退院しました
2007年11月23日 お知らせ
ご心配おかけしました。昨日退院することができました。当初の予定よりはるかに早く退院することができました。全身麻酔を受け、意識を失い、身動きできない状態で2時間半以上の手術を受け、その後熱が出て眠っていたのが21日。まさか、その次の日22日に退院できるとは思ってもいませんでした。自分が一番驚いています。どうもご心配おかけしました。
以下、自分用の入院・手術備忘録です。
こういう風にメモを残しておくと、あとでまた何かあったときにいつでも思い出せますので。
20日 | 09:30 | 家を出て、徒歩で病院へ。 |
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10:00 | 入院受付。 | |
10:10 | 6人部屋の自分のベッドへ。 寝衣に着替え。 体温、血圧、脈拍の検査。(以降、定期的に検査) |
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12:00 | 昼食。 | |
13:00〜 | 手術に邪魔な髪の毛を剃られる。 担当の看護師、麻酔科の先生、執刀医の先生などとあいさつ。 全員から、「アレルギーやぜんそくは?」と聞かれる。 看護師(女)「アレルギーとか大丈夫?牛乳とか、いろいろ大丈夫?」と聞かれたので、「アレルギーではないですけど、牛乳は嫌いです」と答え、朝食の牛乳は抜きにされる。 麻酔科の先生「(側頭部を見て)あぁ、そこね、よくいるんだよね」 執刀医(女)の先生「その後、特に変わりはない?写真撮らせてね〜。カシャッ。手ブレ機能って便利ね〜、私でもキレイに写真が撮れる」。 ここで、退院日について先生に聞く。手術の前の日、手術日、手術の次の日の入院は仕方ないとして、その後3〜4日も入院する理由がわからなかったので。 「手術が終わってから抗生剤の点滴して、感染症がないか確認して、その後抜糸して、退院は週明けの月曜日くらいだね」と言われる。そうか、そういうことなら仕方ないな、と思い早期の退院は諦める。 「明日は誰が来るの?」と聞かれ、「えっ?誰かって…家族の誰かがってことですか?」と聞き返す。全身麻酔をして何かが起こるとまずいので、手術中は誰かが待機していないといけなかったらしい。携帯電話は院内禁止なので、公衆電話から母親に電話する。「あぁ、オレオレ。明日の10時くらいから手術だから、それより前に病院来て」。オレオレ詐欺もこんな感じなのかなと思う。 空いた時間は、持ち込んだ「人間失格」を読んだり、昼寝したり。 |
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18:00 | 夕飯。 以降、手術が終わり、先生の指示が出るまで絶食。水分補給は24時まで。 |
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20:00 | ちょっと早いけど、眠くなってきたので寝る。 | |
21日 | 03:00 | 周りが騒々しいので目が覚める。周りのいびきくらいは覚悟していたものの、そういう問題では無いことに気付く。喉を鳴らしている人、点滴台をガラガラ押しながら歩く人、なんの躊躇もなくナースコールしまくる人…病院の夜は騒がしい。本でも読んでいればすぐに眠くなれそうだったが、電気を付けっぱなしにしてはいけないので我慢。代わりに、持ち込んだMP3プレイヤーで音楽を聴く。 いつ食事ができるようになるのかわからないのに、すでにお腹が減っていて不安になる。 |
06:00 | なかなか眠れず10分くらい前に再び眠ったものの、朝の検査ですぐ起こされる。 | |
06:10〜 | 読み終えていない「人間失格」を読みはじめ、読み終える。鬱になる本かと思っていたら、そうではなく共感できる部分も多々あり、共感できない部分も多々あり。自分に思い当たるところもたくさんあったが、そこまで考えすぎてもいないところもたくさんあって、少し安心したり。60年近くも前の小説なのに、これほどまでの葛藤や表現力をもっている太宰治に驚く。読み終えてから、太宰治の写真とはしがきの表現を何度も見比べる。 | |
08:00 | 周りで朝食が始まる。 「人間失格」の中で、「私はお腹が空くという感覚がわからない」とあったが、自分は既にお腹が空きすぎて早く何か食べたい気持ちでいっぱいだった。 |
