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【CP+2012レポート3】タムロンのSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD

2012年02月11日 カメラ・写真
CP+2012」でぜひ見たかったレンズが、タムロンの「SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD」。フルサイズ向け大口径標準ズームでは、世界初の手ブレ補正機構を搭載した革命的なレンズです。



今D700で標準で使っているのは、この新レンズの前モデルとなる「SP AF 28-75mm F/2.8 XR DI LD MACRO A09」のモーターなしバージョンです(D700で使う場合、モーターが内蔵されていないモデルの方が圧倒的にAFが速い)。

大口径標準ズームの開発というのは本当に大変です。例えば現在大ブームを巻き起こしているミラーレス一眼カメラ。そのミラーレス一眼を販売しているパナソニック、オリンパス、ソニー、ニコンからは、まだ一本もミラーレス対応の大口径標準ズームが発売されていません。

歴史の長い一眼レフカメラでも、大口径標準ズームの種類はあまり多くありません。ニコン用のフルサイズ向け大口径標準ズームレンズは、現在たった3本のラインナップです。

メーカー  レンズ 重量 実売価格
ニコン AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED 約900g  約17万円
シグマ 24-70mm F2.8 IF EX DG HSM 790g 約8万円
タムロン SP AF 28-75mm F/2.8 XR DI LD MACRO A09NII 510g  約3万円

このうち、以前シグマの24-70mm F2.8 IF EX DG HSMをお借りして、
レビュー1-外観編-レビュー2-イベント試写編-レビュー3-焦点距離別画質-レビュー4-いろいろ使ってみて-を書きました。このレンズを使った感想を簡単にまとめると、「買わなくて正解だった」でした。

となると、残りはニコン純正の実売18万円もするAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDとタムロンの実売3万円のSP AF 28-75mm F/2.8 XR DI LD MACRO A09NIIのみです。タムロンの28-75mmは、フルサイズ向け大口径標準ズームとしては驚異的な軽さの510gを実現し、写りもボケ味もなかなか良く、しかも寄って撮れるという、万能型のレンズです(もう少しシャープさがあればベストなのですが)。

そのいつも使っているタムロン28-75mmの後継レンズが、今回発表された「SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD」。期待しないわけにはいきません。


時を同じくして、キヤノンからも大口径標準ズーム「EF24-70mm F2.8L II USM」が発表されました。キヤノンのレンズには手ブレ補正は付いていません。

キヤノンの実現できなかった手ブレ補正付き大口径標準ズームの開発を、タムロンは実現しました。キヤノンが手ブレ補正付きレンズの発売を諦めたのは、性能面とサイズ面だろうと推測します。

タムロンのレンズのスペックはというと、このようになっています。

モデル名 A007
焦点距離 24-70mm
明るさ F/2.8
レンズ構成 12群17枚
最短撮影距離 0.38m
最大撮影倍率 1:5(f=70mm時:最短撮影距離0.38m)
フィルター径 Φ82mm
質量 825g
絞り羽根 9枚(円形絞り)

質量825gと、他のメーカーの手ブレ補正なし大口径標準ズームと比べても差がありません。手ブレ補正機構が組み込まれているのに、です。小型化に成功したのは、タムロン独自の手ブレ補正機構「VC」にあります。


「VC(Vibration Compensation)」とは

タムロン独自開発の手ブレ補正機構。3つのスチールボールを介して、3つの駆動コイルが手ブレ補正レンズ「VCレンズ」を電磁的に駆動する「3コイル方式」を採用。これにより、「VCレンズ」はボールとの接触だけで保持される構造となり、摩擦抵抗が少ない滑らかな動きを実現、「VC」特有の追従性の良い安定したファインダー像を提供しています。また、VCレンズを電気的な制御だけで並行に移動させることができるので、機械的な構造がシンプルになりレンズ本体の小型化をも可能にしました。

新「VC」機構 (ムービングコイル方式)

従来の弊社手ブレ補正ユニット「VC」では、動く補正レンズ側に質量の重いマグネットを配置するムービングマグネット方式を採用しておりましたが、新「VC」機構では質量の軽いコイルを配置するムービングコイル方式を採用いたしました。これにより駆動系の負荷が減り、より小さなコイル、マグネットで動かすことができるようになるため、手ブレ補正ユニット全体の軽量化、コンパクト化に寄与しています。 また、『24-70mm F/2.8 Di VC USD』は、F/2.8の大口径ズームであるために、他のズームと比較して大きく重い補正レンズを駆動させることになります。十分な推力を得る為に、駆動コイルの大きさ、形状、配置を工夫して、35mm判フルサイズ対応の大口径ズームにおいても、従来通りの高い補正効果を実現しています。

この新VC機構のおかげで、小型化を実現しつつ、「ガチッ」と止まる手ブレ補正レンズに仕上がっているというわけです。レンズ構成の方も、特殊硝材LD(異常低分散)レンズ3枚、ガラスモールド非球面レンズ3枚、複合非球面レンズ1枚、XR(高屈折率)レンズ2枚を採用しています。超音波モーター「USD」を採用し、素早いAF駆動とフルタイムマニュアルフォーカスを実現。レンズ内部に水滴が浸入しにくい簡易防滴構造を採用しています。

あとは、実際に撮影してみて、性能面の方でどうかというところですが、こちらはまだサンプル画像さえないのでわかりません。

広角24mmスタートというのはけっこう鬼門で、広角側を伸ばすことにより、歪曲、像面湾曲、周辺減光、周辺画質の低下などが起きやすくなります。さらには、レンズに付けるフードを短くせざるを得ないので、逆光性能面にも響く可能性があります。

旧28-75mmを持っている身からすると、質量が300g以上も重くなり、最大撮影倍率が悪くなり、フィルター径が82mmになって巨大化していることに不満がないわけでもないです。広角端を24mmにするより、28mmにして小型・軽量化を実現して欲しかったような気もします。それでも、タムロンの手ブレ補正付き大口径標準ズームということで、とても期待しています。

タムロンの人の聞いてみたところ、発売は「そう遠くないうち」になるそうです。気になる価格の方は、「タムロンのレンズは価格も求められていますから」というようなことも発言していました。ニコンやキヤノンのレンズのように、20万円近くすることは絶対ないはずです。自分の予想としては、実売7〜8万円くらいを予想しています。おそらく今年発売開始になると思われます。発売が楽しみです。


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