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リアル鬼ごっこ読みました

2005年03月11日 読書
リアル鬼ごっこ
山田 悠介(著) 幻冬舎
2004-04

by [Z]ZAPAnetサーチ

リアルな鬼ごっこ。
タイトルだけでも、ついつい気になってしまう リアル鬼ごっこ
アマゾンの評価では、五点満点で一点を付ける人が続出。

そんな、いろいろな意味で気になってしまうリアル鬼ごっこを読んでみました。

鬼ごっこって、小さい頃にたくさんやりましたよね。
普通のおにごっこに始まり、いろおに、たかおに、こおりおに…。
”鬼”は付かないけど、どろけいとか、けいどろとか、どろじゅんとか(地域によって呼び方が違うだけ)。
缶蹴りとかかくれんぼとか。(鬼ごっことはちょっと違うけど)
秘密基地とか作ってみたり。(←既に鬼とは全然関係ないけど)


結局、どの鬼ごっこにしても、気が強くて、体力の強い子が勝てるようなルールになっています。

うまくタッチできなくて、ずぅっと自分が鬼になってしまうと、なんだか泣けてきます。
鬼の方が強いし、周りも逃げるくらい恐れられているはずなのに、自分だけ鬼ばかり続けていると、逆にいじめられている気分になってしまいます。
ふてくされて、鬼を放棄すると、周りの雰囲気は一気に悪くなり、これまたいじめられる可能性があります。
実は、どんな競争社会よりも、小さい子供の遊びの方が残酷だったりします。
そんな”孤独”が悲しい鬼ごっこ。


さて、この山田 悠介さんの リアル鬼ごっこはというと…
(ネタバレはあまり含まないように注意しますが、それでも多少含まれますので、注意して下さい。)

芥川賞受賞作「グランド・フィナーレ」読みましたで書いた通り、芥川賞のグランド・フィナーレでは、最初の2ページで読むのをやめようかと思いました。
今回も最初の2ページで、何かわかるかなぁと思い、読んでみました。

ふむふむ、”佐藤”さんがやたらと増えてしまって、人口1億人のうち500万人が”佐藤”さん…。

 面白い!

2ページ目まで行かずに、1ページ目を読んだだけで、面白そうな設定に興味を惹かれました。

そして、この国の王様も”佐藤”さん。

王様がじぃに問いかける。王様の姓は何かと。
じぃは”佐藤”であることはわかりきっていた。
そんな中、王様の”佐藤”さんがさらに問いかける。

 自分以外の”佐藤”を減らす方法は無いか

と。
家臣達を集めるも、”佐藤”さんを減らす良い方法は提案されず、王様自らある方法を思いつく。

 鬼ごっこだ

と。

この王様は”佐藤”姓を減らすために、鬼ごっこを始めさせた。
捕まった者(佐藤さん)は殺され、生き残った者(佐藤さん)は好きな望みを叶えられる。
そんな残酷な物語。


ここまでは本当に面白くて、
鬼ごっこの緊迫感や仲間の裏切り、待ち伏せ、罠などたくさんのイメージが湧いてきました。
最後残った”佐藤”さんが、望みは何が良いかと聞かれて、

 姓を鈴木にして下さい!

と答えて、周りの家臣達が、

 その手があったか!

とズッコける物語をイメージしてみたり。
とにかくいろいろ想像を膨らませてみました。


  …
    …

でも主人公は、王様ではなく、佐藤翼君でした。
佐藤君がどういう”リアル鬼ごっこ”を体験して、どうなったのかは自分で本を読んでみて下さい。

簡単に感想を述べると…

 展開が強引でした。

設定が良かった割に、肝心の中身はまぁまぁといったところです。
ちょっと自分で勝手に想像しすぎた部分が良くなかったかもしれません。
でも、最初の設定が5点と残りが3点で、平均して…

 ☆☆☆☆

です。(5点満点中の4点)


アマゾンの評価に書かれていたような、ひどい内容ではありませんでした。
読み終わった最後の部分に、初版から大幅に加筆・修正してあります。
と書いてあったので、評価の低かった人達は、初版を読んでいた可能性が高い感じがします。
--このレビューは、同タイトルの単行本のレビューから転載されています。と書かれているレビューはあまりあてにならないかもしれません。)
それほどひどい文章ではなく、結構読みやすいので、普段読書をしない人にも勧められそうな作品です。


気付けば、最近読んでいる本は鬼ばっかりです。
屍鬼は当然鬼で、リアル鬼ごっこも鬼で、そして未だに読み終わっていないICO -霧の城-も主人公に角が生えています。

 鬼怖いのに…


このままだと、鬼好きだと思われそうなので、次は違う本を読もうと思います。
あっ、その前にICO -霧の城-を読み終えなくては…。
全然面白くなくて、なかなか前に進みません。
半分まで読んだので、読むのをやめようか、最後まで読もうかちょっと悩んでいます。

暇つぶしのための読書なら最後まで読めても、
時間の少ない中、何かを得ようとして読書をしていると、早く他の本に移った方が良いような気がしてしまいます。

もともと読書が得意なわけではないので、こういう時困ります。


リアル鬼ごっこに興味を持った人は、是非読んでみて下さい。(古いのではなく、改訂版を読んだ方が良いと思います)
名字が”佐藤”さんなら、緊迫感もプラスされるかもしれません。
”くだらない!”と思うか”面白い!”と思うかは人それぞれですが、自分は結構楽しめました。