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α7IIレビュー3 - シャッター周りも地味に進化!

2014年12月18日 カメラ・写真
ILCE-7M2


去年、「α7レビュー1 - 唯一シャッターだけがややイマイチ」という記事を書きました。初代α7は、旧NEXシリーズと比較して、ボタンやメニューが改善されて、とても使いやすくなっていました。その中で唯一、シャッター周りだけがちょっと残念な出来でした。シャッターボタンの位置が悪く、グリップも浅く、そして異様な長さのシャッターストローク。α7のシャッターストロークについては、ソニーの開発者が自信を持って作ったそうです。個人的には不満なシャッターでした。

さてα7IIでは、見た目通りシャッターボタンの位置が前に出て、押しやすい位置になりました。それだけではなく、細かいところでα7IIのシャッター周りが改善されていました。ということで、α7IIのシャッター周りについて、レビューしておきます。

シャッター位置改善にプラスして、シャッターストロークが少しだけ短く!

α7とα7II。シャッター周りは全て同じだろうと思っていたら、少しずつ違いました。その一つが、シャッターストローク。あの異様に長かった初代α7と比較して、少しだけストロークが短くなっていました。【レビュー】ソニーα7 II買っちゃった!のときは、α7とα7IIのシャッターストロークは同じだろうと決めつけて、初代α7と同様、思いっきりシャッターを押し込んでいました(ストロークが長すぎて、そうしないとα7のシャッターは切れなかったので)。そのせいでブレやすく、5軸ボディ内手ブレ補正機構をONにしても、1/4秒のシャッタースピードでブレてしまっていました。

しばらくα7IIを使っているうちに、もう少しシャッターストロークが浅いことに気付きました。それを考慮して、丁寧にシャッターを切ってみたら、1/4秒どころか1/3秒でブレずに撮れたカットがありました。「最高4.5段分」というボディ内手振れ補正機構は本当だったようです。ただ、ものすごい慎重にシャッターを切って、ごくごくまれに手振れしていないカットが撮れることもある、くらいの確率です。自分の使い方だと、最高4.5段分が活かせる機会はなかなかなさそうです。

初代α7、α7II、ニコンD700のシャッターが切れるまでのイメージはこんな感じです。
機種 AF半押しからシャッターが切れるまでのイメージ
初代α7のシャッター AF半押し→押し込む→さらに押し込む→カシャ
α7IIのシャッター AF半押し→押し込む→カシャ
ニコンD700のシャッター AF半押し→押…カシャ

α7IIでは初代α7ほどの違和感はなくなりました。ニコンD700に比べると、ストロークは長いです。でもこれがソニーの考えるシャッターストロークなので、慣れるしかないです。ボディ内手振れ補正のことを考えると、シャッターストロークは浅ければ浅いほどブレにくいと思います。

シャッター音が静音化

一部で評判の悪かったα7のシャッター音。自分としては、ニコンD700の爆音シャッターに慣れていたので、α7のシャッター音については特に気にしていませんでした。D700は、上位機種のD4等よりも爆音で、とにかく目立つシャッター音でした。人を撮るときは、このキレのあるシャッター音がリズムになって心地良かったりもします。動物園で動物を撮っているときに、D700のシャッターを切ったら、動物が目線をくれたことがあって、ちょっと笑ってしまいました。

さて、α7IIのシャッター音ですが、α7に比べて静音化されていました。α7の「バシャキュン」という複雑なシャッター音から、「クキュン」という制御されている感じのシャッター音になりました。フレーム等の強度がアップし、振動が少なくなったのかもしれません。複雑な音がなくなり、シャッター動作音の高い音だけが鳴っているように感じます。ただ、静音化とは言っても、それはα7との比較であって、APS-Cサイズのミラーレス一眼などよりは大きくうるさいです。

背面液晶の画素数がアップ!

