対側に倒して撮影。固定式の液晶よりも、チルト式液晶の方が断然便利で使いやすいです。
X-T1

EVFが2画面表示に対応!

X-T1


X-T1のEVFは、2画面表示に対応し、ピント位置の自動拡大表示が可能となりました。拡大表示によけいなボタン操作を必要としないため、マニュアルフォーカスをする際に便利な機能です。マウントアダプタを持っていたら、MFレンズを使うときに多用しそうです。

フォーカスアシストボタン長押しが便利

X-T1にはフォーカスアシスト機能が付いていて、スタンダード、フォーカスピーキング、デジタルスプリットイメージを選択してマニュアルフォーカスをアシストさせることができます。この変更はメニューから入って変更しないといけないのかと思ったら、フォーカスアシストボタンを長押しするだけで切り替えることができました。EVF2画面表示と合わせて、MF用の機能が充実しています。もちろん、メニューの「マウントアダプター設定」から、焦点距離の入力も可能です。ISO感度の基準/上限設定や低速シャッター限界の設定もできて、この辺りの富士フイルムの設定機能はすばらしいです。
X-T1

小型のフラッシュが付属!

クリップオンフラッシュEF-X8が本体に付属していました。。ガイドナンバーは11相当(ISO200時)です。けっこう高い位置から照射することができます。
X-T1


面白いと思ったのが、フラッシュを折りたためること。本体にフラッシュは内蔵されていませんが、小さな外付けフラッシュが付属しているのは嬉しいです。
X-T1

シャッターの感触

シャッターの感触は、上級機には珍しい感じの「半押しのクリック感強め」の機種です。半押しのクリック感がなくてふにゃふにゃしている機種やストロークの長い機種などもありますが、X-T1のシャッターは半押しのクリック感強めです。個人的にはけっこう好きです。他社の機種と併用した場合、他のカメラを使ったときに半押しで強く押しすぎてシャッターを切ってしまうことがありそうです。
X-T1


また、X-T1にはフロントコマンドダイヤルとリアコマンドダイヤルの前後のダイヤルが付いています。最初フロントコマンドダイヤルの存在に気付かなくて、リアコマンドダイヤルをグルグル回して、「シャッタースピードの微調整が効かない!」と焦ってしまいました。X-E1には存在しなかった前ダイヤルでシャッタースピード変更可能でした。また、メニューから前後ダイヤルの機能自体を入れ替えることが可能です。

X-T1のネガティブ要素

X-T1を少し触って気が付いたネガティブ要素も載せておきます。

三脚穴の位置が光軸とずれている…

X-E1をひっくり返して、「あちゃー…」と思った部分。三脚穴の位置が光軸とずれているんですね…。三脚穴の位置は光軸と揃っていないと、三脚操作しにくくなって不便です。なぜか富士フイルムのカメラは三脚穴の位置がずれていて、富士フイルムのポリシーに不思議さを感じます。
X-T1

クイックシューとバッテリー蓋が干渉する…

「三脚の穴と光軸がずれているのは我慢しよう」と思って、X-T1にクイックシューを取り付け、花火大会の会場までX-T1を持って行きました。花火撮影の途中でバッテリーが切れたので、バッテリー交換をしようとバッテリー蓋を開こうとしたら…「バッテリー蓋が開かない!」。
X-T1

三脚穴の位置が横にずれているせいで、三脚のクイックシューとバッテリー蓋が干渉して、バッテリー蓋が開きませんでした。コインを取り出して、クイックシューを取り外し、バッテリー蓋を開けてバッテリー交換をして、もう一度クイックシューを締め直し、三脚にセットし直しました。バッテリー交換時に花火の打ち上げが止まってくれたりはしないので、とても焦りました。三脚穴がバッテリー側に寄っていることによる弊害を初めて知りました。

バッテリー蓋がフニャッと開く

バッテリーカバーをオープンしたとき、スプリングで最大まで開くのではなく、「フニャ」っと途中まで開きます。勢いを付けた場合にだけ、「パン」っと最大まで開きます。別にたいしたことではないのですが、わざとこういう仕様にしているのか、少し気になりました。
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端子カバーの不具合は、公式で対応済み

一部ロットで、本体左側の端子カバーを開けっ放しにして撮影すると、光漏れが発生すると富士フイルムからのお知らせがありました(デジタルカメラ「FUJIFILM X-T1」をご使用のお客さまへ : お知らせ | 富士フイルム)。不具合を認めて、すぐ対策に乗り出してくれたところは良いですね。
X-T1

上部ダイヤルの回りやすさとロック機能

X-T1を取り出し、電源も入れずに、各種ボタンを押して感触を試しました。上部ダイヤルはさすが富士フイルム。アルミ削り出しのダイヤルは、クリック感も良い仕上がりになっていると感じました。

シャッタースピードダイヤルは、「A」に合わせるとロックされて、不用意に動かなくなる仕様が見事です。一方、ISO感度ダイヤルの方は、どの位置に合わせても必ずロックされます。不用意に動かないという長所と、ISO感度を頻繁に動かしたい人にとってはいちいちロック解除ボタンを押さなくてはいけないという短所が混ざり合っていて、何とも言えない感じです。ロックとアンロックを一律に切り替える機構が欲しくなります。

