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Pentium4もオーバークロック

2006年03月01日 パソコン(PC)
ビデオカードを改造し、安定動作させることに成功した結果、CPUパワーがビデオカードに追いついていないことがわかりました。
だったら、やることは一つ。

CPUのパワーアップ!

一般的な方法としては、「CPUを買い換える」という手段を使うと思いますが、買い換えずにCPUをパワーアップさせる手段を実行してみました。

CPUのオーバークロック!

現在使っているのは、2002年に買ったPentium4 2.4BGHz(Northwood)です。
これをオーバークロックによって能力を上げようと考えました。
CPUの設定動作周波数は、「最低限そのクロックで動作することを保証」しているわけですから、それ以上のクロックで動作することも考えられるというわけです。(当然、動作しないことも考えられますが)

1.BIOS画面を開く

パソコンの電源を入れ、CPUやメモリのチェック中にDeleteキーを押して、マザーボードのBIOS画面を開きます。
この画面でCPUのクロックアップ設定をおこないます。
現在使っているマザーボードはビデオカードと同じASUSTeK製のP4PEなので、BIOS画面でいろいろと変更できるような機能が付いています。
マザーボードのBIOSを破損して、マザーボード復旧させた思い入れのあるマザーボードです)

2.CPUをクロックアップさせる方法を考える

次にCPUをクロックアップさせるために、変更させる箇所を考えます。
このPentium4 2.4BGHz(Northwood)の仕様は以下の通りです。
周波数 2400MHz
FSB 533MHz
ベースクロック 133MHz
倍率 18倍
電圧 1.50V
CPUのクロックは、ベースクロック*倍率で設定されていることがわかります。
133MHz*18=2394MHz=約2.4GHz

また、Pentium4(Northwood)FSB533MHzシリーズの倍率は以下のようになっています。
Pentium4 FSB ベースクロック 倍率
3.06GHz 533MHz 133MHz 23
2.8GHz 533MHz 133MHz 21
2.66GHz 533MHz 133MHz 20
2.53GHz 533MHz 133MHz 19
2.4BGHz 533MHz 133MHz 18
上の表のうち、倍率はそれぞれ固定となっているため倍率は変更できません。
Pentium4 2.4BGHzの場合は、18倍で固定です。
したがって、ベースクロックを上昇させることができればCPUクロックをアップさせられることがわかります。

3.ベースクロックを変更する

ベースクロックを変更させればCPUのクロックを調整できることがわかったところで、早速マザーボードのBIOS画面からCPUのベースクロックを変更させます。

ベースクロック133MHz → 156MHz

この変更により、156MHz*18=2808MHz=約2.8GHz
となり、2.8GHzで動作するようになるはずです。
BIOS画面で ベースクロック156MHzに変更して、再起動…。

無事にウィンドウズが立ち上がりました。

4.エラーがないか確認する

CPUのベースクロックをマザーボードから変更して、無事にウィンドウズが起動できたとしても、問題が無いかどうか確認しなければ使い物になりません。
そこでまず、CPUのベンチマークソフトとして定番のHDBENCHをテストしてみました。
まずはオーバークロックする前(2.4GHz)のテスト結果
★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.30 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
Processor Pentium4 2408.30MHz

Integer Float
59062 91354
このテスト結果の
・Integerは:整数演算能力
・Float:浮動小数点演算能力
を表しています。

続いてクロックアップ後(2.8GHz)のテスト結果
★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.30 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
Processor Pentium4 2811.92MHz

Integer Float
68981 106703
CPUの周波数を2.4GHzから2.8GHzへ約1.16倍のクロックアップをおこなった結果
・Integer:5906268981=約1.16倍
・Float:91354106703=約1.16倍
とクロックの増加比率と同じように、演算能力が伸びたことがわかりました。

続いて、もっと負荷をかけた状態でのテストとして3Dグラフィックを動かす「FFbench3」を実行してみました。
その結果…!





 落ちました!





