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ニコンが理系に人気(?)な理由

2008年06月25日 カメラ・写真
理系だからニコンの一眼買ったよーヾ(*´∀`*)ノ゙ キャッキャッ



一眼レフですごいことに気づいた:[mi]みたいもん!」によると、
・キヤノンは文系
・ニコンは理系
・他は変わり者系
だそうです。


生まれて初めて買った一眼レフカメラは、ニコンのD60でした。かなり悩んだあげくニコンに決め、今年3月に購入しました。まさか、発売から4ヶ月も経たずにD60キャッシュバックキャンペーンが始まるとは思っていませんでしたけどね。今ならD60 ダブルズームキットは、1万円キャッシュバックで実質7万5千円くらいで、ボディ、手ブレ補正付き標準レンズ、手ブレ補正付き望遠レンズが購入できます。「特集 初めて買うデジタル一眼レフ(1):デジタル一眼レフ、購入のチェックポイント」には、レンズキット付きで10万円がオススメなんて書いてありますが、D60なら10万円でお釣りがきます。

NikonのD60D40は、画質面では一切手を抜かずに、ボディ内のモーター省略、AFポイントをたった3点にすることなどで低価格を実現しています。D40に至っては、高画素化を避け600万画素に抑えたことで高感度にも強くなり、ボディ価格3万5千円という超低価格を実現しています。初心者よりも、むしろ熟練のプロのサブカメラとして評価されていたりします。

D60やD40はボディ内のモーターが省略されているため、ニコンのレンズでは最新の超音波モーター搭載レンズ(AF-Sの名が付くレンズ)しかオートフォーカスが動作しません。ところが、オートフォーカスに頼らず、自分でマニュアルフォーカスすることにすれば…


なんと40年以上も前のレンズでも普通に写真が撮れます!


「写真が撮れるって言っても、フィルム時代のレンズだから、ぼやけた写真しか撮れないんじゃないの?」
とか思っていたのですが、どうやらそうではないらしいことを知って、今から24年くらい前に発売された「Ai Micro-Nikkor 105mm F2.8S」というマクロレンズを試しに中古で買ってみました。

このレンズを付けた状態が上にある写真です。ボディ側の制約で、どうせオートフォーカスできないのなら(モーター内蔵レンズ以外ではAF動作しない、AFエリアが3点しかない)、古いマニュアルレンズを使ってマニュアルフォーカスに挑戦してみようと思ったわけです。(しかもマクロ撮影は、基本的にマニュアルフォーカスの人がほとんど)

それで、実際に写真を撮ってみて驚いたのは、「恐ろしいほどシャープに写る」ということです。現代の中級クラスのズームレンズでは話にならないくらい、シャープに写ります。

文章では良くわからないと思いますので、実際の作例をどうぞ。今の季節に合わせて、あじさいを撮った写真です。(画像クリックで拡大します)




































どうでしょうか?
1980年代に発売されたレンズだとは思えない写りです。まさか、フィルム時代の古いレンズがこんなにもシャープに写るとは思ってもいませんでした。

ニコンの開発者は、マクロレンズのことをわざわざマイクロレンズと呼ぶくらい誇りを持っています。105mmではなく55mmのレンズになりますが、次のページに詳しい話が載っています。
ニッコール千夜一夜物語 | 第二十五夜「Ai Micro Nikkor 55mm F2.8」(前編)
ニッコール千夜一夜物語 | 第二十六夜「Ai Micro Nikkor 55mm F2.8」(後編)
「マクロレンズ」は社会的に認知された近接撮影用レンズの一般名称です。では、「マイクロレンズ」はどうですか ? 学術的にはどちらが正しいのでしょうか ? なぜ当時の開発者は近接撮影用レンズに「マイクロ」の冠を付けたのでしょうか ? そこには厳密性を重んじた当時の開発者たちの思いがあったのです。

 マクロ写真の定義を古い写真用語辞典で引くと「原寸大以上の倍率で撮影する写真」と定義されています。したがって、マクロレンズは顕微鏡のような拡大光学系を指すのです。しかし、S型カメラの時代では、近接撮影用レンズは、せいぜい撮影倍率1/2倍から等倍までの縮小光学系です。したがって、マクロレンズ(=拡大倍率で撮影できる光学系)ではないのです。当社は他に立派な拡大光学系(顕微鏡等)を開発・販売していました。当時の開発者は、はっきとしかも正確に区別をしたかったのです。開発者たちは厳密な「定義」を良しとし、「売りやすさ」に背を向けました。
この辺りの技術者のこだわりが、理系な自分にはたまりません。「一般消費者にたくさん売ること」よりも、「技術者のこだわり」を追求したわけですからね。そのこだわりが今でも受け継がれ、冒頭の
・キヤノンは文系
・ニコンは理系
・他は変わり者系
につながっているのではないでしょうか。

ニコンの技術者にとって、低価格化のためにD60やD40からボディ内のモーターを省略したことは、苦渋の決断だったのかもしれません。その代わりとして、数十年前のマニュアルレンズでも撮影できる道を残しました。今までの長いこだわりの歴史があるからこそ、古いレンズでも新しいレンズでも、素晴らしい描写を見せてくれるのだと思います。

正直、進化の速いデジタルの世界で、20年以上も前に開発されたレンズが現代でも普通に使えることに驚きました。D60ではCPUを内蔵していない古いマニュアルレンズでは露出計が動きませんが、その辺りはデジタルの力でどうにでもなります。適当に露出を決めて一枚撮り、その場プレビュー表示でヒストグラムを確認し、シャッタースピードを変更して写真を撮ります。それでも露出がずれていれば、撮影したRAWファイルをPCで調整すればちゃんとした写真になります。アナログとデジタルを組み合わせて写真を撮るのもなかなか楽しいものです。

激安なD40(3万5千円くらい)を使って、古いレンズでマニュアル撮影している人は多く、
ニコン D40【第7回】マニュアルカメラ化作戦
などでも挑戦レポートが載っていたりします。


どうです、理系のみなさん?

ジャパネットたかたの本当のすごさが次の動画で良くわかります。
ジャパネット たかた テレビショッピング(地元長崎バージョン)
ジャパネット たかた テレビショッピング(香港バージョン)


デジタル一眼レフカメラの選び方だけで、本当に理系や文系が分けられるのかはわかりません。でも、自分はニコンのカメラが好きになったことだけは確かです。買う前よりも、買った後の方が。


キムタクの台詞は本当だったんだなぁ、と当時全く興味の無かったデジタル一眼レフカメラを手にして思います。


やっぱいいわ、ニコン。

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