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とあるWebサービスが完成するまでの道のり〜ツンデレサーチ!編〜

2007年07月08日 プログラミングTIPS


なかなか自分で決められない優柔不断な人のために、女の子が検索してくれるツンデレ型検索エンジン「ツンデレサーチ!」。以前、「3マッチ棒」を開発したときに味わった挫折を生かして、このWebサービスは作られました。「ツンデレサーチ!」というWebサービスが完成するまでの長い長い道のりを、開発者の視点から語ってみることにします。

1. 3マッチ棒で味わった挫折
2. 2007年6月1日、俺サーチ!との出会い
3. ツンデレサーチ!の発想
4. 発想したのは良いけれど…
5. 自分の足りない部分は他の人に任せてみる
6. ツンデレサーチのデザイン開始
7. 2007年7月5日、ツンデレサーチの正式公開
8. それでもツンデレサーチに足りなかったもの
9. ツンデレサーチが完成するまでの流れ





1. 3マッチ棒で味わった挫折

2007年5月22日、ブックマークされたサイトだけから検索してくれる3マッチ棒」をリリースしました。当初の構想通り、ブックマークされた人気のサイトだけを対象にした検索エンジンは、機能面では何の問題もなく完成させることができました。ところが、一般の利用者に対して「わかりやすいWebサービス」であったかというと、3マッチ棒はその条件を満たしているとは言えないサービスでした。Webサービス自体のネーミングもデザインもわかりやすいとは言えませんでした。

では、

どうすれば実現できるのか?

ダメなことがわかっていても、それを直すのは難しいもので、そこにはセンス・アイディア・ひらめきなどが重要になってきます。そういったアイディアを生み出すために、現在の企業では一般的に「ブレインストーミング」が行われるようになってきました。
アイディアを出し合って、ブレインストーミングでブラッシュアップしていく…
そんな横文字を並べただけの会議をしただけで、仕事をしたような気分になっている人たちもたくさんいます。アイディアを新しいサービスに結びつけることが目的であるはずなのに、ブレストすること自体が仕事になってしまうような、そんな意味のない時間が生まれたりもしています。

個人でWebサービスを作る場合、ブレインストーミングで出てくるようなアイディアなら、もうとっくに試しています。アイディアの段階でとどまらず、すでにプログラミングして、それが実用的に動くかどうかまで試しています。
プロトタイプ版→テスト版→正式公開→改良版公開
のプロセスの中で、新しく浮かんだアイディアは全て試しています。実用的でなければその場で取り外し、使えるものはそのまま残していきます。うだうだ議論しているよりも、実際に作って動作を確認してみた方が早いことはたくさんあります。机上の仕様ではなく、実際の動作を他の人に確認してもらう方が、はるかに役に立つ直接的な意見を言ってもらえます。


一方で、取り入れられる全てのアイディアをすでに取り入れてしまっていると、いざ問題を修正しようとする時にはとにかく時間がかかります。時間がかかると言っても、時間が解決してくれるタイプの問題ではなく、アイディアやひらめきが重要であるため、常にアンテナを張り巡らせて問題解決に取り組んでいなければ解決できません。
どうすればわかりやすいサービスにできるのか?
そのことを考えているときに、一つのサイトに出会いました。


2. 2007年6月1日、俺サーチ!との出会い

2007年6月1日、俺サーチ!(β)お前のために俺が探す、兄貴型検索エンジンと出会いました。このサイトを見て、すぐに「素晴らしい!」と思いました。素晴らしいと思ったのには、当然理由があって、
「お前のために俺が探す、兄貴型検索エンジン」というサイト説明文一行を読んだだけで、そのサイトの概要が理解できる
「兄貴」という頼れるキャラクターの存在
コンピュータという無機質になりがちな世界で、兄貴という頼れる存在とコミュニケーションを取っているような気持ちになれるサービスです。タイトル名、サイト説明文、キャラクターイメージなどが調和していて、利用者にわかりすい作りになっています。

俺サーチ!」のシステム面での機能で言えば、
SBMサイトで人気のサイトから検索
ナウい順、人気順での並び替え
ナウいキーサードの提案
検索関連キーワードの提案
各SBMサイトのブックマーク数表示&ブックマークページへのリンク
となっていて、ぶっちゃけ「3マッチ棒」とほとんど同じ機能でした。(というかパくられ…)

ほとんど同じ機能でありながら、このわかりやすさの違いは何かと言えば、やはり「兄貴」の存在。「兄貴」がいるだけで頼れる気持ちになってくるからです。


3. ツンデレサーチ!の発想

ツンデレサーチ!を作ろう!」と思ったのは、「俺サーチ!」に出会った一分後でした。
「兄貴型検索エンジンがありなら、姉貴型検索エンジンもありなんじゃね?」

「でも、姉貴っていうと、ヤンキーなねぇちゃんしか浮かばない…」

「姉貴がダメなら、妹で。妹系検索エンジン!」

「でも、妹属性とか、そういう属性は持ってないしなぁ…(←謎)」

「だったら、ツンデレだよね!」
と、謎の連想を頭の中で巡らせて、「ツンデレ型検索エンジン」を作ろうと決めました。


4. 発想したのは良いけれど…

ツンデレサーチ!を作ろう!」と決めるまでは良かったものの、重大な問題点が一つ残っていました。
ツンデレなキャラクターイラストを描けない!」ということでした。前回3マッチ棒を作ったときでさえ、マッチ棒の写真を撮ることやマッチ棒のイラストを描けなかったくらいなので、そんなキャラクターイラストが描けるわけがありません。

というわけで、ツンデレサーチを作ろうと決めたものの、イラストが描けないことに気付いてサイトを作るのは断念しました。


5. 自分の足りない部分は他の人に任せてみる

ツンデレサーチの作成を一度は断念したものの、なかなかその思いを断ち切ることはできませんでした。「絶対に面白くできる!」自信があったので、なかなか諦めきれませんでした。
「自分ではイラストを描けない。自分ではイラストを描けない。自分では…」

自分では?

