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誰のためのWebデザイン変更ですか?

2007年03月28日 プログラミングTIPS
サイトやブログなどのWebデザインを変更したくなるときがあります。
では、一体誰のためにWebデザインを変更したいのでしょうか?

多くの人は、Webデザイン変更を以下の目的のために実行するものだと思い込んでいます。
1.自分のためにWebデザインを変更する
2.他人のためにWebデザインを変更する
この思い込みによって、Webデザイン変更が裏目に出ているケースが多々あります。
大別すれば上記2通りだけなのかもしれませんが、実際はもう少し細かく分けた方が失敗が少なくなります。

1.誰のためにWebデザインを変更するのか?

では、一体誰のためにWebデザインを変更するのか、以下の4通りに分けて考えてみましょう。
1.自分のためにWebデザインを変更する
2.コンピュータ(検索エンジン、ケータイ、読み上げブラウザなど)のためにWebデザインを変更する
3.他人(既存ユーザー)のためにWebデザインを変更する
4.他人(新規ユーザー)のためにWebデザインを変更する
一言「他人のため」と言っても、「既存ユーザー」と「新規ユーザー」が存在することを忘れがちです。
「既存ユーザー」は今まで閲覧してくれている常連ユーザー、「新規ユーザー」は今後初めて訪れるユーザーのことを表しています。


2-1.自分のためにWebデザインを変更する

自分のためにWebデザインを変更したくなるときは、以下のような気持ちが沸き起こっているはずです。
1.今までのデザインに飽きた
2.他人のデザインがうらやましくなった
3.気分が変わった
4.時代が変わった
5.新しくやり直したい

Webデザイン変更が自分のためだけであれば、チェックするポイントはとても簡単です。
他人にとってどれだけ見づらく、使いづらいデザインになっていたとしても問題はありません。
全て自己満足でOKです。
Webデザイン変更によるチェックポイント チェック
自分自身が満足できた


2-2.コンピュータ(検索エンジン、ケータイ、読み上げブラウザなど)のためにWebデザインを変更する

Webデザイン変更がコンピュータのためであるときもあります。
1.検索エンジンのため
パンくずリスト設置、画像のみリンクの廃止、URL短縮のためのディレクトリ構造変更、正しいマークアップなど
2.携帯電話のため
ケータイユーザーが閲覧できるように、ケータイデザインの追加など
3.読み上げブラウザのため
障害者が読みやすくなるようなデザイン、構成の変更など
4.その他

コンピュータのためのWebデザイン変更であれば、追加した部分をそれぞれの項目ごとに分けてチェックすばOKです。
Webデザイン変更によるチェックポイント チェック
検索エンジン対策ができた
ケータイからも閲覧できるようになった
障害者に優しいデザインになった


2-3.他人(既存ユーザー)のためにWebデザインを変更する

他人のためにWebデザインを変更する場合、気付かないうちに「既存ユーザー置き去り」のデザイン変更になってしまうことがあります。
「新規ユーザー」のことしか頭にない場合におかしやすい失敗です。

「既存ユーザー」のことを考えるときには、以下の言葉を思い出してください。
美人は3日で飽きる。ブスは3日で慣れる。
今までのデザインに対して、管理者がどれだけ気に入ってなくても、飽きていても、古くさく感じていても、「そのデザインを使いこなしている既存ユーザー」が存在します。
むしろ、ダサい・奇妙な・使いづらいデザインだからこそ、利用している人さえいます。
扱いづらいものを完璧に扱いこなしていることで、優越感に浸らせている可能性もあります。
ウェブデザインを変更することは、そういった既存ユーザーたちを裏切ることにもつながります。
デザイン変更後、どれだけ一般的な評価が高くなろうと、今までそのサイトを利用してくれていた既存ユーザーに負担をかけることを忘れてはいけません。

例えば、
はてなのデザインはあまり良くない。いや、ダサい
と言っている人たちをたまに見かけます。
この人たちを満足させるために、カッコイイデザインに変更した場合を考えてみましょう。
Webデザイン変更により、赤いイメージのカッコイイデザインになったとします。
突然、今までの「青いイメージ」から「赤いイメージ」に変わったら既存ユーザーはどのように思うでしょうか?
青だったから好きだったのに、赤になったからもう使わない!
と言い始める人が出てくるはずです。

また、はてなのトップページにあったはてなブックマークはてなダイアリーへのリンクが他のページへ移動していたらどう思うでしょうか?
すげぇ使いにくくなった!ユーザー無視の変なデザイン変更してんじゃねーよ!
と叫び出す人がいるかもしれません。踊り狂う人も出てくるかもしれません。

