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富士フイルムX-E1レビュー3-使い勝手&画質編-

2013年07月15日 カメラ・写真


富士フイルムX-E1レビューの第3回です。今までのレビューは、富士フイルムX-E1レビュー1-外観編-富士フイルムX-E1レビュー2-ボタン操作性編-にあります。

さて、実際にX-E1を使ってみて良さを実感したことは3つあります。
・画質が良い
・操作性が良い
・ファインダーと背面液晶がなかなか良い
順番に見ていきましょう。
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X-E1は画質が良い

X-E1には、APS-CサイズのX-Trans CMOSが搭載されています。X-Trans CMOSとは、周期性の低い富士フイルム独自のカラーフィルター配列が採用されていて、光学ローパスフィルターが不要となっています。


左が従来の2×2画素を単位としたカラーフィルター配列で、右がフジ独自の6×6画素を単位としたカラーフィルター配列。

このX-Trans CMOSにより、光学ローパスフィルターが不要となり解像力が上がっている、という富士フイルムの発表があります。

本当でしょうか?


ということで試し撮りしてみたのが、下の写真です。クリックで拡大します。



どうでしょうか?

たしかに解像力はまずまず高そうです。さすがに、シグマのFoveonセンサーのような、カリカリのシャープさで写るわけではないようです。このあたり、現像エンジンとJPEG出力アルゴリズムもかなり影響していそうです。ローパスフィルターがない分、レンズの性能もストレートに写ってしまいそうです。

今回の試写では、「X-Trans CMOSだから格段に解像力が高い」というような判断はできませんでした。


ではなぜ「X-E1は画質が良い」と言えるのかというと、色、ダイナミックレンジ、ノイズなどの性能に優れているからです。

下の写真を見てください。



ハイライト側は、画像処理がうまく、白飛びしていません。シャドウ側も、階調が良く低ノイズです。つまり、ダイナミックレンジが広く、使って実感するワイドダイナミックレンジ(富士フイルムはワイドダイナミックレンジという言葉を使って性能をアピールしています)だということです。この性能が、X-Trans CMOSから来ているのか、富士フイルムの画像処理技術がうまいからなのか、その理由はわかりません。ダイナミックレンジが広く使いやすいという事実だけは確かです。また、色も自然で、派手すぎない色合いに共感が持てます。

X-E1は操作性が良い

X-E1は、絞り、露出補正、シャッタースピードについて、それぞれダイヤル(リング)があります。これは、カメラの操作や仕組みに熟知している人には、とても使いやすいシステムです。一方で、カメラ初心者には取っつきづらいシステムで、X-E1はカメラ好きのためのカメラ、という感じがします。詳しくは、前回の「富士フイルムX-E1レビュー2-ボタン操作性編-」をご覧下さい。

X-E1はファインダーと背面液晶がなかなか良い

X-E1を使って一番驚いたのが、ファインダーと背面液晶です。最初は、「どうせたいしたことないだろう、電子ビューファインダーは結局使い物にならないだろうし」と思っていました。

パナソニックGH2のEVFは、画素が少なくてわざわざファインダーを覗いてまで撮る必要性がないという感じでした。

ソニーのNEX-7のEVFは、XGA有機ELファインダーで、まっすぐ見た場合はなかなかキレイなのに、少し視線が動くと周辺がグニャグニャに滲んでしまって、まともに使えませんでした。メガネとアイピースカップとの相性が悪いのかと思って、アイピースカップを外してみたところ、今度は上から日光が入ってきてしまって、EVFとLCDの切り替えが勝手に作動して、結局使えませんでした。

これらの経験上、X-E1のEVFもどうせ使い物にならないだろうと思っていました。でも使えました。メガネをしていても、周辺まで良く見え、GH2と同様、EVFとLCDの切り替えボタンも付いていて、NEX-7同様、なかなかきれいな有機ELファインダーが付いていて、実用可能な代物でした。しかもファインダー内の表示は、富士フイルムの画像エンジンで処理済みの映像が映し出されます。これにより、仕上がりの写真をイメージしながら撮影できるので、かなり便利です。

背面LCDと比べて、EVFの利点は3つあります。
・明るい日中でもファインダーの中はよく見える
・ファインダー内の映像の周りが黒いので、構図に集中できる
・顔に付けて撮影できるので、ぶれにくい