「あっ、そうか、自分で無理なら他の得意な人にお願いしてみれば良いんだ!」ということに気付き、早速、テーマ「ツンデレ」のオリジナルな女の子イラストをお願いしてみました。


6. ツンデレサーチのデザイン開始

自分一人で作る場合と違って、他の人に協力してもらうと、完成までに時間がかかります。イラストさえ無ければ、「俺サーチ!」を見た一時間後には「ツンデレサーチ!」を完成させることはできましたが、今回はイラストありということで、イラストの完成まで待たなくてはいけませんでした。ライセンスフリーで配布されているようなキャラクターイラストではなく、オリジナルのゼロからのデザインのイラストを依頼しました。
お願いしていたイラストが完成して到着したところで、そのイラストに合わせてサイトデザインを始めました。二人の方から1枚ずつイラストを頂くことができたので、そのイラストに合わせました。本当は1人のキャラクターに付き何パターンかの表情を持ったイラストが欲しかったところですが、あまり無理は言えなかったので、この2枚で作ることにしました。色合いや雰囲気をそれっぽいものにし、セリフなどもそれっぽく作り、検索結果ページにはサイトサムネイル画像も付けました。先に決めていたデザインではなく、いただいたイラストを元にデザインしたところがいつもの開発と違うところでした。


7. 2007年7月5日、ツンデレサーチの正式公開

2007年7月5日、「ツンデレサーチ! (ツンデレ型検索エンジン)」を正式公開しました。「俺サーチ!」に出会ってから、実に1ヶ月以上もかかっての公開となりました。時間はかかりましたが、「3マッチ棒」の時に実現できなかったものは全て実現することができました。デザイン、インターフェース、取っつきやすさ、わかりやすさを改善することができました。機能的には3マッチ棒とほとんど同じであるのにもかかわらず、わかりやすさや温もりが全く違います。
コンセプトを持って開発する
ことが重要だということを身を以て知ることができました。


8. それでもツンデレサーチに足りなかったもの

3マッチ棒」での欠点を補うために作った「ツンデレサーチ!」でしたが、周りの人の意見を聞いているとまだまだ問題点は残っていました。一番多かったのは、
デレはどこ?
で、次に、
検索結果のヒット数少なすぎ!
でした。
本当はツンツン画像とデレデレ画像の2枚があれば良かったのですが、自分で描いているわけではないので、そこまで用意できませんでした。

「べっ、べつにあなたのために検索するんじゃないからねっ!」と言いつつも健気に検索してくるところがデレだと思ってもらいたいところでしたが、なかなかそうはいかなかったみたいで、奥が深い世界だと思い知らされました。素直クールが良いとか、ヤンデレが欲しいとか、細分化しすぎていて難しい要望もあったりしました。
中には、「優柔不断なあなたには、このキーワードがオススメだわ!」と言われて検索したのに、「一件も見つからなくて、怒られてしまうところがイイ!」という人もいたりして、面白い現象だと思いました。キャラクターがいなければ感じ得なかった感情がそこに発生しているところに、インターネットの一つの可能性を見ました。

それから、検索結果のヒット数が少ないことや精度が低いことについては、元々SBMサイトでブックマークされた人気のサイトだけからの検索であったための仕様上の問題です。今回はそういう難しい説明は一切省いて作り上げました。わかりやすさとインパクトを重視したので、こういう作りになりました。少しでも笑ってもらえれば、それで良いかなぁと思って作りました。

他にも、サイトの概要文がツンデレ後に変換していれば面白いとか、褒めてあげると何か変わるとかいろいろ意見もいってもらえました。ありがとうございます。

(一応新たに依頼は出しておきましたが、もしデレ画像ができあがったら、検索した回数に応じてだんだんデレてくるとか、そういう仕様も加わるかもしれません…)


9. ツンデレサーチが完成するまでの流れ

最後に「ツンデレサーチ!」が完成するまでの流れをまとめておきます。
50 Matches.com
 ↓
3マッチ棒
 ↓
俺サーチ!(β)お前のために俺が探す、兄貴型検索エンジン
 ↓
ツンデレサーチ! (ツンデレ型検索エンジン)
こんな感じになります。
ツンデレサーチが俺サーチをパクったかというと、その俺サーチは3マッチ棒とよく似ていて、その3マッチ棒は50Matchesを参考にしています。
自分の中では、3マッチ棒の進化形態、あるいは派生形態がツンデレサーチ!という位置づけです。
ただ面白いものを作りたい!
ただ便利なものを作りたい!
という単純な衝動に駆られて作っているだけなので、少しでも周りの人に楽しんでもらえれば、それだけで幸せです。


関連リンク

とあるWebサービスが完成するまでの道のり〜3マッチ棒編〜
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