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[献本]DESIGN IT! magazine vol.2

2008年12月15日 読書
創刊号のDESIGN IT! magazine vol.1に引き続き、ソシオメディア株式会社よりDESIGN IT! magazine vol.2をいただきました。



ユーザーエクスペリエンス

ITをデザインするビジネスマガジン「DESIGN IT! magazine」。第2号では、ユーザーエクスペリエンス(UX)についての特集が組まれています。イケア、マイクロソフト、アドビ システムズのUXについての取り組みが紹介された後、「デザインの価値」として、UXのROIについての解説があります。
ROIとは、「Return on Investment」の略で、日本語では「投資収益率」や「費用対効果」と訳されます。ROIは、「投資に対してどれだけの儲けがあるか」を示す尺度で、計算式は、

ROI(%) = (利益 / 投資額) * 100

という単純な数式で求めることができます。


ところがROIの計算式自体は簡単でも、Webデザインでは正確なROIを測るのが難しく、Webサイトのデザインがどれだけ向上すれば、どれだけの効果があるのかを明確化しにくい現状があります。そこで、UXを測る尺度としてROIを測る工夫とそのメリットなどが解説されています。

事例として、Webサイトを再デザイン後の効果の算出方法などが載っています。たとえば、月間の訪問者数が変わらなかった場合であっても、カスタマーサポートへの電話相談数が減ったり、ショッピングカートへの到達率が上がったりすることにより、再デザインの価値がでたことになります。単純に、PV数やUU数だけを測っていたとしたら、この効果を分析することはできません。


「DESIGN IT! magazine」は、デザインの本であると考えると末端のデザイナーのためだけの本だと思ってしまいそうですが、もっと上に位置する人にこそ価値のある本ではないかなと思いました。

大画面65インチ最適化UI

個人的におもしろかったのは、シャープの事例です。シャープでは、Adobe AIRで経営者向け意志決定支援システム「エグゼクティブ・コックピット」を開発したそうです。



何がおもしろいかというと、液晶のシャープなだけに「65型液晶に最適化したUI」をAdobe AIRアプリケーションで構築したところです。

PC画面を拡大して表示するという発想ではなくて、最初から大画面65インチ最適化を行っています。世界8地域の販売・在庫状況などを棒グラフで表示したり、期間別の情報を表示したり、見栄えの良いデザインはまさに大型液晶に適しています。また、AIRの特長を活かし、Webからリアルタイムに取得した天気予報表示や付加情報の重ね合わせ、関連PDF文書の表示、画面の履歴保存などを行っています。


大画面に最適化したUIという発想は目から鱗です。WiiやiPhone向けに小さい画面に最適化したUIは生まれていますが、大画面向けの最適化はなかなかありません。今後は、そういう大画面に最適化したUIや、それに対応できるプログラミング言語の選択、開発が重要になってくるかもしれませんね。


DESIGN IT! magazine vol.2目次

○Feature-1:ユーザーエクスペリエンスの価格 -経験価値の徹底解明
・Part.1 UXの源流とその実践  - マネジメントサイクルに位置づけよ
・Part.2 先進企業に学ぶ戦略と取り組み
     イケア・ジャパン /マイクロソフト /アドビ システムズ
・Part.3 デザインの価値 - ROIを尺度に計量化に挑む

○Feature-2:UIから考えるビジネスに効くSOA -経営層をはじめ企業全体を巻き込もう
Part.1  “サービス”は利用者視点の粒度で捉える
Part.2  先駆の3社が要件定義・設計・実装のポイントを詳解
    日本IBM /テクノロジックアート /NTTデータ

○EYES
・3Dインタフェースが新たなコミュニケーションを切り開く
 ワグナー・ジェームズ・アウ(セカンドライフ・ジャーナリスト)
・利用者が求める機能性や操作性を前提にUIをデザインせよ
 黒葛原 寛(ソニーグローバルソリューションズ)
・顧客本位の発想に立ったUI視点が不可欠
 漆原 茂(ウルシステムズ)
・使いやすさを重視するDNAを次世代に継承する
 浮川和宣(ジャストシステム)

○Showcase
・シャープ:徹底した生産性向上を狙い日本の機能美をUIで実現
・第一生命:ガイドラインの継承がUIの保守性を約束する

○Navigation

・エクスペリエンス・テクノロジー - 顧客経験価値や人間的なUIを実現する /田中 達雄(株式会社野村総合研究所)
・デザインマネジメント入門 - 組織内でデザイン活動を活発化させる3つの注力分野とは /佐々木 仰(株式会社インフィールドデザイン)
・「UI=要求」駆動型システム開発 - UIは開発におけるコミュニケーションの要 /鎌田 博樹(オブジェクトテクノロジー研究所)
・ペルソナ・シナリオ手法 - ペルソナ作成後の活用法を明かす /滝川 佳孝、宮下 剛(IBM ビジネスコンサルティング サービス株式会社)

○Column
○Review+Communication

DESIGN IT! magazine vol.2
リックテレコム
2008-12

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