はじめてまともに使えるEVFと出会ったので、しばらくEVFだけで撮影したりもしました。違和感もなく普通に使えました。なかなかいいです。今回借りたレンズが望遠レンズだったので、手ぶれ防止と構図集中効果も高かったです。


次に、背面液晶(LCD)。EVFに力が入っていたので、LCDは手抜きかと思ったら全然そんなことはありませんでした。日中屋外でも結構見やすかったです。しかもライブビュー画面に、ヒストグラム&電子水準器&グリッドラインをすべて表示させられる全部入り。露出補正ダイヤルを回すと、ライブビュー画面にも反映されて、かなりレベルが高い背面液晶でした。ソニーのNEXシリーズやRXシリーズ等では、なぜかヒストグラムと電子水準器を同時に表示できないという困った仕様だったりしますが、富士フイルムはそんなことはなく、使い勝手が良かったです。

X-E1の残念なところ

ただ、X-E1には残念なところもあって、それは…
・ボディが少し大きい
・シャッター周りのレスポンスが悪い
ボディの大きさについてはとりあえず我慢するとして、気持ちよくないのがシャッター周りのレスポンスです。

X-E1の公式サイトでは、高速レスポンスがうたわれています。


シャッタータイムラグが0.05秒で、オートフォーカスが0.1秒、連写は6コマ/秒とかなりのハイスペックに見えます。

でも実際に使ってみると、あまり良くありませんでした。


自分が普段使っているニコンD700のレリーズタイムラグは、0.040秒です。それに対して、X-E1のシャッタータイムラグは、0.05秒。数値上はかなりのハイスペックなのですが、シャッターレスポンス周りはかなり悪いです。

その一つの原因と考えられるのが、画像表示までの遅延。ファインダーや背面液晶に表示されるまでに、ボディ内のCPUで処理して、液晶に表示されるまでに少し遅延があると思われます。リフレッシュレートが低いのか、EVFの方がLCDよりもより遅延を感じます(残像感が大きいです)。ソニーNEX-7の場合、レリーズタイムラグは0.02秒ともはや一眼レフよりも高速で、画像処理の遅延をプラスしても、レスポンス良く高速に撮影できます。X-E1は、シャッタータイムラグにまだ改善の余地があります。

シャッタータイムラグについてはまぁ我慢するとして、もう一つの重大な原因が、X-E1のレスポンスを決定的に遅くしています。それは…

像消失時間の長さ!

X-E1は、シャッターが切れるまでは、一応0.05秒とそこそこ速いです。でも、シャッターを切った後がものすごい長いです。NEX-7の場合、レリーズボタンを押した後、「キュ!」の一瞬で、ライブビューに切り替わります。高速なレスポンスです。対してX-E1は、レリーズボタンを押した後、「トゥルッキュッ!」と鳴ってから、やっとライブビューが表示されます。ライブビューが表示されるまでの間、「トゥルッキュッ!」の間は、ずっと画面が真っ暗です。ブラックアウトしています。電子ビューファインダーにしても背面液晶にしても、レリーズボタンを押した後は、長い間真っ暗な画面で待っていなくてはなりません。動体撮影なんて、する気が起きないレスポンスの悪さです。これについては早急に性能向上してもらいたい部分です。1コマ撮影でもこれだけ遅いので、6fpsの連写はもっとひどいです。数値だけ見るとすごいんですけどね。ファインダーで見えているのは1コマ目だけで、残りの5コマは勘での撮影になります。

7/27追記:「画像消失時間の長さは、設定で変えられますよ」というコメントをいただきました。自分は撮影後の画像表示はなしにして撮影していました。そういう設定があったのかどうかは覚えていません。もう返却してしまって確認できませんので、もし設定項目があればチェックしてみてください。

まとめ

ということでX-E1は、画質の良さ、操作性の良さ、電子ビューファインダーの見やすさから、「少しボディは大きいけれど、EVFは便利だし、写りも良いし、かなり魅力的なカメラだ!」と思いかけたところで、シャッターレスポンスの悪さが、足を引っ張っる結果となりました。惜しいです。これさえ我慢できれば、写りも良くて、かなり魅力的なカメラです。X-Trans CMOSはなかなか良さそうだし、EVFもありだなーと初めて実感させてくれたカメラでした。


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