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映画「BECK」見てきた

2010年09月11日 TV・映画


AMNからチケットをいただき、映画「BECK」を見てきました。原作の漫画BECKは、月刊少年マガジンで第一話から読んでいました。そのBECKが映画化されると聞き、期待半分、心配半分。なぜ心配かと言えば、「漫画原作で顔の似ているイケメン俳優を起用する映画」だからです。演技力よりも顔が似ているかどうかで起用を決める漫画原作の映画は、見る前は本当に不安です。しかも映画「BECK」は2時間半近い上映時間(144分)。つまらなかったらどうしようかと心配していました。

結論から言うと、心配は杞憂に終わり、このストーリーで144分は納得の長さでした。ロケの舞台は横須賀が大半で、上の写真のようなシーンが出てきたりもしました。

以下、映画「BECK」を見た感想です。


映画の導入部分は、主人公コユキのいじめられっことしての日常、天才ギタリスト竜介との出会いが丁寧に描かれていました。原作を読んでいない人でも付いて来られそうな作りでした。サク、千葉、平のBECKメンバーが出てきて、その誰もが原作に似ていてイイ感じでした。見る前は、顔が似ているだけの俳優なんて…と心配していましたが、演技指導や構成などが良く、違和感なく見られました。

映画「BECK」と言っても、どこまで原作に忠実に作るのか、そこもポイントでした。驚くことに漫画BECKっぽい別物の映画というわけではなく、かなり原作に忠実な内容でした。BECKのメンバーが集まってみんなで歌う、という簡単な設定に書き換えたりせず、レオン・サイクスもそのまま登場し、ベック(犬)とルシールの関係やダイイング・ブリードもしっかりと描かれていました。ライバルであるベル・アームや蘭も登場し、原作通りグレイトフル・サウンドを目指しました。カンニング竹山演じる齋藤さんもコユキにギターを教え(これがカッコイイ)、コユキの成長も描かれていました。時折見せるギャグもテンポ良くはまり、飽きさせることのない作りになっていました。

と、ここで疑問が出てきました。ここまで忠実に原作を追ってしまって、もしかして、原作の最後までやりきるのか?上映時間144分は、最後までやりきるため?それだと、今度は時間が足りないような…。


以下、ネタバレ含む感想です。ご注意ください。


さすがに映画で最後までやりきるということはなく、グレイトフル・サウンドまでが描かれていました。まぁ、ここが一つの大きな山場なので、終わるにはちょうど良いポイントです。

漫画では、コユキが歌うとまるで時が止まったかのように描かれていました。漫画で歌のすごさを見せつける描写です。映画では一体どう表現するのか。主人公田中幸雄役の佐藤健は、もしかしてメチャクチャ歌がうまい?原作で歌のすごさという点でハードルを上げすぎてしまっているため、少しでも歌が下手だと、この映画がぶち壊しになってしまいます。さて、どうしたのか。

最初、コユキがマホに歌うシーン。コユキの声が消えて、幻想的なシーンに。「あぁ、そう来たか」と思いました。確かに、歌の魅力を伝える方法としては決して悪くないです。むしろ魅力が増すくらいに。でも、最後まで歌わないのか、最初聴いたときに不安になりました。

ダイイング・ブリードに呼ばれてコユキが歌うシーン。ここで覚悟はできました。「あぁ、最後まで佐藤健には歌わせないのだな」と。ここまでのストーリーでは、確かに歌わないことで魅力を強調できていました。ただ、最後のグレイトフル・サウンドはどうだろう、と。

グレイトフル・サウンドは、フジロック終了翌日に苗場スキー場で撮影され、迫力の野外ライブシーンです。原作に忠実に作ったおかげで、尺の関係からベル・アームや蘭の存在がかなり薄く…(原作を見ていない人にはわかりにくいかも)。平やサクも演奏の実力を見せつける描写が少なかったように思います。ただ、一人だけ。一人だけ、すごい存在感の男がいました。千葉。

千葉の存在はすごかったです。コユキと違い、映画の中でもしっかりとラップを歌い、ストーリーではボケ役までこなす。途中仲間割れしそうになって、最後戻ってきて歌う。まるで、千葉が主役のような感動的な作りになっていました。

主役の存在感が薄くなってしまう映画は、最近だと「サマーウォーズ」を思い出します。BECKの主人公はさすがにそこまで薄くもなく、最後は「声なし」でしっかりと歌いきりました。最後くらいは歌声を聴きたかったなぁという思いもあるのですが、仕方ないです。やや物足りなさはあるものの、決して表現方法が悪いとは思いませんでした。

最後に、映画「BECK」は見てとても良かったです。心配していた演技力や構成には全く問題がなく、144分最後まで楽しめました。コユキが歌わないことには賛否両論ありそうですが、自分としては楽しめたのでOKです。

音楽バンドの映画なので、最後は自分たちの歌…というわけにはいかず(コユキの声がないので)、エンドロールはoasisのdon't look back in angerでした。この歌を聴きながら、「あぁ、バンド音楽は良いなぁ。やっぱり歌ありの方は感動度も違う」なんて思って、ついついoasisのベストアルバム「Time Flies 1994-2009」を買ってしまいました。



ということで、BECKの原作ファンは映画「BECK」を見ても、コユキの歌声部分以外は納得の出来なのではないかと思います(コユキの歌声部分は賛否両論あると思います)。