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08:30〜 | 黄緑色の術衣に着替え、血栓予防のための白くて締め付けるタイツのような靴下をはく。タイツの隙からすね毛がはみ出しているところを見て苦笑い。 点滴が始まる。刺した針は、次の日までずっと左腕につながったまま。 弟から借りてきた本多孝好の「MOMENT」を読み始める。適当に借りてきた本なのに、「病院で掃除夫としてバイトする主人公が、必殺仕事人として死の間際の人間の願いを叶える」内容。主人公の存在を知った病人は確実に死んでしまうという。ちょっと縁起が悪い。太宰治の後に読んでしまったので、なんだか薄っぺらく、あまり面白くない内容。文芸はあまり進化していないのかも、と思う。 |
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10:00 | 手術前に母が来る。 「手術中はトイレ行けないからね」と当たり前のことを看護士から言われていたので、トイレは済ませておく。 看護師が来て、手術室まで連れて行かれる。眠いのか何なのか、少しボーッとしている感じがする。 点滴をしてベッドに寝かされたまま、4階から2階の手術室までガラガラと運ばれる。テレビドラマで良く見るシーンを体験。 手術室の中に入る。 手術室の中に、さらにいくつも手術室があることを、この時初めて知る。 「まだ前の患者さんの手術中なので…」 中の看護師が何やらもめているのを聞いていると、どうやら「来る時間を間違えた」らしい。ベッドに寝たまま、また4階の病室まで戻る。「緊張させちゃってごめんね〜」と言われる。病室で10分ほど待ち、今度は本当に呼ばれる。もう一度ベッドに寝たままガラガラと2階の手術室へ(10分くらいなら手術室の外で待ってたのに…)。 |
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10:20〜 | ベッドに寝かされたまま手術室に入った後、なぜかそのベッドから下り、自分の足で手術室の中の手術室に歩いて入る。手術台に腰掛け、手術台の上に寝る。手術台は細くて、やや高い位置にあった。天井にはテレビドラマで良く見る、手術室のライトが。周りに麻酔の先生や執刀医の先生など6人に囲まれる(こんないっぱいいるんだ…)。 「患者確認、名前は?」「ZAPAです」 「寒くないですか?」「少し寒いです」 寒いのか、緊張のせいなのか、ちょっと震えていることに気付く。電気毛布にさらに毛布を重ねられる。怖くなってきた。 「肩の方まで、少し痛いですよ」と言われ、何のことを言っているのかわからなかった。先生の顔や天井のライトに焦点が合わなくなってくる。グニャグニャする。「やばい、焦点が合わない…」と思っていたら、左腕に激痛が走る。「痛い!」「全身麻酔が痛いなんて聞いてないよ!」と冷静に、でも苦痛で顔をゆがめながらも、さらに視界はぼやけ、腕が痛くなる。 「イタッ、イタタタタタッ!」 と思った瞬間、次、目を開けたら天井は真っ白に。側頭部が痛いことを感じ取り、手術が終わったことを知る。 |
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13:15 | 看護室の隣の部屋へ。 何か話しかけられてもうまくしゃべることができない。体もうまく動かない。酸素吸入はしたまま。 定期的に、体温、血圧、脈拍の検査をする。38度弱の熱が出ていた。熱いし、頭もボーッとしていたので、電気毛布や普通の布団をとってもらう。 「手術成功しました」どころか「手術が終わりました」とも聞いていないので、母に「手術は成功したの?」と聞いてみた。「成功したんでしょ」と逆ギレ風に言われ、本当に成功したのかどうかよくわからず。手術から3時間近くが経過していたことを知り、一応、手術中待機していてくれた母をねぎらって「ごはんは食べたの?」と聞いてみた。「お父さんの時大変だったから、食べてきたよ」と言われる(あとで姉に聞いてみたところ、院内の売店で何かを買って食べたとかの話ではなく、病院を出て普通にレストランでハンバーグを食べていたらしい。それ、待機と呼べないんじゃ…)。麻酔が抜けきらず、熱が出てボーッとしている中、隣の母はペットボトルで水分補給したり…うまく動かない口を開いて「もう帰っていいよ」と言いそうになったが、グッとこらえる。 |