どれだけ「カッコイイデザイン」になったとしても、「今までのイメージや機能」が損なわれていた場合、既存ユーザーからは反感を買う可能性があることを知っておくことが大切です。
既存ユーザーは、わざわざデザインを変更しなくても、今までずっと使い続け・これからも使い続けるユーザーなのですから当然のことです。

慣れてしまったデザイン”を変更されることは、屈辱的な行為と感じることさえあります。
学校や会社に出かけている間に、突然自分の部屋の本棚位置が「東→西」に変更されていたらどう思いますか?
部屋のバランスを考えて、風水まで考慮して、東側に置いてあったんだぞ!
と怒りたくなるかもしれません。

場合によっては、
あっ、ちょうど西側に置き直そうと思ってたんだ。ねぇちゃん、ありがとう。
とか、
東が一番だと思ってたけど、西も良いかもね。さすが、とうちゃん。
なんて場合もあるかもしれませんが、多くの場合は怒るはずです。
勝手に俺の部屋のデザイン変えやがって!
と。

Webデザインについても同じようなことが言えます。
最初は「管理者だけのもの」だったデザインのはずが、いつの間にか「各ユーザー自身のもの」に変わっている可能性があります。
よって、既存ユーザーを傷付けないデザイン変更をするためには、
今までのイメージから大きくかけ離れない
今まであった機能が使いにくくなったりしない
ことが大切です。

その上で、
デザインが洗練されて、より居心地の良い場所になる
今まであった機能に加えて、新たに使いやすい機能が追加される
などが実現できていれば完璧です。

他人(既存ユーザー)のためにWebデザインを変更するときにチェックするポイントは以下の通りです。
Webデザイン変更によるチェックポイント チェック
今までのイメージを損なわずに、より良いデザインとなった
今まであった機能を残しつつ、新機能を追加した


2-4.他人(新規ユーザー)のためにWebデザインを変更する

他人(新規ユーザー)のためにWebデザインを変更する場合は、とにかく見やすく使いやすいデザインにすることがポイントになります。
このページ、変なデザインでキモーい!
このページ、どこに何があるかわかりにくくて使いづらーい!
などと思われてしまっては、新規ユーザーのためにはなりません。

また、裏技として
類は友を呼ぶ
機能にも注目しましょう。

別に、「ルイ14世があの世から現れて友達を呼ぶ」機能でも、「ラモス瑠偉がトモちゃんを呼ぶ」機能のことでもありません。
Webデザインのイメージによって、そのデザインを好きな人が集まりやすい」効果があるという意味です。

例えば、はてなのイメージカラーが突然青から赤に変わった場合を考えてみましょう。
「冷静におかしなポイントだけを的確に指摘してくる人」から「血の気が多く感情的な人」が集まりやすくなる可能性があります。
また、イメージカラーが黒くなった場合、「裏でバカにする人や怪しい暗い雰囲気の人」が集まりやすくなる可能性があります。
あくまでも極端に大袈裟な一例ですが、これを逆手にとって、自分が好きなタイプの人たちだけを集めるデザイン変更もできるかもしれません。

他人(新規ユーザー)のためにWebデザインを変更する場合のチェックするポイントは以下の通りです。
Webデザイン変更によるチェックポイント チェック
パッと見て、多くの人に好かれるデザインになった
(自分が好む人たちを集めやすいデザインになった)
わかりやすい構成・デザインになった


3.まとめ

Webデザインを変更するときには、以上の4通りのパターンに分け、誰のためにWebデザインを変更するのかを考慮すれば、より失敗の少ないデザイン変更ができます。

Webデザイン変更前には、一度「誰のためのデザイン変更なのか?」を考え、それからデザインを変更するようにしてください。
Webデザイン変更後には、以下のチェックシートを活用してみてください。

誰のため Webデザイン変更によるチェックポイント チェック
自分 自分自身が満足できた
コンピュータ 検索エンジン対策ができた
ケータイからも閲覧できるようになった
障害者に優しいデザインになった
既存ユーザー 今までのイメージを損なわずに、より良いデザインとなった
今まであった機能を残しつつ、新機能を追加した
新規ユーザー パッと見て、多くの人に好かれるデザインになった
(自分が好む人たちを集めやすいデザインになった)
わかりやすい構成・デザインになった





余談ですが、人の為と書いて「偽」となります。
他人のためと言っても、結局は自分のためだったりするんですね。




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