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iTunes Matchで、違法音楽ファイルが合法に!?

2014年05月02日 音楽
iTunes Match


本日、Appleから「iTunes Match」という音楽サービスが発表されました。iTunes Matchは、CDから読み込んだ曲も含め、すべての音楽をiCloud上に保存し、自分のどのデバイスからもアクセスできるようになるサービスです。年額3980円で利用できます。
iTunes Match は、CD などほかのソースから読み込んだ曲も含め、すべての音楽を iCloud に保存します。どのデバイスからでも音楽にアクセスして、いつでもライブラリ全体を楽しむことができます。iTunes Match は 1 年間の登録サービスです。

iTunes Store:iTunes Match の登録方法

iTunes Storeで購入した曲でなくても、自分で持っているCDを取り込んでいたり、TSUTAYAなどでレンタルしたCDを取り込んでいたりした場合などでも、iTunes Matchで利用できるようです。

iTunes Matchの面白いところは、自分の持っているすべての曲をiCloudにアップロードするのではないところです。iTunes Matchにすでに存在する3700万曲以上のデータベースとマッチした曲は、いちいちアップロードしません。すでにiCloudにある256Kbps AAC、DRMフリーの曲が利用できます。iTunes Matchにない曲は自分でアップロードし、iTunes Storeにある曲はAppleがエンコードした曲を利用できることになります。


ということは…

昔CDから取り込んだ音の悪い(ビットレートの低い)曲を、Appleが256Kbpsでエンコードした音の良い曲に置き換えられるのでは!?


iTunes Matchの音楽ファイルは、ストリーミング再生なのかダウンロード再生なのか調べてみました。
iTunes Matchでの曲の再生はストリーミングとダウンロードのどちらですか?
コンピュータ上では、iCloudに保存されているすべての曲がワイヤレスでストリーミング再生されます。また、iCloudのダウンロードボタンをクリックすると、曲をいつでもダウンロードできます。iOSデバイス上では、iCloudから曲の再生を開始すると、それらがダウンロードされてデバイス上に保存されるので、ネットワークに接続できない場所でも聴けるようになります。Apple TV上での再生はストリーミングのみとなります。
「iCloudのダウンロードボタンをクリックすると、曲をいつでもダウンロードできます」と書いてあります。

たとえば、昔128Kbpsや192Kbpsで取り込んでしまってすでにCDが手元にない音楽ファイルを、一度iTunes MatchにMatchさせて、iCloudからダウンロードすれば、256KbpsのDRMフリーの音楽ファイルに置き換えられそうです。もちろん音楽ファイルは、iTunes Storeに存在していて、1年間の契約期間中に忘れずにダウンロードしておく必要がありますが。


気になるのは、iTunes Matchはどうやって曲をMatchさせているのかということ。曲のファイル名だけを元にMatchさせてしまったら、関係のない曲までダウンロードできるようになってしまいますし、何かしらのマッチングアルゴリズムが必要になってきます。

探してみると、海外でiTunes Matchが始まったとき、INTERNET Watchの解説記事にこのように載っていました。
マッチングは、曲の波形ベースで行なわれているようだ。曲名やアーティスト名が記されたID3タグは関係がないようで、タグが全く入っていない曲でも、きちんとマッチングする。
なるほど、曲の波形ベースでマッチングを行っているようです。ということは、波形があっていれば、どこから入手した音楽ファイルでも、iTunesの正規の音楽ファイルに置き換えることが可能になるようです。

上記記事には、このようなことも書かれていました。
自分のライブラリと、iTunes Storeのライブラリを付き合わせて、“マッチ”したものはStoreのものを使う。ゆえにiTunes Matchというサービス名になっている。

 このマッチングの仕組みこそが画期的かつ破壊的だ。

 なにしろ、自分が持っているCDであろうが、レンタルしたCDをリッピングして生成した音楽ファイルであろうが、違法にダウンロードしたものであろうが、システム的には一切区別しない。データベースにさえ合致すれば、iTunes Storeで買っていない音楽まで、iTunes Storeが用意する256kbps、DRMフリーの音楽ファイルのダウンロード権を与えてしまうのである。

 違法に取得された可能性があるファイルまで「合法ファイル化」してしまう、いわば「違法ファイルロンダリング」の可能性については、サービス発表時から指摘されており、米国でも議論を呼んだ。Appleがレコード会社と条件をめぐって相当、熾烈な交渉をしていたことは想像に難くない。いずれにしても、このサービス開始以前にAppleが「最大の音楽販売業者」になっていた事実がなければ、これほどまで大胆な制度設計はできなかっただろう。
自分が持っているCDであろうが、レンタルしたCDをリッピングして生成した音楽ファイルであろうが、違法にダウンロードしたものであろうが、システム的には一切区別しない。データベースにさえ合致すれば、iTunes Storeで買っていない音楽まで、iTunes Storeが用意する256kbps、DRMフリーの音楽ファイルのダウンロード権を与えてしまうのである」と、すごいことが書かれています。

レンタルCDショップで借りてきて自分で取り込んだ曲も、これを機にAppleの正規音楽ファイルとして扱うことができるようになるようです。また、違法に入手した音楽ファイルもマッチさえすれば、正規音楽ファイルになってしまうようです(未確認)。Matchさせた音楽は、iTunesの方でマッチング数が統計され、その数や再生回数等に応じて著作者にお金が還元されるシステムになっているのだろうと推測されます。どこから入手したファイルであっても、著作者にお金が還元されるところが少し新しいですね。


昔、レンタルショップで借りた曲をMDに入れていた時代があって、その曲を再びMP3にしても「音質が…」とか思ってPCには取り込んでいませんでした。iTunes Matchを使えば、MDの曲をアナログケーブルでPCに取り込んで、Matchさせて、iCloudから256Kbpsの音楽ファイルをダウンロードできるようになるのでしょうか。少しでもノイズが混じっていたらアウトでしょうか。MDよりさらに音の悪い、カセットテープの音源もけっこうあるのですが、カセットテープの音源はさすがに無理でしょうかね。

ビットレートを低く取り込んでしまった曲の256Kbps化もしたいので、iTunes Matchを契約しようか考え中です。一度契約したら、多分、「ダウンロードし直すのが面倒」とか思い始めて、この先数十年間Appleに利用料を払い続けてしまうような気がします。PCやiPhoneでも利用できるので、年額3980円なら便利ですよね。CD100枚組のモーツァルトCDを持っていたりするので(100曲じゃないですよ、100枚です)、マッチングさせるのに時間がかかりそうですが、iTunes Matchを契約するか少し考えてみようと思います。