HDBENCHは無事完了できましたが、FFbench3はテスト中に落ちて、PCが再起動してしまいました。

原因として考えられるのは、
・1.CPUの熱
・2.CPUの耐性
・3.CPUコア電圧
・4.メモリ周り
・5.マザーボード周り

辺りです。

1のCPUの熱に関しては、テスト中はCPU温度が60度程度だったため、まだ余裕があったように感じました。(以前Pentium4が75度まで上がってしまい、CPUが自動的にクロックを下げて無事を保っていたことがあったので、熱で落ちた可能性は低いように思います)
2のCPUの耐性についてですが、HDBENCHは実行できていたので、もう少し他の原因を考えてみます。
3のCPUコア電圧について。これはマザーボードのBIOS画面で設定できるので、定格の1.50Vから以下のように変更してみました。

CPUコア電圧1.50V → 1.55V

この状態でPCを再起動し、CPU温度を調べてみたところ…。
アイドル状態でも、以前よりかなり高いCPU温度になっていました。
温度は気にせず、もう一度FFbench3を実行してみましたが、やはり落ちてしまいました。

となると、4.メモリ周りと5.マザーボード周りの原因が考えられるわけですが、ベースクロックを変更させた時にメモリの動作周波数も一緒に変更されてしまうため、この中ではメモリがかなり怪しそうです。
ただし、メモリを変えることはできないので、CPUのクロックを下げて使うことにしました。

5.常用できるクロックを探す

2.8GHzでの動作は厳しいことがわかったので、次は高負荷状態でも安定して動作させることができるCPUクロックを探し出します。

以下のように2.8GHzから2.6GHzに下げてテストしてみました。

ベースクロック156MHz → 144MHz
144MHz*18=2592MHz=約2.6GHz

この状態でFFbench3を実行したところ、今度は最後までテストを完了できました。
続いて、2.66GHzでも試してみました。

ベースクロック144MHz → 148MHz
148MHz*18=2664MHz=約2.66GHz

この状態でFFbench3を実行したところ、問題なくテストを完了できました。

この2.66GHzという動作周波数は、上の表にあったように
Pentium4 FSB ベースクロック 倍率
2.66GHz 533MHz 133MHz 20
2.4GHzのCPUより2ランク上のCPUと同じ動作周波数になり(ベースクロックと倍率は違いますが)、ほぼ同じ性能になったことになります。
CPU温度もチェックしてみましたが、今までよりほんの少し熱くなった程度でほとんど問題なく使えることがわかりました。
ということで、Pentium4 2.66GHzに変化させたところでオーバークロックは終了です。
2.4GHzから2.66GHzへ約1.1倍の性能UPに成功しました。(←微妙?)

本当は2.8GHzで動作させたかったところですが、安定動作できなかったのでここで終了です。








と、ここで終わっておけば良かったのですが…





6.無理なオーバークロックはしない

諦めきれず、2.8GHzで動作させようともう一度BIOS画面に戻ってきました。
安定動作できなかった原因4.メモリ周りが怪しいのではないかと思い、メモリの動作周波数を下げて実験してみることにしました。
定格では、メモリの動作周波数は333MHz

まずは、ベースクロックを166MHzにして、メモリのクロックを変更…
あっ、クロック下げるとちょうど332MHzに…。

よしっ、これでやってみよう!


再起動…








画面が真っ暗になったまま…






一切反応なし…



電源ボタン長押しで強制リセット…



もう一度電源ボタンON。




今度はちゃんとディスプレイに映ったので、すぐにBIOS画面へ。

CPUがハングアップした

と書かれています。
壊れてしまったのではないかとびくびくしながら、設定を元に戻し(2.66GHz)、再起動すると、無事Windowsが立ち上がりました。

ちょっと、ドキドキしてしまいました。

なんで立ち上がらなかったのか、もう一度考えてみると…

166MHz*18=2988MHz=約3.0GHz




あっ、設定間違えてた…!




メモリのクロックに気を取られすぎて、CPUのベースクロック設定を今まで試したこともない166MHzに設定していました。
どうりで動かないはずです。CPUが壊れていなくて助かりました。
このCPUはこの辺りに限界があったみたいです。

中には、Pentium4 2.4GHzを3.4GHzで動作させている人

 →Pentium4-2.4BGHz使用記

もいるくらいなので、CPUにも個体差があるようです。(CPUの電圧が1.75Vというのも驚異的ですが)


7.結論

以上の結果、CPUのクロックアップには成功しました。
ただし、たった1.1倍の性能UPであるため、体感できるほどは早くなりませんでした。


最後に、

CPUのオーバークロックには危険が伴います。
オーバークロックの際は自己責任で。