ソニーNEX-5Rレビュー

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2013年10月15日 カテゴリ:カメラ・写真
NEX-5R_08

さて、明日16日にいよいよソニーからフルサイズのミラーレス一眼が登場ということで、APS-CサイズNEXシリーズのNEX-5Rのレビューでもしておきます。

フルサイズのミラーレス一眼は、APS-Cサイズの「NEX」という名前をやめて、「α」になるようです。マウントはNEXシリーズに引き続きEマウントで、既存のAPS-C用レンズはクロップで対応できると思われます。今回発表されるのは、2400万画素のα7と3600万画素以上のα7Rの2機種です。ソニーRX1ベースを彷彿とさせるツルッとしたボディに、取って付けたようなグリップ、(ボディのわりに)巨大なEVFが搭載されています。残念ながら、個人的にお気に入りのNEX-7ボディがベースにはならなかったようです。

以前、ソニーNEX-7レビューを書いたときに、「手放した」と書いたら、まるでNEX-7が悪い機種だったかのように受け取られたことがあります。全然そんな後ろ向きな理由で手放したのではなく、むしろポジティブに「将来性」に期待したからこそ手放したのでした。大きさ、グリップ、トライダイヤルナビシステムなどは、かなりお気に入りでした。

将来性とは、センサー性能、AF性能、EVF性能、ソフトウェア周りが今後大幅に向上することが見込めたので、次期NEX-7ですべて解決されるだろうと予想して、NEX-7は手放しました。また、まだ見ぬ「フルサイズNEX」にも期待しました。普段ニコンのフルサイズ一眼レフを使っていると、ミラーレスを使ったときに、いくらミラーレスが軽いとはいっても、「画質や表現力に妥協」しなくてはいけない面が出てきます。フルサイズ一眼レフは重すぎるし、軽いミラーレスは画質に妥協しなくてはいけない、「あぁ、フルサイズのミラーレスが早く発売されればいいのに…」とずっと切望していました。

次期NEX-7、フルサイズミラーレス、そのどちらかが発表されるまで、ソニーのEマウントとは一時的に離れることにしました(RX100もありますし)。結局、次期NEX-7よりも先に、フルサイズEマウントミラーレス一眼の発表となりました。ティザーサイトは、「誰も作らなかったカメラ。α | ソニー」です。価格が落ち着いたら、購入予定です。待望のフルサイズミラーレスですから。


さて、NEX-7を手放して、一時的にお別れしたはずのソニーEマウントシステムですが、その後少し経ってまた新たなNEXを買ってしまいました。その原因は、カールツァイス Touit 1.8/32無償貸出に当選してしまったからです。どうせ借りられないだろうと思って、NEX-7を手放してしまったら、Eマウント用のカールツァイスレンズを借りられることになってしまったんですね。「あ、カメラボディがない…!」ということで、今度はNEX-5Rを慌てて買ってきたわけです。次期ミラーレスの購入資金に充てるつもりが、中級機NEX-5R購入ですべて消えてしまいました。

前置きが長くなってしまいましたが、ソニーNEXシリーズの一番の売れ筋機種、NEX-5系のNEX-5Rのレビューです(買った当時はNEX-5Rが最新機種でした。その後微妙なマイナーチェンジを果たしたNEX-5Tが発売されています)。
NEX-5R


ボディはマウント径よりも小さい斬新なデザインのボディ。このボディを初めて見たときは、「さすがソニー」と思ったものです。使い勝手は別として、格好いいデザインだと思います。
NEX-5R_02


背面はこの通り。液晶にはタッチパネルが採用されています。静電式は誤動作で評判が悪く、NEX-5Rでは感圧式のタッチパネルになっています(触れるのではなく、押すと反応するタイプ)。オレンジの「Touch Panel」シールは、箱から空けて写真を撮った後すぐ剥がしました。たまに剥がさず付けたままの人もいますが、すぐ剥がして別売りの液晶保護シートに張り替えた方がいいと思います。
NEX-5R_03