そして露出補正ダイヤルについては、最初は良さそうな造りに感じたものの、気付かないうちにダイヤルが回っていることがありました。カバンにしまうとき、カバンから取り出すとき、意外とダイヤルが回ってしまっているときがあって、露出補正がずれていることがあります。露出補正ダイヤルにロックボタンはないので、撮影前に露出補正の状態を確認するクセを付ける必要がありそうです。

というわけで、ダイヤルについては、「こっちを直せばこっちの問題が…」という問題が出てきてしまって(クリック感一つ取っても)、すべての人にとってのパーフェクトなダイヤルというのは実現できないかもしれません。

ボタンが押しにくい!

上部ダイヤルの回し心地を確認してから、後ダイヤルの回し心地も確認しました。引っ込んでいて、少しだけ回しにくく感じました。誤動作防止のために、押しにくくしたようです。後から気付いた前ダイヤルの回し心地と比べると、前ダイヤルの方が出っ張っていて回しやすいです。メニューから前後ダイヤルの機能を入れ替えることができるので、慣れなければよく使う方を前に持って行くのも手かもしれません。

上部ダイヤル、前後ダイヤルの回し心地をチェックして、最後に驚いたのが、上下左右のボタンに分かれているセレクター/ファンクションボタン。押してみてビックリ、「えー、何この押し心地!?」。
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あまりにも押しにくくて、一瞬不良品かと思いました。ふにゃふにゃしている上に、ボタンの高さが全然なくて、すごい押しにくく感じました。
X-T1


すぐにネットで情報収集開始。「X-T1 防塵・防滴 外装設計: X Story | FUJIFILM」に背面ボタンの開発秘話が載っていました。
ユーザーの声を反映させた操作系のレイアウトとタッチ

背面操作部に一工夫入れています。
このカメラは撮影時にしっかりとホールド出来る様に軟質樹脂のグリップ部品で広い面積を覆っていますが、小型化の為に操作部が近い距離となります。
ボタンを筐体から一段下げた位置に置き、表面形状を工夫することで操作の快適性と誤操作防止を両立させています。

グリップ時に不用意に押してしまわぬよう、
背面の表層から突出せぬよう設計された背面十字キー。
「あ、富士フイルムの自信作だった…」。

最初は、あまりにもボタンが押しにくくて、「よくこれで発売のGoサイン出たな」とか思ったのですが、どうやら富士フイルムの渾身作だったようです。ユーザーの声を反映させた結果、自分のフィーリングとは合わない押し心地になったようです。あちらを立てればこちらが立たず。ボタン設計は難しいですね。どうしても押しにくさが気になる人は、「価格.com - 『小さな工作。ボタンの押しやすさ向上』 富士フイルム FUJIFILM X-T1 レンズキット のクチコミ掲示板」を参考に、ボタンに革を貼ると押しやすくなるようです。

ファンクションボタン1が不意に当たる

X-T1には、6つものファンクションボタンが用意されていて、そのうちの1つのファンクションボタン1は、ボディ前面のグリップ横にあります。このボタンが右手中指の位置にピッタリくるため、不用意にボタンを押してしまうことがあります。
X-T1

自分の持っているニコンD700も、似たような位置にファンクションボタンがあります。D700の場合は、普段中指がグリップにかかっているため、不用意にファンクションボタンには当たりません。X-T1はグリップが小さく、中指がボディ側に当たることもあるので、その際ファンクションボタンを押してしまって、ファンクション機能が動いてしまいます。誤作動させないように、メニューからファンクション機能をオフにしようとしましたが、どうやら設定できないようでした。

AFモードやフォーカスエリアの選びにくさ

AFモードやエリアをダイレクトに選べるニコンD700と比べると、X-T1のAFエリアは選びにくさを感じました。ファンクションボタンの一つにAFモードの変更ボタンを設定し、他のファンクションボタンにフォーカスエリア変更ボタンを設定するとなかなか使いやすくなります。

さらに、12月予定のファームアップで「AFエリアダイレクト選択」という機能が追加されるようです(参考:重厚感と高級感に溢れるグラファイトシルバーモデルが登場! プレミアムミラーレスカメラ「FUJIFILM X-T1 グラファイトシルバー エディション」高級本革ストラップなどの専用アクセサリーを同梱 新発売 : ニュースリリース | 富士フイルム)。ファームアップでどんどん進化していくのが、富士フイルム製品の嬉しいところです。

最後に

以上に書いたことは、あくまでもファーストインプレッションなので、使っていくうちに感じ方が変わっていくかもしれません。

また、位相差AF&コントラストAFの効果や、改善されたタイムラグなどについては、今後の使用で操作感を試していきたいと思います。

借りている10-24mmや18-135mmについても、レビューを書いていきます。気になる人は、「[Z]ZAPAブロ~グ2.0:カメラ・写真」カテゴリをチェックしていてください。


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