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XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISレビュー2-AF性能と手ぶれ補正効果編-

2013年07月20日 カメラ・写真


富士フイルムXF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISレビュー1-外観編-からの続きです。最初は重いなぁと思っていたこのレンズも、実際に使ってみると、写りと手ぶれ補正の効果が良くて、重さにも納得のレンズでした。

今回は、AF性能と手ぶれ補正の効果をレビューしてみます。
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初めて取り付けてみて

同時にお借りしているX-E1に、XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISを取り付け、電源を入れてみました。「ファームアップを上げろ」というようなメッセージが表示されました。借りているカメラのファームを勝手に上げるわけにはいかないので(ファームアップに失敗して壊してしまったら大変ですし)、そのまま無視して、AFをオンしてみました。

「手ぶれ補正すごい!」

背面液晶を見ていてもわかる手ぶれ補正のすごさ。手ぶれがピタッと止まります。

現在の手ぶれ補正技術の効果は、大きく分けると3つに分けることができます。

一つは、手ぶれ補正効果があるのかないのかわかりにくいけれど、無いよりはマシな手ぶれ補正効果。
一つは、確実に手ぶれ補正効果はあって、大半で手ぶれの手助けをしてくれるけれど、たまにミスをするし、厳しそうなシーンではやっぱりブレることが多い手ぶれ補正効果。
一つは、今までは考えられなかった厳しそうなシーンでも、手ぶれを防いでピタッと止まった写真を撮ることができるすごい手ぶれ補正効果。

背面液晶を見ているだけでも感じるのは、おそらくこのレンズは、すごい手ぶれ補正効果だろうということ。これは、実際の撮影シーンで確かめてみます(下部参照)。

リニアモーターによる無音AF

AFをオンにして手ぶれ補正効果のすごさに感動した後に気付いたのは、「このレンズのAFは無音だ!」ということ。超音波モーターを搭載し「静粛性」をうたうレンズでも、実際には、最後のAF微調整時に「チリチリ」と小さな音が鳴るものがあります。XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISはそのようなことがなく、リニアモーターによる本当の無音(通常使用時に、自分の耳には聞こえない音)です。

ただ、モーターは無音なのに、AF完了時に「チャッチャッ」と音が鳴って、「これは手ぶれ補正ユニットが動いているからかな?」と思ってチェックしてみたら、絞り開閉動作による音でした。この音はX-E1の仕様なので仕方ないと思います。絞り開放でAFすれば無音です。

AFが遅い…!と思ったら…

手ぶれ補正はすごそうだし、無音AFでAF性能の高さにも期待できそうだと、早速試写に出かけました。

「AFおっそ!」


1/950秒、F5.6、ISO200、200mm
こんなスズメの写真を撮るのにも一苦労するAF速度でした。

AFをオンにすると、毎回コントラストAFのピント合わせに全力で走査して、非常にAFが遅かったです。いいリニアモーターを積んでいるのに、これではAFのアルゴリズムが悪すぎる、何とかならないものか…「あっ!」、と思い出しました。

ファームウェアのバージョンを上げろという警告があったな…と。これだ。

X-E1のファームを更新して、AF速度アップ!

富士フイルムのページをチェックしてみると、このように記載されていました。
X-E1 のファームウエアの更新:概要 | 富士フイルム


Ver.1.04からVer.1.05への変更内容

「フジノンレンズ XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS」との組み合わせでAF速度が高速化されます。

早速、みんぽす事務局に連絡して、ファームアップして良いか確認しました。OKだという了承を得て、X-E1のファームアップをしました。壊れずに無事完了しました。この時点で最新の「バージョン1.06」にしました。

もう一度AFを試してみると、今度は圧倒的にAFアルゴリズムが良くなっていました。常に一定のスピードでコントラスト検出しようとしていた以前のAFアルゴリズムとは違い、ある程度走査すると一気に食いついてピントが検出されるようになりました。これでXF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISの本来の能力が発揮されるようになりました。

XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISのAFは速いのか

富士フイルムの公式ページとニュースリリースにはこのように書かれています。
明るいF値を誇る光学設計に加え、リニアモーター駆動による高速AF合焦性能とシャッタースピード4.5段分の手ブレ補正機能を装備。タフな撮影条件をものともしない、頼りになる1本です。

2基のリニアモーター駆動により最速0.28秒の高速AFを実現。静音性に優れており、動画撮影にも適しています。

最速0.28秒の高速AF。なんかものすごい速いのかと期待していました。はっきり言って、そんなに速くはなかったです。

同じ被写体、同じピント面でAFオンにしても、もう一度コントラストを検出しにいっているような感じで、それほど高速とは感じませんでした。一眼レフの位相差AFやソニーのファストハイブリッドAFよりもどうしても遅いです。「高速AF」と聞かずに使っていれば、まずまずの速度に感じたと思います。

また低照度のときは、もっとAFが遅くなります。ファームアップ前のような動きで、ゆっくりとピント面を検出しにいっています。

そもそも、0.28秒って、そんなに速くはないですね。パナソニックGH2の0.1秒AFシステムに慣れているので、それに比べてもずっと遅いです。

XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISで動画撮影

動画撮影にも適しているそうなので、動画を撮影してみました。


FUJIFILM X-E1&XF55-200mmで動画撮影テスト - YouTube


AFは無音で、AF速度もまずまずですが、たまにピント面を見失って、コントラストAFをやり直しになってしまっています。少し惜しいです。

それと、X-E1の動画撮影は、24pでしか撮影できないことと、ビットレートを変更できないのが残念です。30p、60pモードの搭載と、ハイビットレートモードの搭載を望みます。富士フイルムの画像処理技術は高く、色も良いので、動画性能ももう少し上げてもらいたいです。

手ぶれ補正効果がすごい!

さぁ、そしていよいよ手ぶれ補正効果の実証です。

望遠端200mmで、シャッタースピードを1/3秒にして撮影してみました。


1/3秒、F5.6、ISO200、200mm

「1/3秒で手ぶれせずに撮れた!すごい!」

初めて背面液晶を見て感じた通り、このレンズの手ぶれ補正効果はすごいものでした。35mm判換算300mmの望遠写真を、1/3秒で手ぶれせずに簡単に撮れてしまいますからね。いやぁ、すごい。

1/4秒や1/5秒では失敗して手ぶれしていて、1/25秒あたりから歩留まりが良かったです。シャッターショックの少ないミラーレスカメラの利点で、低速シャッターでもぶれにくいです。


次は、動かないコアラのように落ち着いて撮った写真ではなく、少し焦りながら撮ったチョウの写真で。


1/40秒、F5.6、ISO1600、200mm

1/40秒でもブレずに撮れました。本当に信頼できる手ぶれ補正です。2基のリニアモーター駆動によるコントラストAFのおかげで、合焦精度は高くピントも合います。手ぶれ補正効果と、ISO1600でもノイズが少ないX-E1との組み合わせで、とても使いやすいです。


ということで、AF速度はまずまず程度でしたが、コントラストAFで合焦精度は高く、抜群の手ぶれ補正効果で、XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISはすばらしいレンズだと思いました。大きさと重さにも、納得のレンズでした。

続く。


続きXF55-200mmF3.5-4.8レビュー3-シャープネス、ボケ味編-


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