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カナル型最上位機種PHILIPS SHE9850レビュー

2010年06月13日 音楽
昨年のフィリップスヘッドフォンのレビューモニター・マラ ソンに引き続き参加している、「フィリップス ヘッドフォンマラソン2010」。第5回目は、PHILIPSのカナル型最上位機種「PHILIPS SHE9850」です。

前回2009年のマラソンが終わった後、「一番高い、自信のあるイヤフォンを聴かせてください」と言っていたのですが、今回は本当に一番高いイヤフォンを送ってくれました。

ということで、PHILIPSの最上位機種はどんな音がするのか、詳細レビューです。


パッケージには、「限りなく原音に迫る、クリアなサウンド」と書かれていました。これは期待できます。



PHILIPSのいつものパッケージと違い、今回は箱形。
外箱を開くと、「Only feel the music」と書かれていました。



中を取りだしたところ。
横開きのケースに、イヤフォン一式を収納できるようになっています。
L、M、Sサイズのイヤーキャップの他、complyフォームスリーブという低反発素材でできているイヤーピースも付属していました(下の写真の灰色のキャップ)。



バランスドアーマチュア方式のイヤフォンで、デザインも独特です。


PHILIPS イヤフォン SHE9850レビュー

低域
低域はSHE9500SHE3680と比べればまずまず締まりがあります。バランスドアーマチュアにしては頑張っている低音です。ただ、量感が普通というか、むしろ中域が多すぎて量感が足りない感じに聞こえます。

中域
中域は本当に残念な出来です。元々SHE9850は感度が高く、音を小さくしていてもかなり大きく聞こえる作りです(他のイヤフォンと比べれば明確な差です)。そこからさらに中域をブーストしていまっているため、SHE9850の中域は作り物のような音になってしまっています。ボーカルの魅力が色褪せ、機械的な音になってしまい、歌を聴く楽しみが失われます。音はクリアで明確な音を出そうとしているのはわかります。でも、正直やりすぎです。「限りなく原音に迫る」音とは思えません。気にならない人には気にならず、この中域が魅力になるのでしょうが、自分の好みには合いませんでした。

高域
高域は一言で言うなら「不安定」です。楽曲によって大きく変わります。バランスドアーマチュアにしては解像感が低く、音場も狭く感じます。曲によって高域が強く出たり出なかったり、これが「原音に忠実」と言えば聞こえは良いのですが、音が分離しきれずに、不安定な音の出方に感じます。それから、細かく聴いてみると、高域の上の方の帯域がうまく出ていないような気がします。もしかしたら、この辺りが作り物っぽい音や音場の狭さを感じさせる要因にもなっているのかもしれません。
また、イヤーキャップを変えると、高域の音は特に変化します。キャップによっては高域の刺さり具合が気になったりもしました。

遮音性
遮音性はかなり高いです。その分、音の「ヌケ」という観点から見ると、今一歩な感じがします。

タッチノイズ
タッチノイズはいつものカナル型イヤフォン同様にあります。ケーブルは太めなので、ケーブルから来る再生音のノイズはうまく抑制されていて、クリアな音につながっています。

装着感
SHE9500はやや浅く、SHE3680はちょうど良く、今回のSHE9850は完全に長いです。耳の奥に差し込んでもまだ長さが余っていてスッキリしません。
またイヤーキャップについても、SHE3680のイヤーキャップは全体に小さめでちょうど良かったのですが、SHE9850のイヤーキャップは全体的に大きめです。MよりもSの方が合いました。

フォームスリーブ
付属のイヤーキャップからフォームスリーブに付け替えると、大きく音が変わります。出っ張っていた中域が広がりとして緩和され、低域は少しはっきりと、高域も強めに出るようになります。SHE9850には、フォームスリーブの方が合っています。ただ、高域が刺さるようになって耳が痛く、長時間聴いていると聴き疲れするのが欠点です。

個人的なまとめ
「想定価格12800円の最上位機種でもこんなものかぁ」というのが一番の感想です。中域の持ち上げ方が作り物っぽい音にさせてしまい、魅力を下げてしまっているのが残念でした。圧縮したMP3で聴いていたのならまだしも、ロスレス圧縮をアンプ経由で聴いていてこれなので、音楽に気持ちよさがありません。むしろ、iPhoneやiPadでMP3を聴いていた方が最初から機械っぽい音のためか、合っている感じに聞こえました。
1500円でお釣りが来るSHE3680SHE9500がともに素晴らしいできだっただけに、SHE9850には価格の割に少しがっかりしました。正直、SHE9850は1万円どころか、1500円の価値にしか感じられません。この3つはほとんど同じレベルで、どこを強調するかの違い程度です。SHE9850が1500円レベルと言うよりも、SHE3680、SHE9500が1万円レベルと言ってあげた方が良いとは思いますけどね。

着け心地:★★★★☆
音質:★★★★☆

PHILIPSカナル型イヤフォンまとめ
今までPHILIPSのカナル型イヤフォンをいくつも聴いてきたのでまとめておきます。
・バランスが完璧で普通の音を鳴らすSHE3680
・クリアでヌケが良く音が細いSHE9500
・明確な音だが中域を持ち上げすぎたSHE9850
どれもそれほど差はなく、好みの違いで選んで良いと思います。個人的な好みで言えば、SHE9850は上二つに比べてちょっと落ちます。
これより下のクラスに来るのが、
・ヌケが悪いが、意外と心地よいSHE9551
・バランスは良いが中域に魅力がないSHH9756
・ドンシャリで下品なSHE9700
です。
どれが好きかは個人差が大きいので、あまり参考にはならないかもしれませんけどね。

追記:このあと最強のイヤフォンをいただきました!→個人的にフィリップス最高音質のPHILIPS SHE9800レビュー


お知らせ:5月1日から6月19日の50日間で50名にフィリップス ヘッドフォン「SHE9755」をプレゼントするスペシャルキャンペーンが開催されています。



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