写ルンですの描写をミラーレス一眼で!Utulens レビュー
2017年10月30日 カメラ・写真

10月19日、ギズモンから、あの富士フイルムの写ルンですのレンズを移植したミラーレス一眼用交換レンズが発表されました。
使用済み「写ルンです」のレンズを再利用しました。という表記を見て即注文。マウントは、マイクロフォーサーズ、Eマウント、XFマウント、EOS Mマウント、Nikon1マウントに対応しています。写ルンですは、庶民向けながらもフルサイズのカメラとレンズなので、フルサイズに対応しているソニーEマウントが一番描写を楽しめます。
ということで、九州からソニーEマウント用のGIZMON Utulensが到着!

中には、写ルンですのレンズ(プラスチック製の非球面メスカスレンズ)、マウントアダプター、スキンシール、ポーチ、レンチ、マニュアルが入っていました。

説明書。そのままカメラに装着できるかと思ったら、自分で組み立てないといけない作りでした。

左が写ルンですから取り外して再加工したレンズ。32mm F16のフルサイズ対応単焦点レンズです。右がマウントアダプター。Utulensが売り切れになった場合、写ルンですからレンズを回収しないといけないため、再販に時間がかかります。

反対側。実は、マウントアダプターはライカL39マウントアダプターになっていました。これでソニーのカメラに、ライカのレンズも取り付けられるようになってしまいました。

マウントアダプターの方は金属製です。一方、レンズの方は樹脂製で、耐久性は低そうです。

合体!

α7IIにUtulensを装着!
フルサイズのソニーα7IIにUtulensを装着!Utulensはパンケーキレンズなので、もっとコンパクトな姿になるかと思ったら、残念ながら大柄です。レンズに不釣り合いな大きなグリップとEVFです。ソニーEマウントのカメラとして、グリップとEVFのないシンプルなフルサイズ一眼も発売してほしいと思いました。
NEX-5RにUtulensを装着!
続いて、APS-CサイズのソニーNEX-5RにUtulensを装着!あぁ、これです!これがUtulensに求めていたサイズ感。NEX-5Rにピッタリです。
Utulensは、フルサイズのカメラに付けると32mmの広角レンズ、APS-Cサイズのカメラに付けると48mmの標準レンズ、マイクロフォーサーズのカメラに付けると64mmの中望遠レンズになります。写ルンです本来の描写を楽しむには、フルサイズが一番ですが、サイズ感を考慮して、NEX-5RでUtulensを楽しむことにしました。
ということで、NEX-5RにUtulensを装着して、パシャっ!

無加工でこの色味!!
フィルムライクなフィルターとか加工とかって流行っていますが、この写真、トリミングと字入れ以外は無加工です!なんのフィルターも使わず、こんな色味の写真がパシャパシャ撮れます!!
Utulens 作例
ということで、適当にUtulensで撮った写真です(画像クリックで大きくなります)。すべてトリミングと字入れ以外は無加工です。APS-Cサイズでの利用ですが、少し周辺光量落ちもあって楽しいです。画角は標準の48mmで、扱いやすい画角です。


逆光は勝利!
このUtulens、レンズに光が当たったときの描写が素晴らしいです。順光だと、予想外にうまく写ってしまってあまり面白くありません。ところが、レンズに光が当たると、色がフィルムっぽい写りになって、とても面白いです。
昔の写真を見ると、色味のおかしな写真があったりします。あれは、フィルムの味だと思っていたのですが、写ルンですに関しては、レンズの方にも味がありました。逆光に弱く、光が当たると、色が変わってしまうんですね。でもそれが楽しいです。コントラストが落ちて、赤紫っぽく淡くなった色味は、インスタ映えします。今回はサンプルのためすべて無加工ですが、ここからさらにフィルターで加工しても楽しいと思います。
それと、テクニックとして、前面のレンズユニットを外してしまって、隙間を空けて撮影すると、「光漏れ」の写真が簡単に撮れます。
近距離の撮影にはテクニックが必要
あと、いろいろ撮ってみて失敗したのは、近距離の撮影について。このUtulens、絞りもフォーカスリングもないので、どこでもほぼパンフォーカスになるかと思っていました。ところが、意外と近距離にはピントが合わなくてボケます。このようにテーブルフォトを撮ろうとすると、確実にボケます。

それどころか、60cmくらい離れて人物を撮影しても、顔がボケてしまいます。
実は、前面のレンズユニットのネジを緩めると、近距離にフォーカスを合わせることができる仕様になっていました。1m以内の被写体を撮影するときは、レンズを緩めてピント合わせをしないと、ボケた写りになってしまいます。
Utulensまとめ
GIZMON Utulensは、富士フイルムの写ルンですから、丸ごとレンズを抜き取って作られたミラーレス一眼用交換レンズです。とてもコンパクトで軽く、それでいてフルサイズ対応のレンズです。写りに関しては、中心の解像度は予想よりも高めでした。中心以外の解像度については、本来写ルンですではフィルムの方を湾曲させて解像度を高めていますが、デジタルカメラのイメージセンサーを写ルンですのレンズ用に湾曲はできないので、解像度は少し下がります。それでも、レトロな写りの雰囲気を出すには十分な性能です。逆光の弱さを活かして、なるべく光を取り入れて撮影すると、色味が変わって楽しい写りになります。
また、絞りF16固定ということで、暗くなってきたら撮影は終了です。デジタルカメラなのでISO感度は自由に変えられますが、さすがに限界はあります。α7IIのように、カメラボディ内手振れ補正が付いている機種では、よりシャッタースピードを落として撮影することができます。
NEX-5Rのような小さいカメラにUtulensを装着すると、上着のポケットにも入るコンパクトサイズなので、サッと撮ってサッとしまえます。レンズカバーは付属しないため、ホコリが付いたら、眼鏡拭きのような柔らかい布で拭くのが良いと思います。1m以上離れていればピントを合わせる必要もなく、シャッターボタンを押すだけで撮れます。お手軽にインスタ映えする写真を撮るにも、こういう機動力の高いレンズは嬉しいです。
ということで、レトロな写真が好きな人、インスタ映えする写真が撮りたい人、いつもと違った写真が撮りたい人に、GIZMON Utulensはオススメです。