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アマゾンのレビューは誰のもの?

2005年07月18日 読書
本を買う時、よくアマゾンを利用します。
アマゾンと言っても、遠く離れたアマゾン川ではなく、ネットショップのAmazon.co.jpです。
近所の本屋に売っていない本や探すのが大変な本を買う時、買いに行く時間が無い時などは非常に重宝しています。
 
うちの近所では、元々大きな本屋はなく、小さい本屋がいくつかあるだけです。
専門書などを買おうとしても、小さな本屋に在庫があることはまずありません。
近所の人たちもインターネットを利用して本を購入する人が増えたのかどうかはわかりませんが、この1?2年の間に、1、2、…3件の小さな本屋が潰れました。
昔からあった本屋が潰れてしまうのは非常に寂しい想いもありますが、便利なサービスに人が集まってしまうのは仕方のないことだと思います。
 
 
さて、このアマゾンの優れた点と言えば、

 
 ・1500円以上の商品は送料無料
 ・24時間以内発送の商品が多く、届くのが早い
 ・ゲームなどは割引率が高い
 ・売り上げランキングを参考にしたり、類似商品を探しやすい
 ・誰かが紹介していてリンクが貼ってあれば、そのまますぐに購入できる
 ・レビューが充実していて、他の人の意見が参考になる

 
ことなどが挙げられると思います。
 
人によっては、到着までの2日間程度が我慢できなかったり、代引きに少しお金がかかってしまうことに不満がある人もいます。
ただし、クレジットカードを持っていて、かつ平日は時間があまり無く週末までに届けばOK、なんて人にとっては便利なサービスです。
 
このアマゾンの優れている点のうちの一つがレビュー機能
買う前に他の人の意見が聞けるというのは、とても役に立ちます。
買おうかどうか迷っていた商品のレビューを見た時、

 ・ほめている人、感動した人、役に立っている人

などの意見を聞くと、自分が買う時の後押しになります。
 
逆に、
 
 ・けなしている人、損をしたと嘆いている人、他の商品の方が良いと勧めている人
 
などの意見を聞くと、買うのを考え直したり、問題点があることを理解しつつ購入することも出来ます。
大切なのは、人それぞれ意見が違うのは当たり前なので、他人の意見をどう自分に生かすか、ということだと思います。
したがって、適当に書かれたレビューも、まじめに書かれたレビューも、そのどれもが価値のあるレビューだと思います。
 
 
 ところが!
 
  → Lynceus: 【まとめ】AMAZONレビューをめぐる著者とのやりとり
 
上記サイトのnomadicaさんが、会社は誰のものかという本にアマゾンでレビュー記事を書いたそうです。(詳しくは上記リンク先をご覧下さい)
非常に参考になるわかりやすいレビューが書かれていました。
そのレビューに対して、会社は誰のものかの著者の方から反論があったというのです。
 
細かい内容は上記サイトに書かれていますが、結局著者とのやり取りの末…
レビュー内容を修正したそうです。
誹謗・中傷、名誉毀損などのレビューなら修正する必要はあると思いますが、そのような内容には見えなかっただけに残念です。
 
 
この出来事を知る前の7月10日、日刊スポーツの「日曜日のヒーロー」というコーナーに作家京極夏彦さんが登場していました。
 

100万部の小説には100万の妄想 作者の思いは100%通じない
 
小説というのは文字でしかないわけです。風景を思い浮かべて文章にするのは、ただの説明であって小説ではない。作者のイメージを読者に押しつけるような小説は、僕は最低だと思います。だから、作者は具体的なイメージを持っていない方が望ましい。小説は書き終えた段階で読者のものです。作者の思いというのは100%読者に通じないのです。買って読んでくださった方がどう思おうと、その人の勝手だし、正しい。トリックを読み違えようが、ストーリーを読み違えようが全然問題なくて、読んでる途中、その人が面白ければいいということです。小説を完成させるのは読者なんです。作者がこういうテーマにのっとって書きました、と大上段に構えて言うのは、小説書きの風上にも置けないと思います。
 
       (7月10日の日刊スポーツの「日曜日のヒーロー」より抜粋)

 
この記事を読んで感動しました。
どんな物であっても、楽しみ方は人それぞれだと普段から思っていたので、さすがは04年直木賞受賞作家だと思いました。
京極夏彦さんの作品は読んだことありませんが、一度読んでみたくなりました。
 
今回の会社は誰のものか という本は小説ではないので、このような思いとは違うのかもしれませんが、誹謗・中傷、名誉毀損などではない読者の意見に、著者が口を出すべきではないと思います。
 
例えばアマゾンのレビューで、
 ・非常に参考になりました
 ・買って損しました!

などのたった一行だけのレビューであったとしても、それは価値のあるレビューだと思います。
その商品を実際に手にした結果をレビューとして書いたわけなので、ウソのレビューではないと思います。
ウソでない以上、それは価値のあるレビューで、大事な一意見だと思います。
 
 
レビューとは、著者や他の方からの圧力で内容を変えてしまうような物ではないはずです。
その時感じたことを文章にしたものがレビューであり、そのレビューをどう読み取るかがレビューを参考にする他の人に求められる物だと思います。