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スマートフォンのせいで携帯ゲーム機が売れなくなるのか?

2011年02月27日 次世代ゲーム機
「スマートフォンのせいで携帯ゲーム機が売れないのではないか?」という的外れな新聞報道がされたりしています。「なんでこんなに新聞記者は的外れなのだろう…」と、たびたび疑問に思います。

「携帯電話のせいでゲームが売れない」と言われていた時代

以前、ゲーム業界の売上げが下がってきたときに、新聞はこのように報道しました。
携帯電話のせいでゲームが売れない
携帯電話でゲームアプリが楽しめること、また子供たちは通話料と通信費にお金を使いすぎていて、ゲームを買うお金がない
と。

携帯電話でも手軽にゲームが楽しめるようになり、またお金もかかり、そのせいでゲームは売れないのだと力強く報道しました。

その後、ニンテンドーDSの爆発的ヒットを受けて、「携帯電話のせいで…」という論調は消え去りました。

スマートフォンでゲームをプレイするのはどんな人か

今回また、同じようなことを繰り返し報道しているわけです。今度は携帯電話ではなく、スマートフォンという形で。学習能力の無さに驚きます。

まず、今回の「スマートフォンでゲームプレイ云々…」を解析すれば、一体どんな人がスマートフォンでゲームをしているのかがわかります。スマートフォンでゲームをやるような人というのは、そもそも「ゲームが好きな人」です。「ゲームが好きな人」というのは、ゲームが好きなので、新しい携帯ゲーム機にも興味があります。面白いゲームが好きなのです。

肝心なのは、ゲーム機本体ではなく、面白いゲームソフト

肝心なのは、ゲーム機ではなく、ゲームソフトの方です。スマートフォンで最新のゲーム、例えばドラゴンクエストやファイナルファンタジーの最新作が発売されて、携帯ゲーム機では発売されない、という状況であればわざわざ携帯ゲーム機を買いません。しかし、現状は違います。スマートフォンでは人気作は発売されず、今までと同じように家庭用ゲーム機で最新作が発売されます。

それなら、携帯ゲーム機を買うかどうかは、面白いゲームソフトが発売されるかどうかにかかっています。面白いゲームソフトが携帯ゲーム機で発売されれば、携帯ゲーム機の売上げは伸びます。スマートフォンのせいで、携帯ゲーム機が売れなくなるという状況は起きません。もし起きるとすれば、それは携帯ゲーム機で最新作が発売されず、スマートフォンのみで最新作が発売されるような状況になったときです。でもそんな状況は起こりえません。スマートフォンではゲームのプレイ環境が統一されていないため、開発側は開発に苦労しますし、売上げの見込めない市場に大金をかけて大作ソフトを開発したりしません。幼稚園児や小学生がスマートフォンを持っていない、というのも大きなポイントです。

スマートフォンのせいで携帯ゲーム機が売れなくなったりはしない

ということで、スマートフォンのせいで携帯ゲーム機が売れなくなったりはしません。もし今後発売される携帯ゲーム機の売上げが良くないようなら、それは「面白いゲームソフト」の開発ができなかった、というソフト側の問題です。ですから、ゲームユーザー側としては、「欲しいゲームソフトが発売されたら、それに合わせて携帯ゲーム機本体を買う」というのが賢い判断方法です。

一方で、「○○のせいでゲーム機が売れない」という状況は、実は日本で確実に起こっています。これはスマートフォンのせいでも、携帯電話のせいでもありません。

「携帯ゲーム機のせいで、据え置きゲーム機が売れない」

実は、「携帯ゲーム機のせいで、据え置きゲーム機が売れない」という状況が起きています。さきほども言ったように、そのゲーム機で最新の面白いゲームソフトが発売されるかどうか、がユーザーにとっては一番大事なことです。ところが、ドラゴンクエスト9を始め、据え置きゲーム機ではなく、携帯ゲーム機で最新作が発売される状況が増えてきました。初めから携帯ゲーム機用のポケットモンスターや、携帯ゲーム機でないと売上げがあまり伸びないモンスターハンターなど、すでに市場は携帯ゲーム機に流れ、据え置きゲーム機市場は厳しいものになっています。

携帯ゲーム機の優位性

なぜそれほど携帯ゲーム機が優れているかと言えば、どこでも遊べて小さくてエコで、液晶画面まで付いていて本体価格も安い。携帯ゲーム機は、据え置きゲーム機に比べて、良いこと尽くしです。「TVがないと遊べない」という最大の欠点を持った据え置きゲーム機は、今までは「性能」面でのみ携帯ゲーム機に優っていましたが、それももうお終いです。携帯ゲーム機のスペックが上がり、ゲームとして最低限楽しめるレベルまで携帯ゲーム機は到達してしまいました。そうなれば、テレビが必要で、家でないと遊べなくて、価格が高くて、大きい据え置きゲーム機には用はありません。しかも据え置きゲーム機の方がゲームソフトの開発費も高く、それでいて売れないというゲームメーカー側の事情もあります。

ゲームメーカーのジレンマが解消

今までは、「携帯ゲーム機だとスペック的にちょっと…」「しかし、据え置きゲーム機だと開発費が高くて、その上あまり売れない…」というジレンマがありました。それももう、今回発売されたニンテンドー3DS、そしてこれから発売されるNGP、この二つで解決されます。どちらもゲーム機としての性能が上がり、ゲームメーカーは据え置きゲーム機で培った高性能向けシステムのゲーム開発手法を適用できるようになります。ニンテンドーDS程度のスペックの場合、3Dポリゴン表示など、高性能向けシステムをそのまま適用すると、どうしても快適な操作性にはならない、という問題点がありました。それが、ニンテンドー3DSのスペックなら問題なく適用できます。さらに高性能なNGPなら、もっと開発が楽になるでしょう。

携帯ゲーム機は売れまくる

というわけで、「スマートフォンのせいで携帯ゲーム機が売れなくなる」どころか、「据え置きゲーム機市場を壊滅に追いやるほど、携帯ゲーム機が売れる」というのが、これからのゲーム市場の進む道です。


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