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富士フイルムX-T1レビュー3-ISO感度別ノイズチェック

2014年09月16日 カメラ・写真
ローパスレス構造で細部までくっきりと描写し、ワンランク大きいセンサーサイズに匹敵する高解像力を実現するX-Trans CMOS IIを採用する富士フイルムX-T1。「部品の配置や配線などを徹底的に見直し、拡張感度ISO 51200の設定を可能」としたイメージセンサーの実力はどれほどなのか、ISO感度別に写真を撮ってきました。

X-T1のISO感度範囲は、ISO100〜51200まで設定できます。ただし、これはJPEG撮影のときのみです。RAWで撮影する場合は、基準感度のISO200〜6400までしか記録できません。以下、ISO200〜6400までは、カメラ内JPEGとLightroomでRAW現像した写真の両方を、拡張感度ではカメラ内JPEGのみの写真を載せます。

レンズは、FUJIFILM XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WRを用いて撮影しました。絞り値はすべてF8です。高倍率ズームだけあってか、広角側の周辺描写はそれほど良くありません。解像力やノイズをチェックする際は、画面中央辺りをチェックしてみてください。
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ISO200(基準感度)

X-T1 ISO200
まずは基準感度であるISO200から。上の「カメラ内JPEG」、「LightroomでRAW現像」のリンクをクリックすると、等倍画像を閲覧できます。基準感度のISO200では、ノイズもなくてきれいな写りです。

ISO400

X-T1 ISO400
1段上げて、ISO400。APS-Cサイズのイメージセンサーだと、ISO400を躊躇なく使えるかどうかというのが、一つの分岐点だったりします。自分の中で、ISO400に躊躇するカメラは使いたくないです。X-T1は、見ての通り全く問題ないです。ISO200と変わらないくらい良いです。

ISO800

X-T1 ISO800
さらにもう1段上げて、ISO800。最初、カメラ内JPEGだけを載せるつもりでしたが、ISO800の写真のノイズがあまりにも少なかったため、LightroomでRAW現像した結果も載せることにしました。カメラ内JPEGでは、富士フイルムの画像処理で見事にノイズを消しています。イメージセンサーの素性を知るためにも、Lightroomでノイズリダクションの設定をいじらずにRAW現像し直しました。結果としては、RAW現像でノイズの素性を見ても、かなり少なめのノイズという結果になりました。ISO800でも全く問題ない写りです。

ISO1600

X-T1 ISO1600
続いてISO1600。カメラ内JPEGでは、ノイズリダクションによるディテールの塗りつぶしをわずかに確認できます。それでも写りはかなり良いです。RAW現像しても、ノイズは少なめで、APS-CサイズイメージセンサーのISO1600写真としては、過去最高の低ノイズという感じがします。ただ、富士フイルムのカメラは実効感度が他社のカメラとは違っていて、他社のカメラと同じ明るさで撮るとISO感度が高めに出るという話もあったりします。メーカーによって画像処理やISO感度設定の基準が違っていて、単純にISO感度の数値だけで比較してもあまり意味はないのかもしれません。それよりも、カメラによってどのISO感度までを許容できるか、個々の判断でつかんでおくことが、もっとも大事です。自分なら、X-T1のISO1600は何の躊躇もなく使えます。

ISO3200

X-T1 ISO3200
ISO3200。ここでカメラ内JPEGの写りが大きく変わりました。ノイズリダクションが効いているため、ディテールがかなり潰れました。ISO1600までは見事でしたが、ISO3200が使えるかどうかは判断によって分かれるところです。RAW現像の方の結果を見てみると、ノイズの現れ方は悪くありません(ノイズリダクションはかけていない設定です)。ISO3200の場合、RAWで撮影して自分でノイズリダクションをかけた方が好ましい結果を得られると思います。

ISO6400

X-T1 ISO6400
ISO6400。ここまでISO感度を上げると、ノイズリダクションの弊害も大きく、水彩画のような感じになってきました。RAWで見てもノイズは多いので、この辺りが限界でしょうか。APS-Cサイズのイメージセンサーとしては、かなり良い方です。カメラ側では、これ以上の高感度設定は拡張感度という扱いになります。

ISO100(拡張感度)

X-T1 ISO100 拡張感度の方も試してみました。富士フイルムの場合、拡張感度はRAWで記録できません。そのため、カメラ内JPEGのみでの記録になります。低感度のISO100では、見てわかる通り、ハイライト側の階調が悪くなり、ダイナミックレンジも狭くなったために、色がおかしくなり、白飛びしました。拡張感度は、あくまでも拡張感度という結果です。

X-T1では、基準感度はISO200からしか使えません。最高シャッタースピード1/4000秒のX-T1では、ISO100を基準で使えないのは大きな欠点です。ISO100か、シャッタースピード1/8000秒か、どちらかが欲しくなります。と思っていたら、X-T1 グラファイトシルバーエディションという機種が発表されて、最高1/32000秒の高速電子シャッターが採用されました。1/8000秒も1/16000秒も飛び越して、いきなりの1/32000秒です。もしお金があって発売まで待てるなら、X-T1のブラックを買うよりもシルバーの方を買った方が良いと思います。

ISO12800(拡張感度)

X-T1 ISO12800
高感度側の拡張感度も試してみました。ISO12800では、塗りつぶし感が強くなりました。色が薄く明るめに出るものの、色の破綻は少なめなので、縮小画像なら使えそうです。

ISO25600(拡張感度)

X-T1 ISO25600
ISO25600では、さらにノイズリダクションが強くなりました。ISO25600にしては、色の乱れは少ないです。

ISO51200(拡張感度)

以上、ISO感度ダイヤルをすべて回しきって、1段ごとのすべてのISO感度で撮影をし終えました。

ところがX-T1は、冒頭にも書いたようにISO51200に対応しています。家に帰ってきてPCに取り込んでいるときに、「あれ?」っと思いました。

ISO感度ダイヤルを見ても、3200、6400の次は、H1、H2です。H1が12800で、H2が25600。51200に設定するスペースがありません。すぐにはISO51200に設定する方法がわかりませんでした。メニューを順にチェックしていたら、メニュー内に感度ダイヤル設定があり、ここでH1かH2を51200に設定することができました。

ということで、同一条件でのISO51200の写真は取り損ねてしまいました。ISO25600が上のような感じなので、自分ならISO51200の拡張感度を使うことはないと思います。

まとめ

というわけで、X-T1の感度別ISOノイズは、ISO1600まではとても優秀でした。ISO3200やISO6400は、ノイズが多いことを理解した上で使えば十分使えそうです。その他の拡張感度については、拡張感度なりの画質という結果でした。低感度のISO100が拡張感度になってしまっているのは惜しいところです。高感度ノイズはAPS-Cサイズにしては少なく、手ぶれ補正付きのレンズと組み合わせてさまざまなシーンで活躍できそうです。




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