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「あの花」の長井龍雪監督らに「あのはな」の裏話を聞いてきた

2011年11月21日 TV・映画
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(C)ANOHANA PROJECT

とらドラ!」、「とある科学の超電磁砲」、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」等の人気アニメを作り続けている、長井龍雪監督。長井監督の作品は、個人的に上記3作品全て視聴しています。その長井監督のお話が直接聞けるシークレットイベント(10名程度しか参加できないイベント)が開催されるということで、参加してきました。

2011年のアニメ話題作として必ず名前が出ると言っても過言ではないらしい、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(個人的には、「うさぎドロップ」や「逆境無頼カイジ 破戒録篇」も好きなのですが)

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は、1話目から全て視聴していて、5月にはめんまフォントを利用したWebサービスを作り、「めんまフォントお試しサイト」というものをリリースしました(あの花の脚本は岡田磨里さんが担当していて、岡田さんがシリーズ構成を担当している花つながりの「花咲くいろは」については、「ホビロン パスワード強化メーカー」というサービスを作りました。あとはカイジから「チンチロリン シミュレータ」というサービスを作ったりもしました)。

長井龍雪監督ら「あの花」スタッフから直接、「あのはな」についての裏話をいろいろ聞いてくることができましたので、ここにまとめておきます。

略は「あの花」ではなく、「あのはな」

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は、アニメとしてはとても長いタイトルで、一般には「あの花」と呼ばれたりしています。

でもこれは間違いでした。

(C)ANOHANA PROJECT

実は、タイトルロゴにわかりやすく、略称が囲ってあったのですね。斜めに丸で囲ってあるところを斜め読みすると、平仮名で「あのはな」。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の略称は、「あのはな」だというメッセージが込められていました。斜め読みするために、最後の「知らない」の部分はわざわざ一段下げてあるのだそうです。

家に帰って調べてみたところ、放映前の2010年の段階から「あのはな」のメッセージが伝えられていました。一体いつから、「あのはな」が「あの花」に変わってしまったのでしょうか。長井監督らスタッフは、略称についてはもう「あの花」が広まってしまったし、あまりこだわってはいないとのことでした。

じんたんのTシャツの文字は…


(C)ANOHANA PROJECT

主人公じんたんが着ているTシャツ。「地底人」など、毎回印象的な文字がプリントされたTシャツを着ていて話題になりました(Tシャツの柄は、じんたんのプリントTシャツまとめ(〜最終話)|まんがingなブログに載っています)。

どうして、このようなTシャツになったのか、田中将賀キャラクターデザイン・総作画監督が教えてくれました。第一の理由は、難しい漢字や絵柄にしてしまうと、アニメーションさせるのが難しくなって、キャラの演技に集中できなくなってしまうことから。そしてもう一つの理由は、最初に田中さんがTシャツを作画したところ、「毎回変わるのこれ?」と聞かれて、「まぁ、変わるけど?」と答えてしまったせいで、最後までTシャツの文字を変えることになったそうです。文字は田中さんがテンションやノリで考えて決めていたそうです。

カントリーマアムなどの小物は指定?

作中にカントリーマアム、C.C.Lemon、ガリガリ君などの実在する小物が多数登場します。これは、岡田磨里さんの脚本の中に、実在するお菓子の名前が決め打ちで書かれていたからだそうです。スタッフはそれを見て、各社に許諾を取りに行ったそうです。

キャラクターごとに違うマグカップは?

あのはなでは、キャラクターごとにそれぞれマグカップがあります。それらも実際に手に入れることの出来るマグカップだということで話題になりました。以下に、販売ページのリンクを張っておきます(つるこのマグカップの販売ページは見つけられませんでした)。 こちらのマグカップについては岡田さんの脚本にあったものではなく、作画する際の参考資料として本物のマグカップを参考にしていて、描いていていいデザインだと感じたために、そのまま使ったそうです。こちらは了解を取っていなかったので、売り切れになってしまって迷惑をかけてしまったかもということです。

アニメ怖い

「アニメは何でもつくれてしまう」。「余計なものは絵の中に勝手に入ってこない」。だから、意図しないものは絵の中に入れないようにしているそうです。アニメは基本の集まりだからこそ、補強として小物を使ったりしているそうです。だから、小物などは、あえて狙って出てきています。マグカップや髪留めの演出等はかなりうまくいっていたと長井監督はおっしゃっていました。

作画の田中将賀さんは、泣きの演技を「作為的に見せない」ことに注意したそうです。アニメを見て泣いてはもらいたいけれど、「ほら、ここは泣くシーンだよ」と作為的に見せてしまうと、逆に視聴者がひいてしまい、そこに作画の難しさがあります。また、あのはなには泣きのシーン意外にも、走るシーンも多く登場します。これは、「青春と言えば走る」から来ているそうです。ただ、走るシーンというのは作画が難しく、それは脚本や演出とあわせて、「意味のある走り」だったからこそ、うまく作画も決まったそうです。

ファンタジーとリアルの融合

めんまといういわば幽霊が登場しているのに、その他のあのはなの設定は小物や舞台背景等を含め、かなりリアルです。これはめんまが幽霊ということで初めに大きなウソをついてしまっているので、それ以外はリアルっぽく、周りが気にならないように、アニメに集中できるように、そのような設定にしているそうです。キャラの演技を丁寧に描き、それを邪魔しないためには、目になじむリアルっぽい光景の方が効果的だということです。また、この作品は「売れる」「売れない」で作ったものではなく、やりたいことをやって作ったアニメだそうです(結果は、アニメ史上3位の売上げを記録する大ヒットとなりました)。

花の意味は?

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」。タイトルや最終話にも、5枚の花びらの花が出てきます。これの意味はというと…。最初にデザイナーさんの描いた5枚の花びらのロゴがきれいで、それを見て、そこからイメージをふくらませていって使うことになったそうです。わすれな草の花言葉には「真実の愛」「私を忘れないで下さい」といったものがあります。ネット上でのいろいろな考察を読んで、「へぇ〜、そんな意味もあるんだ」と、新たな解釈に感心したりもしているそうです。また、第1話で牛乳ビンの中で枯れていた6本の花は、最終話では6本とも咲いている演出になっていたりします。

長井監督は広角が好き?

質問コーナーがあったので、長井監督に質問してみました。「とらドラの1話目で、魚眼というか広角レンズで撮ったような演出があってインパクトがあったのですが、それは“頭を良く見せるため”と月刊アニメスタイル 第1号に書いてありました。あのはなでも、同じように狙った演出はしましたか?」と。あの花では、とらドラと違って、日本映画風に、「フラット」な演出を目指したそうです。「奇をてらわない」ことを意識して作ったので、広角で歪んだ演出みたいなものはしなかった、と。ただ、基本的に長井監督は広角の演出も好きみたいです。


というわけで、イベントで聞いてきたことを自分なりにまとめてみました。長井監督はまだ35歳の若手監督で(しかもイケメン)、どんな人かと気になっていました。あの花:ノイタミナの人気アニメ 長井龍雪監督に聞く 「丁寧にドラマを描く」 - MANTANWEB(まんたんウェブ)の写真を見ると、少し怖い人なのかなぁと心配していたのですが、実際はもっと気さくで、そしてすごく頭の回転の速い人だと感じました。前回の“もし「あの花」スタッフがSONYの4倍速液晶で「あの花」を見たら”の時も素直に受け入れていたのが印象的でした。これからも長井監督はどんどんヒット作を飛ばしてくれると思いますので、また次回作以降に期待したいと思います。



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