SIGMA Macro 70mm F2.8 EX DGレビュー3-シャープネス、ボケ味編-
2011年08月27日 カメラ・写真
絞り値別シャープネスチェック
絞り値別に遠景を撮影して、シャープネスをチェックしてみました。■F2.8 1/5000秒
まずは絞り開放のF2.8からです。
写真をクリックすると等倍画像が表示されます(北原さんのお宅が写っていますが、拡大してもブリキのおもちゃは見えません)。
「カミソリマクロ」と呼ばれるレンズだけあって、噂通りのキレ味でした。画面中央の解像度が高いのはもちろんのこと、中央右や左も解像度が落ちることなく、素晴らしいシャープさです。球面収差はほとんどなくクリアで、像面湾曲もほとんどないように見えます。SLDレンズを3枚採用しているため、軸上色収差もよく抑えられています(超厳密にチェックするなら、絞り解放時に前ボケがほんのわずかに紫がかりますが、気付かないレベルです)。四隅の周辺減光は見ての通り、少しあります。
■F4 1/2500秒
次は一段絞ってF4で。
一段絞っただけで、周辺減光も気にならなくなり、解像度も文句なしです。
■F5.6 1/1250秒
二段絞ってF5.6で。
何も言うことはありません。素晴らしい写りです。
■F8 1/640秒
最後はF8で。
被写界深度が深くなって、四隅まで素晴らしく写っています。中央のシャープネスだけを見るなら、回折の影響でF4〜F5.6くらいがよりベストかもしれません(ニコンD700は画素ピッチに余裕があり、よく見ないとわからないレベルですが)。
「シグマ 70mm F2.8 EX DG MACRO」のシャープネスは、噂通りのキレ味で、絞り開放から素晴らしい写りでした。軸上色収差もよく抑えられていて、絞り開放でも気にせず使える出来です。周辺光量落ちについては、絞り開放で少しあります。気になるならソフトで補正するか、一段絞れば気にならなくなります。
というわけで、シャープネスについては、素晴らしいとしか言いようのない結果でした。
絞り値別ボケ味チェック
続いて、近距離から絞り値別に撮影して、ボケ味をチェックしてみました。いくらシャープネスが優れていても、ボケ味が汚いと使う気が失せてしまいますからね。■F3.2 1/6400秒
まずは絞り開放から(露出係数がかかって、絞りは開放ですがニコン機なのでF3.2と表示されています)。
撮影前は、「カミソリマクロ」と言われるくらいのレンズなので、その弊害として、もしかしたらボケ味が汚かったり、二線ボケがうるさかったりするのではないかと心配していました。実際に撮影してみて、「あれっ?」と思いました。全然うるさくないです。口径食でグルグルとした画像になったりもしません。素直でキレイなボケ味でした。
■F4 1/4000秒
次は少し絞ってF4で。
問題なくキレイなボケ味です。それと嬉しいのがもう一点。近距離から撮影しても、軸上色収差が素晴らしく抑えられている点です。白い被写体の周りにパープルフリンジ等が発生してもおかしくないシーンですが、全く発生していません。レンズの悪いクセを考慮することなく、どの絞り値でも安心して使える写りです。
■F5.6 1/2000秒
文句の付けようがありません。前回の記事の中で「全体繰り出し式のほうがマクロ域での画質特性を素直に出しやすく、画質を最重視してこういった仕様を採用した」というコメントを載せました。まさに全体繰り出し式の恩恵でしょうか、近距離でも素晴らしい写りです。
■F8 1/1000秒
F8まで絞ってボケ味はうるさくなりません。とにかく素直なボケ味です。口径食の影響が少なく、色収差がほとんどなく、全体繰り出し式のレンズ設計が生きていて、それがボケ味の素直さにつながっています。
まとめ
というわけで、今回はシャープネスとボケ味をチェックしてみました。結果は、上記の通り文句の付けようのない素晴らしい結果となりました。撮影前は、「カミソリマクロ」だの「高評価」だのと聞いていて、レビューのハードルがとてつもなく上がっていました。実際に撮影してみて、噂通りというか、噂以上の写りで驚きました。キレ味だけでなく、ボケ味も良かったです。焦点距離が70mmでAPS-Cサイズのカメラにピッタリと思っていましたが、フルサイズでも周辺までしっかり写ります。かなり贅沢な、画質優先のレンズであることがよくわかりました。今回のテスト撮影結果では、とにかく「ベタ褒めするしかない」という素晴らしいレンズであることがわかりました。次回からは、マクロ撮影時の使い勝手やAF性能、実際に撮影した写真などを踏まえてレビューしていきたいと思います。
続き:SIGMA Macro 70mm F2.8 EX DGレビュー4-マクロ撮影-
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