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SPPを一切使わずに、DP2 MerrillのX3F現像をしてみる-ポートレート編-

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2012年11月11日 カテゴリ:カメラ・写真
前回の「SPPを一切使わずに、DP2 MerrillのX3F現像をしてみる-風景編-」に続いて、今回はポートレート編です。

SIGMA DP2 Merrillでポートレート撮影すると、写りすぎて困ったりします。肌のシミや荒れなどが強調されて写ってしまい、女性を撮影するのに躊躇することがあるくらいです。今までの経験から、人物撮影時にはSPPの現像設定でX3 Fill Lightをプラスに振るのはやめました。シャドウ部が明るくなるのでついつい設定したくなりますが、風景写真は良くてもポートレート写真の場合はダメです。明るくなると同時に明瞭度も上がってしまい、肌の汚さが誇張されてしまいます。X3 Fill Lightを設定せずにとりあえずTIFFで出力してから、他の現像ソフトで明るさを整えつつ、むしろソフトな処理を加えたいくらいだったりします。

さて、今回はポートレート編ということで、このような肌の描写がFoveonセンサー特有のものなのか、SPPの仕上げ方によるものなのか、確認してみました。

ポートレート写真の場合

まずは下の写真を、カラーモード:ポートレート、シャープネス:-2.0にしてSPPでTIFFファイルに変換した後、Lightroomで白黒にしてみました(画像クリックで等倍画像が表示されます)。等倍で顔の肌を見てみてください。濃く写りすぎです。ポートレートモードのシャープネスを最低にして、他はデフォルト通りの設定でこの写りです(ノイズリダクションも初期設定通り、すべて0.5)。男性の写真なら力強さを感じて良い場合もあるかもしれませんが、女性の写真では嬉しくありません。
SPPで現像
(カラーモード:ポートレート)
(シャープネス:-2.0)

次に同じX3Fファイルから、SPPを一切使わずにTIFFデータを取り出し、Lightroomで上の写真と同じくらいのコントラストや明るさになるように調整して仕上げてみました。
SPPを使わずに現像

SPPを使った場合と使わなかった場合で見比べてみると、「あぁ、こっちだな」と感じます。SPPを使わずに現像した写真の肌の方が実物に近くて良い感じです。SPPは肌の濃さが誇張されすぎてしまっています。シャープネス、明瞭度、コントラスト、この辺りのバランスが、SPPは非常に強いように感じます。全体的な階調についても、SPPを使わない元データの方がナチュラルに感じます。暗い部分がグッと暗くなるSPPの仕上がり方とは違います。

このような人肌の写り具合について、今まではFoveonセンサー特有のものかと思っていました。実際は、SPPの仕上げの傾向がコントラストや解像感重視であることの結果のようです。せっかくのポートレートモードなので、もう少し柔らかい写りになると良いなぁと思います。

どちらが肌をきれいに仕上げられるか

さっきの写真は、SPPのポートレートモードでシャープネスだけを最低の-2.0にしていました。今度は、コントラストも最低の-2.0にして、どれくらいの写りなのか確認してみました。さっきのコントラスト無調整写真より肌はイイ感じですが、これでもまだポートレート写真の肌としては、濃くてなめらかではないように感じます。これ以上なめらかにするには、シャドウのパラメータをプラスに振る(あまり目に見えた効果はなかった)のと、輝度ノイズリダクションをMAXにするくらいしかありません(これは相当な効果あり。ただ、肌質をノイズリダクションで調整することには違和感)。
SPPで現像
(カラーモード:ポートレート)
(シャープネス:-2.0)
(コントラスト:-2.0)

次にSPPを使わずに、上の写真と同じくらいのコントラストや明るさに調整して仕上げてみました。肌の写りがグッと柔らかくなりました。
SPPを使わずに現像


今までFoveonセンサーを搭載したカメラでは、女性ポートレート写真は厳しいかと思っていました。今回のテスト結果から、決してそんなことはないようです。あくまでもSPPの味付けがそういう方向性にあるということだけのようです。暗部がガクンと沈み込み、コントラストが高いように見える仕上がりも、Foveonセンサーの特性ではなく、SPPの仕上げ方が影響しているように思えます。


試しに、SIGMA DP2 Merrillで撮った女性の写真を、SPPを使わずに仕上げてみました。


SPPで現像していた時には見たこともなかったような肌の質感に仕上がりました。明瞭度が高くなりすぎて使えないと思っていたポートレート写真もこのように写るようです。

この結果を見てしまうと、今後のSPPアップデートで、柔らか仕上げのポートレートモードの搭載を期待してしまいます。元のデータはそこまでクッキリしているわけではないことがわかったので、きっとクッキリさせない現像もSPP上でできるはずです。SPPにFOVクラシックブルーを搭載する遊び心もあるくらいなので、ポートレート用にナチュラルでなめらかに現像できるモードの搭載も期待します。

おまけ:なお、今回のテストの副産物で、肌質の調整にSPPの「輝度ノイズリダクション」が効果的であることがわかりました。現在のSPP5.4では、ノイズリダクションの項目に、色ノイズ、輝度ノイズ、バンディングノイズの3つのパラメータがあります。このうち、輝度ノイズは写真の明瞭度に大きく影響するようで、デフォルトの0.5でもかなり明瞭度が高く仕上がります。輝度ノイズリダクションのパラメータを最低の0にしてみると、ガチガチの写りになって、ポートレート写真には使えません。一方、今回試してみた輝度ノイズリダクションを、最大の1に設定してみると、明瞭度が下がってなめらかな写りになります。「ノイズリダクションをかけると解像感が落ちるのでは…」という心配がありましたが、どちらかというと、ノイズリダクションをかけた場合の方が元の写りに近いようです。ノイズリダクションをかけない場合は、デフォルトで明瞭度を上げる処理が入っているように見えます。もしかすると、シャープネスの問題よりも、輝度ノイズリダクションのパラメータによる明瞭度の方に、肌質の違和感を覚えていたのかもしれません。肌の調子を整えるためにノイズリダクションを効かせるということに抵抗はありますが、とりあえず「女性ポートレート写真の場合は輝度ノイズリダクションをMAX」に設定しておくと良いかもしれません。

※これはSPP5.4での話であり、SPPのバージョンが変わると、またシャープネスやノイズリダクションの効き方等が変わってしまう可能性があります。とりあえずは、現バージョンでの仕上げ方の話ということで。