ZAPAnet総合情報局 > ZAPAブログ2.0 > 梅田望夫「米国とはずいぶん違うものになっちゃった」と残念がる

梅田望夫「米国とはずいぶん違うものになっちゃった」と残念がる

2009年06月01日 はてな
”日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く”という面白い記事がアップされていました。
英語圏と日本のWebの違いを、はてな取締役梅田望夫さんの視点からインタビューに答えています。でも、「そこまでアメリカのマネをしなくてもいいのでは?」と思ってしまいます。過去日本の歴史においても、欧米のマネばかりをして自国の文化を大切にしないということを繰り返してきたわけですが、現代のWebの世界で同じことを繰り返さなくても良いのではと思います。

梅田さんの考えがわかるように、発言を英語圏と日本別に箇条書きで書き出してみました。


英語圏のWebについて
・英語圏ネット空間は地に着いている
・英語圏の空間というのは、学術論文が全部あるというところも含めて、知に関する最高峰の人たちが知をオープン化しているという現実もある
・途上国援助みたいな文脈で教育コンテンツの充実みたいなのも圧倒的
・SNSの使われ方も全然違う。人生にとって必要なインフラみたいなものになってる
・英語圏のそういったあり方は、日本よりも優勢。「事実認識が間違っている」という論は立たない
・英語圏には、大学の教材が全部出てくる
ここだけを読むと、梅田さんは「知的なWeb」ばかりを期待しているのではないかと思ってしまいます。


日本のWebについて
・日本のインターネットはGoogleのようにはなれない
・日本のSNSは、人生に必要なインフラになっていない
・上に上がるためのインフラにはなっていない
・日本のWebは「バカと暇人のもの」
・日本のネット空間にはある種、がっかりした
・日本のネット空間は「悪いところ」の比率が高い
・ウェブ進化論で書いたような理想郷には全然なっていない
・ものすごく優れた人が出てくるインセンティブがあまりない
・日本のネットは、能力を生かし切れていない
・サブカルチャー強いよね、日本
・日本のサブカルチャーについて議論しても、日本のWeb文化が特に変化したとは思えない
・素晴らしい能力の増幅器たるネットが、サブカルチャー領域以外ではほとんど使わない、“上の人”が隠れて表に出てこない、という日本の現実に対して残念だ
日本のWebは、人生のインフラとして使われていなくて、それが残念なようです。サブカルチャーだって、人生のインフラだと思うのですがどうでしょうか。今まで作品を発表する場になかった人たちの作品が、ばんばんWeb上にアップロードされるようになっているわけで。


梅田望夫さんについて
・わたしが本当に書きたかったのは「シリコンバレーから将棋を観る」という本
・ウェブ進化論から7冊の本を出し、累計80万部出た
・英語圏のネット空間と日本語圏のネット空間がずいぶん違う物になっちゃって残念
・仮に今のWeb空間がネガティブなものになったとしても、それを分析しようというモティベーションがそもそもない
・将棋に魅せられるというのも、ものすごく優れた人たちが徹底的に切磋琢磨するプロフェッショナルな世界に惹かれるから
・僕は日本語圏ネット空間について発言することを許されていない
はてなの取締役を辞めたらその質問に答えます
けんすうさんは識者
・今、近藤もブログ書いてないじゃない。彼だってアメリカから帰ってきてブログ書かなくなっちゃった。近藤に聞かないと真意は分からない
・はてなって特異なポジションにある
・新聞記者から「辞めてくださいよ。辞めて、その発言を日本のためにしてください」と言われた
・僕自身がサブカルチャーはそんなに……。僕は漫画読まないしアニメみないしさあ。志向性がちがうだけ
梅田さんは日本のWebをネガティブに考えすぎなのではないかと思います。「日本はアメリカのように知的ではないからダメだ」というのは、よくない結論の出し方です。アメリカにはアメリカの、日本には日本の良さも悪さもあるのが、本当のWebのような気がします。

それにしても、「辞めてくださいよ。辞めて、その発言を日本のためにしてください」と言った新聞記者はひどいですね。