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寿司作りに学ぶWebアプリケーション開発

2007年04月19日 プログラミングTIPS
日本の伝統的な料理である「寿司」。
海外では「sushi」と呼ばれ、近年では寿司のおいしさ、ヘルシーさなどからブームとなっています。

では、なぜ日本では伝統的な料理となった「寿司」が、今まで海外では発達してこなかったのでしょうか?

今回は、日本人が「寿司」をおいしくいただくために研究してきた様々な取り組みを追いつつ、それを「Webアプリケーション開発」に当てはめて、日本人らしい「Webアプリケーション開発」方法について考えてみたいと思います。

寿司作りに学ぶWebアプリケーション開発メニュー
1. 日本で「寿司」が発展した理由
2. 徹底的に「生臭さ」と「衛生面」に熟慮した日本の「寿司」
3-1. 素材が持つ長所を生かす!
3-2. ピリッとした刺激が新たな一面を見せる!
3-3. 時には甘さも必要!
3-4. さっぱり感も温もり感も大事!
3-5. 何事もきれいに清潔に!
3-6. 見た目が大事!
3-7. 組み合わせによって新たな味わいが生まれる!
3-8. 作り手の才能、努力を自信に変えて提供する!
3-9. 日々の努力がリピーターを生む!
3-10. 乗せ替えるだけで簡単に違うものを作り出す!
3-11. 新鮮さを大切にする!
4. 最後に


1. 日本で「寿司」が発展した理由

日本で「寿司」が発展した理由の第一として、
日本人は生魚のおいしさを知っていた
という理由があります。

しかし、生魚には「生臭さ」と「衛生面」で、危険な側面も持ち合わせています。
寿司が発展しなかった海外諸国は、生魚の持つ「生臭さ」と「衛生面」に対処することができなかったとも言えます。
日本人は、生魚の美味しさを生かすために、徹底的に「生臭さ」と「衛生面」に熟慮して「寿司」を生み出しました。

「生魚の美味しさ」という長所を生かすために、「生臭さ」と「衛生面」の短所を乗り越え、それさえも長所に変えてしまう日本人の知恵、努力があったからこそ、「寿司」が発展したのです。

2. 徹底的に「生臭さ」と「衛生面」に熟慮した日本の「寿司」

日本の「寿司」がどれだけ「生臭さ」と「衛生面」に熟慮しているかは、以下の項目を見るだけでも理解できます。
酢飯 殺菌・防腐効果、食欲増進効果、消化吸収増進効果、旨み
わさび 抗菌・殺菌・消臭効果、香り、生臭さ消し
ガリ 殺菌効果、健胃・発汗作用効果、食感、生臭さ消し
お茶 カテキン効果、温もり、香り、生臭さ消し
海苔 香り、歯触り、つなぎ、食べやすさ、生臭さ消し
たまご 甘み、生臭さ消し
ばらん(笹) 殺菌、見た目、飾り、仕切り

徹底的に生魚の「生臭さ」と「衛生面」を克服する努力をしています。
酢飯だけでも、わさびだけでも、ガリだけでもありません。
全てを組み合わせて、生魚の「生臭さ」と「衛生面」に熟慮しています。

海外では、寿司を握る寿司職人がビニール手袋をして握っているお店もあります。
日本では、一流のお寿司屋さんで寿司職人がビニール手袋をして握っていることはありません。

海外の人の間では
日本の寿司職人は、素手で握っても食中りを起こさない
として、日本人の清潔さを称えていることもあります。
これは日本人の清潔さだけではなく、「生臭さ」と「衛生面」に熟慮して生まれた日本の「寿司」だからこそ成せる技だと言えます。

次からは、寿司作りを参考に「Webアプリケーション開発」に結びつけてみます。


3-1. 素材が持つ長所を生かす!

生魚には、「生臭さ」と「衛生面」に危険な側面を持ち合わせていたことは、今まで述べてきた通りです。
しかし、日本人はその短所に決してひるみませんでした。
「生魚の美味しさ」という長所を生かすために、様々な手法を取り入れてきました。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
長所に目を向けて、短所を克服することが大切です。
短所に目を向けて、長所を生かせなくなってしまうことなど、もってのほかです。
長所を生かすこと、長所を見つけることが「Webアプリケーション開発」にも大切なことです。
「Webアプリケーション開発」は、素材が持つ長所を生かすことが大事!


3-2. ピリッとした刺激が新たな一面を見せる!

寿司には、「わさび」「ガリ」と言ったピリッとした刺激のあるものが必須です。
これは、衛生対策にも生臭さ対策に役立っています。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
優等生なWebアプリケーションだけでは、ユーザーは刺激が足りなくて飽きてしまいます。
他では見られない新機能を搭載することで、ユーザーはより満足します。
「Webアプリケーション開発」は、ユーザーを刺激する機能を持たせることが大事!


3-3. 時には甘さも必要!

生魚と卵焼きは、一見何の関連性も内容に見えます。
ところが、「寿司と言えばたまご」と言われるほど、その相性は抜群です。
生魚の「生臭さ」を消す側面も持っていますが、たまごが持つ甘みも大事であると言えます。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
先進的な機能を持ったWebアプリケーションだけでは、ユーザーは安らぐことができません。
メール、チャット、ゲーム機能など、ユーザーが安らげる場所を提供することも大切です。
「Webアプリケーション開発」は、ユーザーが安らげる場所を提供することが大事!


3-4. さっぱり感も温もり感も大事!