α7IIは、背面液晶が進化しました。今までの92.1万ドットの液晶から、約122.9万ドットWhiteMagic技術採用のディスプレイになりました。

機種 背面液晶
α7  92.1万ドットの大画面3.0型ワイド「エクストラファイン液晶」
α7II 約122.9万ドットの大画面3.0型「WhiteMagicディスプレイ」

白画素追加で屋外で見やすくなっただけでなく、画素数が122.9万ドットに増えたことにより、MF操作時のピント確認がしやすくなりました。

EVFとLCDのリフレッシュレートが進化?

α7に比べα7IIの液晶表示は、ヌルヌル動いているような気がします。30Hzから60Hzに上がったようなそういう滑らかさがあるように感じます。厳密に同じ条件で見比べたわけではないので、もしかしたら気のせいかもしれません。

手持ち物撮りで、1/15秒を常用できる便利さ

ボディ内手振れ補正、とても便利です。シャッターを一気押しするなど、大きいブレには全然対応できない手振れ補正機能ですが、慎重に撮ったときにはとても上手く作動します。物撮りで慎重に撮るときなどは、シャッタースピード1/15秒を常用できます。フルサイズのレンズに手振れ補正機構を採り入れると、どうしてもレンズが巨大化し価格も高くなります。ボディ内に手振れ補正機構があると、どのレンズを付けても手振れ補正が作動して、とても便利です。今後のEマウント、FEマウントのレンズからは、レンズ内手振れ補正を搭載しない、コンパクトなズームレンズに期待したいです。ソニーはやたら「コンパクト」にこだわる傾向があって、「画質を犠牲にしてでもコンパクト」を優先しているような気がします。「画質を犠牲にしない中でのコンパクト」に期待したいです。

実はAマウントレンズより、他社製レンズを使った方がラグが少ない…

SONY マウントアダプター LA-EA4を付けて、Aマウントのレンズで写真を撮ると、ラグが大きいです。これはAマウントのレンズの絞りを動かしているせいだと思うのですが、絞りを動かすラグと音があります。このラグにより、個人的にボディ内手振れ補正が効きにくくなります。他社製マウントアダプタに、他社製レンズを付けてMFで撮った方が、実はラグが少なくて快適だったりします。

フルサイズ用F1.4レンズで手振れ補正

フルサイズ用の大口径F1.4レンズには、手振れ補正機能が備わっていないことが一般的です。それがα7IIのボディ内手振れ補正によって、どれだけ大口径の明るいレンズであろうと手振れ補正が効くようになってしまいました。50mmF1.4や85mmF1.4のレンズを付けて、シャッタースピード1/20秒くらいで撮っても、全然問題ないです。フルサイズにこそ手振れ補正はボディ内に必要だったのではないか、何だかそういう想いが日増しに強くなってきています。

暗いところでのAFは相変わらず遅いし、合わないことが多い

高感度に強いα7Sでは、一眼レフを超えるEV-4というとんでもない暗所AF性能を誇っていました。もしかしたら、このAF機能がα7IIにも…と期待したのですが、ダメでした。相変わらず、暗いところでのAFは遅くなるし、AFも合いにくくなります(一眼レフのニコンD700と比べた場合であって、他社のミラーレス一眼よりはずっと良好です)。調べてみたら、AF検出輝度範囲は以下のように公表されていました。

機種 検出輝度範囲
α7II EV-1-20 (ISO100相当、F2.0レンズ使用)
α7 EV0-20 (ISO100相当、F2.8レンズ使用)
 α7R EV0-20 (ISO100相当、F2.8レンズ使用)
 α7S EV-4-20 (ISO100相当、F2.0レンズ使用)

α7IIでは、α7やα7Rに比べ検出輝度範囲が1EVほど伸びていたようです。それでも、α7Sに比べるとまだ3EVほどの差があって、さすがにα7Sのような暗所AF性能ではありませんでした。これはソニーの出し惜しみではなく、イメージセンサー周りの限界なのだろうと予想します。ソニー製2400万画素のCMOSイメージセンサーは少し古く、ソニー製1200万画素のCMOSイメージセンサーは全画素読み出しにも対応している最新型ですからね。

