ZAPAnet総合情報局 > ZAPAブログ2.0 > [読書]ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら

[読書]ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら

2014年07月03日 読書
ラーメン屋の看板娘

去年、「来来亭はなぜフランチャイズシステムを導入しないのか」を書いたときに気になった一冊、「ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら」。記事を書いたあとすぐにアマゾンで注文していたのですが、「なんかタイトルがもしドラっぽいし、どうせつまらないのだろう」と、今まで読んでいませんでした。せっかく買ったのに。

最近来来亭にみそラーメンを食べに行って、久々にこの本のことを思い出したので読んでみました。

いざ読み始めたら、意外や意外、面白い!そして勉強になる!

この「ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら」という本は、マーケティングの本でした。マーケティングが学べる小説になっています。
ラーメン屋の看板娘

特に気に入った箇所は、
高品質は売れない。それは品質に甘えて売る努力をしないからだ。むしろ低品質の方が売れる。それは売る努力をするしかないからだ。
の部分です。たしかに日本のメーカーにも、「使えばわかる」良さがあるのに、広告宣伝しまくりで性能の低いライバル社より売り上げの低いメーカーがあったりします。売り上げが伸びないのは、高品質に甘えて売る努力が足りないことの結果だと本書には書かれています。
いいですか。良い商品を取り扱っている人ほど、その商品に甘えてしまうんです。「食べればわかるんだ」「使ってくれたらわかるんだ」って。だから売る努力をしない。

一方、商品に自信がない人ほど、なんとかしてこれを売らなきゃという気持ちになって行動に移すんです。商品に甘えられない状況がそうするということです。
少し耳の痛い話ですが、もし耳が痛くなるようなら、「ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら」を読んだら、新しい発見があると思います。


また、コストコ、ディズニーランド、ユニクロ、マクドナルド、ラーメン二郎、吉野屋などの良いマーケティングの例も実名で登場します。
ラーメン屋の看板娘

たとえば、ジャパネットたかたの例なら、このように書かれています。
ジャパネットたかたのすごいところは、「何を買うか」という性能よりも、「この商品があるとこんな生活が送れる」という利用シーンを強烈にアピールしているところです。つまり買う人は「最高のカーナビ」という「モノ」を買っているのではなく、「カーナビでの最高のドライブ」という「コト」を買っているわけです。

他にも、成功する人に共通している三つの要素
・素直
・プラス発想
・勉強好き
などの説明や、マーケティングに大切なことがこれでもかとストーリー内に組み込まれています。著者が300社1500店舗以上のラーメン店の経営に携わってきたプロなので、空想上のマーケティング理論ではなく、実際に使えそうなテクニックが満載です。ラーメン屋だけではなく、商品を売る他のマーケティングにも応用できます。

こういう小説の欠点として、マーケティング知識を押しつけすぎるとストーリーが弱くなるし、小説を意識しすぎてもマーケティングを学べる部分が少なくなったりすることがあります。ところが、この「ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら」では、これらマーケティングの知識がラーメン屋を建て直すというストーリーに沿って、スッと頭に入ってくる内容になっています。文章は難しすぎず簡単で、それでいて各キャラクターの特徴も出ていて面白いです。もし、「コンサルタントが出てきて、言われるがままマーケティングをしたら売れた」という内容だったら、面白くも何ともないです。この本では、コンサルタントの助言を通して、ラーメン屋の内面から変わっていくところが、成長物語として楽しく、共感できるところです。

正直、ここまで読める小説だとは思ってはいなかったので驚きでした。ストーリーには伏線まで張られていて、読後感もかなり良いです。小説として読めばマーケティングの勉強ができるし、マーケティングの本として読めばストーリーも楽しめる一冊になっています。ビジネス書っぽく、大事なところは太字になっていたりします。

勉強にもなってストーリーも面白かったので、オススメの本です。気持ちよく読み終わってから、「ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら」というタイトルと表紙を見て、「あぁ、むしろ出版社のマーケティングが少し滑り気味だな」と思いました。「ラーメン屋の看板娘」というところが微妙ですし、中には挿し絵なども入っていなくて、ラノベにもなっていません。中身はすごく勉強になる内容なので、むしろタイトルで損をしているような印象さえ受けました。

「もしドラのパクり」という偏見で、今まで積ん読していたのがもったいなかったです。「ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら」は、今年上半期に読んだ本でベストの一冊でした。




関連リンク
[読書]100円のコーラを1000円で売る方法
[読書]まんがでわかる7つの習慣
来来亭はなぜフランチャイズシステムを導入しないのか