寿司には「お茶」が欠かせません。
お茶を飲むことで、寿司の生臭さを消すと共に、口の中をさっぱりさせる効果も持っています。
また、冷たい生魚とは対照的に、お茶の温かさからホッと一安心できる効果も持たせています。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
何かをやり終えた後は、さっぱりと次の項目に移れるようにしなくてはいけません。
ユーザーが迷ってしまうようなサイト構成ではなく、わかりやすいユーザービリティをこころがけることが必要です。
また、コンピュータにありがちな冷たさだけではなく、ユーザー同士がコミュニケーションをとれるようにして、ユーザーに温もりを与えることが大切です。
「Webアプリケーション開発」は、利用するユーザーのことを考えることが大事!


3-5. 何事もきれいに清潔に!

寿司は、一口で食べられるサイズになっています。
食べ残すことなく、全てを食べられるようになっています。
また、巻き寿司には「海苔」が巻かれていて、食べる人の手が汚れないようにもなっています。
食べる前、食べた後は「おしぼり」で手をきれいにできます。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
ユーザーがきれいに扱えるようなWebアプリケーションを開発することが大切です。
会員登録、退会処理、ログイン、ログアウトなどは簡単に行えるようにすべきです。
複雑な操作にすることなく、簡単な操作でユーザーの手を汚させないことが大切です。
「Webアプリケーション開発」は、きれいなものを提供する姿勢が大事!


3-6. 見た目が大事!

寿司は、白く輝くきれいなシャリと、ネタである新鮮な生魚との対比が美しさを生んでいます。
バランを使って、きれいに仕切って配置することも個々の美しさを保っています。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
機能面だけを重視して、見た目が汚くなってしまっては、せっかくの機能も台無しです。
機能に負けないくらい、デザイン面にも力を入れることが大切です。
「Webアプリケーション開発」は、デザインにも力を入れる!


3-7. 組み合わせによって新たな味わいが生まれる!

酢飯、生魚、わさび、ガリなど、単品ではどれもクセがあります。
ところがそれらを組み合わせることにより、お互いの欠点を補い合い、組み合わせたことにより新たなハーモニーを生んでいます。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
一つの機能だけでは物足りなくても、いくつかの機能を組み合わせることにより、新たな価値を持ったWebアプリケーションになる可能性を持っています。
Web2.0時代に脚光を浴び始めてきた、いわゆる「マッシュアップ」がこれに当たります。
日本で一番成功しているマッシュアップ「ニコニコ動画」に見るように、機能を組み合わせることによって、新たな楽しみ方が生まれます。
「Webアプリケーション開発」は、マッシュアップが新たな価値を生む!


3-8. 作り手の才能、努力を自信に変えて提供する!

お寿司屋さんによって、寿司のシャリとネタのバランスが違います。
お寿司屋さんによって、マナーやメニューや値段が違います。
店による違いがあっても、それぞれ独特の味があって、それぞれ良さがあります。
寿司職人の考え方を、自信を持って、「寿司」を通してお客さんに提供しています。
職人の独り善がりではお客さんも離れていってしまいますが、職人がその寿司を作り出すまでに経験してきた努力、才能は自然とお客さんにも伝わります。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
同じような機能をもったシステムでも、開発者の考え方によって、できあがり方にも違いがあり、それを好むユーザーも違ってきます。
他人のマネをするだけではなく、開発者のアイディアを生かし、実現するための努力をして、ユーザーに提供することが大切です。
「Webアプリケーション開発」は、開発者の才能と努力に委ねられている!


3-9. 日々の努力がリピーターを生む!

お寿司屋さんには、新規のお客さんよりも常連のお客さんの方が多く来客します。
そこには、「おすすめのやつ!」と頼むだけで、全てを任せられるような信頼関係が存在しています。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
開発者とユーザーの考え方が離れすぎていては、ユーザーは離れていってしまいます。
当初のできあがりに慢心することなく、ユーザーの声にも耳を傾けて努力をしていくことが大切です。
「Webアプリケーション開発」は、ユーザーの声に耳を傾けることが大事!


3-10. 乗せ替えるだけで簡単に違うものを作り出す!

寿司は、シャリの上に生魚が乗っているものが一般的です。
ですが、シャリの上に乗せるものが何であっても、新たな味わいを生んでいます。
寿司を作る手順はほとんど同じでも、できあがりの味は全く違います。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
システム開発の手順がほとんど同じで、違うものを作り出せるようになれば、効率が一気にアップします。
最近では、フレームワーク開発により、開発期間を短縮させることが流行しています。
同じ手順を踏んでいても全く違うものを生み出せることを理解し、そこから短期間開発に結びつけることが大切です。
「Webアプリケーション開発」は、フレームワーク開発による期間短縮も大事!


3-11. 新鮮さを大切にする!

寿司にとって、一番忘れてはいけないのが「新鮮さ」です。
新鮮さが失われた寿司は、寿司本来のおいしさが消えてしまいます。
さらに時間が経てば、新鮮さどころか、腐ってしまいます。

「Webアプリケーション開発」にも同様のことが言えます。
開発に時間がかかりすぎていては、古くさいシステムとなってしまいます。
リリースしたときに既に腐っていては、ユーザーは寄ってきません。
「Webアプリケーション開発」は、新鮮さが大事!


4. 最後に

以上、「寿司」をおいしくいただくために取り入れた日本人の様々な取り組みを追いつつ、それを「Webアプリケーション開発」に当てはめて、日本人らしい「Webアプリケーション開発」をする方法について考えてみました。
「Webアプリケーション開発」に行き詰まったときは、日本の伝統「寿司」を思い出すことで、新たな発見があるがあるかもしれません。

ハンバーガーなどのファーストフードに見られるような、欧米的なものが日本人に合っているとは限りません。
日本人なら日本人らしい「Webアプリケーション開発」をしてみてはどうでしょうか?
外国の人から、職人芸と言われるほどの新しいWebアプリケーションが日本にも生まれることを楽しみにしています。