この可動式液晶が面白い動きをします。
NEX-5R_04


こうやって、自分撮り用にライブビュー画面を見ながら撮影できます。自分の顔なんて撮影したくありませんが、話のネタとしては盛り上がります。「これ、こっち側向くんだよ」「おぉっ!」という感じに。
NEX-5R_05


グリップ。バッテリーを縦に入れてグリップにする形式。この形式は握りやすくて、大好きです。NEX-5Rでは、新たにコントロールダイヤルも搭載されました。NEX-7のトライダイヤルナビの一つと考えるとわかりやすいです。その前にFnボタンも付いていて、操作性は上々です。MOVIEボタンも、NEX-7のような不意に押されてしまうような場所ではなく、いい位置にあります。
NEX-5R_06


カールツァイス Touit 1.8/32を付けてみたところ。ちょっとレンズが大きくて不格好です。NEX-5系には小さいレンズの方が似合います。Touit 1.8/32のレビューについては、「カールツァイス Touit 1.8/32 レビュー2-性能チェック編-」をご覧下さい。すべてNEX-5Rで撮影した写真のレビューです。
NEX-5R_09

NEX-5Rの良いところ

以前NEX-C3を試したときに、「あぁ、ダメだ…」と思ったことがあって、その後NEX-7を買って、NEXシリーズを見直しました。今回NEX-6にするか、NEX-5Rにするか少し迷いましたが、やはりここはメインストリームのNEX-5系を試しておこうと、NEX-5Rを購入しました。NEX-5はどうなんだろうと、期待と不安が半々でした。

結論から先に言うと、NEX-5Rはすごくイイです。ある一点を除いて、非常にイイ機種です。

レスポンスの良さ

NEX-5Rにイイところはたくさんあって、特にイイのは、やっぱりレスポンスの良さです。電子先幕シャッター搭載で、NEX-7と同じわずか0.02秒のレリーズタイムラグ。それに加えて、NEX-5RにはファストハイブリッドAFが搭載されています。キットレンズの電動ズーム「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」(グリスまみれだったレンズです)を付けても、高速にAFが作動します。キットレンズでここまでAFが速いとかなり気持ちいいです。ファストハイブリッドAFにより、一眼レフ並みのAFスピードになったと感じました(キットレンズ同士で比べれば、むしろ一眼レフより速いです)。

握りやすいグリップ

NEX-7のようなゴム素材のグリップではないので少し不安でしたが、NEX-5Rのグリップもすごく握りやすいです。これでも十分かと思わせるだけの握りやすさです。NEX-5Rの全体的な質感も良い感じです。

Wi-Fi対応ワイヤレス通信

Wi-Fi対応ワイヤレス通信に対応しているので、iPhone等に画像を直接転送できます。今後のデジカメにはすべて標準搭載してもらいたいくらいの機能です。

アプリを追加できるPlayMemoreis Camera Apps

PlayMemoreis Camera Appsにより、新しいアプリを有料/無料でどんどん追加できます。できますが、それほど種類が多くないのと、アプリを追加する画面がもっさりしていたりで、若干扱いづらいです。もっとも便利なアプリは、スマートリモコンです。専用リモコンを持っていなくても、iPhoneでリモートシャッターが切れるので便利です。アプリ追加は、今後に期待の機能です。

フルHD60pの動画撮影

ソニーのデジカメだとフルHD60pで動画撮影できるところが嬉しいところです。30pや60iと比べて、滑らかな動画が撮れます。ビットレートやガンマなどの設定など、もっと細かく設定できれば最高ですが、最低限の動画撮影機能は備えています。キットレンズも電動ズームに対応していて、AFも速いので、動画撮影はしやすいです。一眼に「タッチパネルなんていらない」と思ってしまいそうですが、動画撮影時のタッチフォーカスはかなり便利です。