起動が確実に速くなった

α7も2度のアップデートで、初期ファームよりかは起動が速くなっていました。α7IIでは、それを上回る起動の速さになりました。初代α7のときのように、「まだー?まだー?」と何度も確認しないで済む起動速度になりました。

カスタムボタンの追加が嬉しい

カスタムボタンが一つ追加され、さらに操作性が上がりました。こうなってくると、AFエリアのダイレクト選択機能があればなぁと思えてきます。ショートカットボタンが増えて、人によってはボタンが余っていそうですし。

親指AFで手振れ補正可能

α7と同様、カスタムボタンの割り当てで、自由な場所にAFボタンを割り当てられます。一眼レフでも上位機種にしか搭載されていない親指AFを、α7シリーズなら好きなボタンに割り当てられます。そして嬉しいのが、親指AFでもボディ内手振れ補正が効くこと。親指AFでフォーカスロックをし、手振れ補正が効いた状態で構図を決められます。ミラーレス一眼のライブビューの優れているところは、ボディ内で手振れ補正を効かせると、揺れが止まった状態で構図を決められるところです。一眼レフと違って、レンズ側に手振れ補正がなくても、EVFや背面液晶で揺れの止まった状態で構図を決められるところが優れています。

アイカップピースが柔らかく

α7では固すぎて、メガネ使用者にはツラかったアイカップピース。外光が差し込んで見難いなどの弱点もありました。α7IIのアイカップピースは、素材が少し柔らかくなったおかげで、メガネ使用者にも楽になりました。

マウントがたわまない安心感

マウントが頑丈になったことと、ボディフロント側の剛性が上がったことで、すごく安心感が出ました。「安心感」と書いてしまうと、感情の問題だけのように聞こえてしまいます。実際には、マウントが弱いことで弊害もありました。それはSONY純正マウントアダプターLA-EA4を付けたときです。マウントがたわむせいなのか、マウントアダプターにエラーが頻発して、カメラが再起動してしまうことがよくありました(エラー表示は出ず、急に操作を受け付けなくなって、再起動されてしまう状態)。それがα7IIになってからは、一度も不具合が起きていません。マウントは頑丈な方が気持ち良いですし、不具合も起きにくいです。

手振れ補正と合わせて、雨の日に片手でもブレずに撮りやすくなりました。雨の降る中、滝の上まで行って、傘を差しながらでも問題なく撮れました。
ILCE-7M2

まとめ

α7IIは、初代α7の弱点がことごとくつぶされていました。気付きにくいわずかな改善箇所も多々あります。わずか一年でよくもここまで改善したものを作れたなと感心するばかりです。「誰も作らなかったカメラ」、今度こそ本当に良い意味での「誰も作らなかったカメラ」になりました。すばらしい出来です。

あと望むことと言えば、祝☆ソニーα7発売一周年レビューにも書いたのと合わせて、
・1.1倍や1.2倍クロップの追加
・ボタンを押している間だけピント拡大(指定AFポイントで指定倍率表示)
・ピント拡大図と全体図のダブル表示
・メモリーカード書き込み中に再生ボタンを押したときのエラーメッセージ表示から、書き込み完了後の再生画面自動遷移
・AFエリアやAFモードの簡単切り替え操作
・XAVC S非対応メモリーカード挿入中は、自動でAVCHDで動画撮影できる機能
・EVF、LCD切り替え機能のカスタムボタン割り当て
・カスタムキーやファンクションボタンに設定できる機能の追加(飛行機モード切替など)
こういう機能が追加されると嬉しいなぁと思っています。

α7IIの完成度はすでに非常に高いですが、今後のファームアップでの機能追加にも期待しています。



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