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16:00 | 執刀医の先生が来る。「うん、もう大丈夫だね。お水も飲んでいいし、トイレに行ってもいいから」と言われる。尿瓶のお世話になることがなくてホッとする。昔ジャンプに「シビンコボスナー」ってネタがあったことを思い出す。 先生から切除した部分を写真で見せてもらう。15mm*20mm*厚さ不明(2次元写真なので)の塊がホルマリン漬けの瓶の中に入っていた。もう検査に出してしまったらしい。「たいした大きさじゃないんだけどね」と先生は言っていたが、自分の頭の中にそんな物が入っていて、それを取ってしまっても大丈夫なのかとちょっと心配になる。 |
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16:05 | 酸素吸入器を外し、ベッドのまま病室へ戻る。 看護士にベッドを傾けてもらう。自分の力で起きようとしたが起き上がれない。ずっと横になっていた後、無理に起き上がると酔うということをリアルで知っていたので無理はせず。リアルで知っているというと、一度体験しているみたいだが、漫画「リアル」の中でそういうシーンがあったことを思い出しただけ。 少し経ち、何とか起き上がれるようになる。 自分一人で歩けることを確認して、母は帰る。さっさと帰りたかったようだ。 |
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18:00 | 周りで夕飯が始まる。 先生から「ごはんは明日の朝からね」と言われ、ショックを受ける。「お腹空いた…」。 |
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18:30 | 熱は引かず、ずっと38度弱のまま。頭もボーッとし、あまり力も入らず、文字を読む気にもなれず、やることも何もないので寝る。 | |
19:00 | 父がお見舞いに来る。今日来るとは聞いていなかったので予想外。「眠ってたんだから、起こすなよ」と思ったような思わなかったような。「何か買ってきてあげれば良かったな」と言われたので、「今絶食中だから」と答え、ミネラルウォーターだけ買ってきてもらう。「指四本の接合手術を受けたときは、絶食とかなかったけどな」と父。 看護士が来て、いろいろ検査。熱は下がらず。検査が終わり、父も帰る。 再び寝る。その後、寝ているのもお構いなしで何度か検査や、点滴のチェックをされる。 |
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22日 | 03:00 | 手術が失敗した夢を見る。また3時に目が覚めてしまう。 熱は下がったようで気分は悪くない。手術したところも特に痛くない。 隣にナースコールしまくるおじいさん。おむつを変えてもらった後、その10秒後に「おしっこ」ともう一度コールする。嫌がらせとしか思えない。相変わらず、病院の夜は騒々しい。自分のところにも点滴のチェックで見回りが何度か来る。 |
05:30 | 再び眠れた。 家に帰って、おいしいごはんを食べた夢を見る。 |
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06:30 | 看護士(女)が検査に来る。名前を見て、これ「○○って読むんでしょ?私の時代は、たくさん漢字の勉強したの。今の子どもたちはあまり漢字が読めなくてかわいそう。ケータイで何でも”転換”できちゃうし、そうやってメールとかでしかコミュニケーションをとれないのがかわいそう。点滴はあとちょっとね。スピード速くしておくわね。速くすれば、その分速く終わるから。そしたら、次の点滴に移れるしね」おいおい、適当にスピード変えるのはまずいんじゃ…と思ったけど「あっ、でも時間が決まってるのか…」と、点滴袋の時間を見て思い直した様子。「今日の朝はね、五分飯だから。お腹空いてる?空いたでしょ?」と言われ、「もう27時間前からお腹空いています」とは答えず、「はい…」とだけ答える。あまり食事のイメージはしたくなかったが、「五分…五分粥かぁ。お腹の負担のことを考えておかゆなんだなぁ。あたたかくて白いおかゆかぁ」と想像する。 | |
08:00 | 朝食が届く。おぼんには「おかゆ」ではなく「食パン」が乗っていた。「あれ、おかゆは?」と思った後に、気付く。 「五分って、量が半分って意味か!」 気を取り直して、ごはんを食べようとした瞬間、執刀医の先生登場。 「ごはんのところ悪いけど、手術したところ見せてくれる?」 |