扱いやすい1600万画素のイメージセンサー

NEX-7の2400万画素イメージセンサーはなかなか扱いづらいものでしたが(詳しくはソニーNEX-7レビュー参照)、NEX-5Rの1600万画素イメージセンサーは扱いやすいです。ダイナミックレンジはNEX-7と同等で(ハイライト側は若干NEX-7の方が良く、シャドウ側はNEX-5の方が良い印象)、1インチセンサーのRX100と比べると、全体的なダイナミックレンジはずっと広いです。ノイズについては、下のNEX-5R、ISO感度別テストに詳しく載せます。

NEX-5R、ISO感度別テスト

写真は、ISO感度別にキットレンズの16-50mmを歪曲補正なしで撮影しました。歪曲補正がないと、歪曲がひどく、四隅が暗くなるひどいレンズです(ひどいレンズですが、これがけっこう面白いレンズだったりもします)。画像クリックで等倍表示になります。

■ISO100
NEX-5R_ISO100
レンズ性能が全然追いついていませんが、ISO100はもちろん文句なしの画質です。ただ、解像度の分だけ、ISO100ではNEX-7の方が上であることは明白です。


■ISO200
NEX-5R_ISO200
ISO200もイイです。NEX-7では暗くなってくるとISO200でもやや怪しくなる感じでしたが、NEX-5Rでは問題ありません。

■ISO400
NEX-5R_ISO400
ISO400でもかなり安定した画像です。さすがはソニーの1600万画素センサー。ノイズが増えてしまうNEX-7と違って、気軽にISO400が使えます。


■ISO800
NEX-5R_ISO800
ノイズは増えましたが、粒が揃っていて扱いやすい画像です。


■ISO1600
NEX-5R_ISO1600
ISO1600になると、さすがにノイズが増えてシャープさが失われてきます。それでもカラーノイズがの少なさはさすがです。


■ISO3200
NEX-5R_ISO3200
ISO3200になるとあまり良くありません。画素数の多いNEX-7とノイズリダクションをかけたリサイズ画像で勝負した場合、どちらが上になるかはわからない感じです。


■ISO6400
NEX-5R_ISO6400
ISO6400は全然良くありません。緊急用という感じです。


ということで、全体に扱いやすいイメージセンサーを搭載しています。暗部ノイズがひどいとか、急激にカラーノイズが増えたりとかはしないので、どんなシーンでも気軽に撮れます。

NEX-5Rの悪いところ

NEX-5Rに意外と満足している自分がいて、「これならフルサイズミラーレスの価格が落ち着くまでのんびり待てる」という気持ちになっています。小さくて軽いし、扱いやすいんですね。ただ、細かいことを言えば、NEX-5Rにも悪いところはあって、そのうち1点だけはどうしても許せない部分があります。

コントロールダイヤルを搭載したのに、絞り優先時にコントロールホイールで露出補正できない!

NEX-5Rの許せないところ。実は、NEX-6も同様の問題を抱えていて、ソニーの技術者が何を考えているのか全くわからないところ。それは、ボディ上部にコントロールホイールを搭載したのに、絞り優先撮影時に背面のコントロールダイヤルを回しても露出補正できないことです(下の写真の、上部がコントロールダイヤルで、背面右側がコントロールホイールです)。
NEX-5R_07
絞り優先時には、上部のコントロールホイールを回して絞り調整、背面のコントロールダイヤルを回して露出補正するのがもっとも理にかなった方法だと思います。NEX-5RとNEX-6はそれができません。露出補正をするには、コントロールダイヤルの右ボタンを押して、露出補正モードに入ってから、ダイヤルを回して露出補正する必要があります。次のカットでまた露出補正したいときには、また右ボタンを押して露出補正モードに入って…と繰り返さなければいけません。最悪な操作性です。NEX-7が恋しくなる操作性で、NEX-5Rが嫌になります。

このままだととてもツラいので、対処法として、ほとんどマニュアルで撮影するようになりました。マニュアルモードだと、ボディ上部のコントロールホイールで絞り調整、背面のコントロールダイヤルでシャッタースピード調整になります。ISO感度を回すダイヤルがないことを除けば、NEX-7と似たような操作性になります。絞り優先モード好きな自分にとっては悲しいですが、NEX-5Rの場合はほとんどマニュアルモードで撮っています。実は、背面液晶に、カメラが算出した明るさとの差が「+0.7」や「-0.3」などが表示されるので、けっこう使いやすいんですけどね。大きく絞りを変えたいときなど、マニュアルは不便なので、そういうときはやっぱり絞り優先モードが使いたくなります。

露出補正をないがしろにするこのUI以外は、些細な不満になります。

コンデジに劣る見辛い液晶

NEX-5Rのボディが小さいのは嬉しいですが、それに合わせて液晶画面も小さいです。NEX-5Rのあとに、コンデジのSONY RX100を使うと、「液晶デカっ!見やすい!」と思ってしまいます。NEX-5系は、マウント径よりも小さいボディを採用してしまったがために、液晶の縦のサイズがひどいことになっています。コンデジのRX100の方が液晶が大きくて見やすいです。やっぱり、マウント径よりも小さくするボディはやりすぎだったかもしれない、と思う点です。

小さく軽いが、それほど恩恵は感じないボディ

マウント系よりも小さく無駄をそぎ落としたNEX-5Rのボディの重さは、約276グラム。一方、マウント系よりも小さく、フラッシュとEVFを搭載したNEX-7は約350グラムです。74グラムの差というのは、レンズ込みで持ってみるとそれほど差はありません。マウント系よりも小さいボディがあだとなり、レンズによっては重量バランスの問題でNEX-5Rの方が持ちにくく感じます。「だったら、EVFが付いているNEX-7の方がバランスが良い」と思ってしまうこともあります。NEX-5系の気軽さが発揮されるのは、小さくて軽いレンズであることは間違いないです。ソニー16-50mmやシグマ30mmF2.8等を付けると、軽くてかなりイイ感じです。大きく重いレンズはあまり合いません。

専用フラッシュ

NEX-5R、NEX-6、NEX-7は、すべてフラッシュの接続形式が違っています。NEX-5Rの場合は、専用の小型フラッシュです。NEX-7のようにフラッシュ一体型の方が便利で、NEX-6のように汎用接続方式だともっとも使いやすいです。

相変わらず操作しにくいメニューやソフトウェア周り

いつものNEXシリーズで、操作しにくいメニュー構成です。RX100の方がずっとわかりやすいです。

その他、背面液晶に水準器とヒストグラムの同時表示ができない、ISO感度を1段階ずつしか切り替えられない、液晶の明るさを屋外モードにするとコントラストまで変わってしまう見にくいライブビュー、画像プレビューの拡大が遅い、動画と静止画のプレビュー切り替えが面倒な点など、相変わらずのNEXです。

まとめ

全然購入予定のなかったNEX-5Rは思っていたよりも握りやすく、軽く、画質も上々で、予想よりもずっと満足しています。NEX-7には搭載されていなかったファストハイブリッドAFやアプリ追加機能などが搭載され、NEXの完成度が高まったように感じました。NEX-5Rを触った後にRX100を使うと、「あれ、RX100でも十分なんじゃね?」とか思ったりもしますが、軽くてレンズ交換もできるミラーレス一眼は魅力的です。ソニーのフルサイズミラーレスが発売されたら、NEX-5Rを手放すか、サブとしてNEX-5Rを残すかは決めていません。意外とNEX-5Rは気に入ったので、サブとしてNEX-5Rは残すような気がしています。今後買わないのは、むしろ一眼レフの方になると思います。


 


追記1NEX-5、NEX-3系でニコン等の外付けフラッシュを使う方法
追記2ソニーのレンズがグリスまみれだった件
追記3ソニーのフルサイズミラーレスα7Rとα7のスペック比較
追記4ソニーα7、NEX-5R、RX100のサイズ比較、画像比較