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08:05 | 部屋を移動し、包帯を外され、2人の先生に見てもらう。 「うん」とか「うーん」とか、2人の先生は言い合った後、突然 「退院する?」 と言ってきた。 「それで、大丈夫なら…」と答え、抗生剤の点滴の代わりに飲み薬に切り替え、抜糸は来週通院でしてもらうことにする。 |
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08:10 | 部屋に戻り、久しぶりの食事を取る。 退院できることを知り、気分も晴れやかでペロリと完食。 左腕にはまだ点滴が刺さったまま。点滴され続け、昨日全身麻酔で全く動けなかったというのに、もう退院できるという実感が湧かない。 「籠もりっきりになっちゃダメよー、朝日を浴びなくちゃ」と看護士(女)が6人全員のカーテンの仕切りを開け、窓から朝日が射しこむ。 「あぁ、入院生活は終わったんだな」。 |
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10:00 | 点滴が終わる。 「希望の退院時間はありますか?」「いや、特にないです。いつでも大丈夫です」 午後くらいに退院できるのかな、嬉しいな、と思う。まだ誰にも連絡していないけど。きっとみんな驚くだろうな。 |
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10:30 | 「書類ができたので、もう退院して大丈夫です。これを持って精算してから退院してください。家族の方は誰か来られるんですか?」と言われる。あっ、もう退院できるんだ…。「いや、うちに誰もいないみたいで…」と、家に電話しても誰も家に出なかったことを伝える。 請求金額を見る。財布の中のお金では足りない。「あの、精算は今日じゃないとダメですか?」「うーん、もし無理なら納入延期もできますけど…。延期の申込用紙持ってきますね」 用紙を持ってきてもらい、書き込む。「保証人」の欄に「電話確認」という項目があることに気付く。「あの、携帯電話もないので保証人の確認を取ることができないんですけど…」。 特別に、今日中にお金を払えば良いことにしてもらい、病院を後にする。 |
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11:00 | 徒歩で家へ。お迎えもなしに、歩いて自宅へと向かうと「退院」の実感が湧かない。 重い荷物を持って、坂道を上るだけで息が切れる。たった2日で体力は落ちるもんだな。というか、入院前に姉が「何か読みたい本ある?」と言ってきたときに、「はじめの一歩最初から全部読みたいなー」と冗談で言ったら、本当に15冊も買ってきてくれて、それを病院に持ち込んでいたので、持って帰ってくるのが大変だった。まだ1冊も読んでいなかったのに…。 |
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11:20 | 家に着くと、姉がいた。朝のバイトが終わって帰ってきていた。 「あれっ、病院抜け出してきたの?えっ、退院?本当に?」 姉はビックリしていていた。本当は姉よりも自分の方がビックリしていた。 「昨日、幽体離脱して、自分の部屋戻ってきたでしょ?突然あんたの部屋から音楽が流れてきてビックリしたんだからね」「あっ、それ、コンポが壊れてるだけだから。呪われてるのか何だか知らないけど、電源切った後、勝手に電源が入って、音楽が鳴り出すんだよね。コンポも持ち主のことが心配だったんだよ」と他愛もない会話をしてから、ごはんを食べる。 「あぁ、家に戻ってきたんだな」。 |
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13:30 | お金を払いに歩いて病院へ。今回の費用は保険適用前で約20万円(手術料2.9万円、麻酔料7.6万円、入院料6.2万円、その他)。そしてまた歩いて自宅へと戻ってくる。全身麻酔の次の日に、1時間も歩き回るのは自分くらいなんじゃないかと思う。あまり力が入らず、体力が落ちていることを実感したが、途中で倒れることもなく戻って来られた。 これからも健康でいたいな、そう思って、また眠りについた。 |